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スピーカー製作記 悩み楽しみその壱

 学生時代からのスピーカー製作は、45年を経ても満足することはないが、不器用な自分、眼の悪い自分が、あ~またかと思いながら作り変えることを楽しんでいる。何十台作ったか分からないが記憶に残るスピーカーについてNOTEに。

 はっきりした記憶がなくなっているが30年位前になるのだろうか、ロイーネ音響DX200という20㎝同軸2Wayの名器(私の中で)を購入したことからエンクロージャーを作り、ユニットは3回ほど変えながら写真のような状態で現在鳴っている。DX200を買ったのは秋葉原のヒノオーディオ。自作のためのユニットはここで買うことが多かったから、私のスピーカーユニット嗜好は日向野社長の影響が大きいかもしれません。余談ながらここで買ったユニットで一番気に入ったのはジョーダンの13㎝フルレンジです。ヒノオーディオ閉鎖後はコイズミ無線ということに。

 内容積45Lの箱ですが、バッフル板を厚さ20mmの磨いたサヌカイト(石です)にしているため重い。その他は20mm厚のパーチクルボードで内部補強などで頑丈にできていて、塗装は根来塗風なカシューでおこないました。スピーカー台はたぶん杉ですがちょっと複雑な作りにしました。推奨ボックスは前面にバスレフポートがあるのですが、サヌカイトに穴を開けるのが難しい(もっとも硬くて欠けやすい石)のと見た目の関係から裏面に開けています。DX200 はヒノオーディオで試聴して、軽い鳴りと繊細さ高域の派手さのない素直さが、作っているサヌカイト楽器の音に合うと感じたのです。

 DX200の最大の欠点はエッジがすぐに悪くなるということだと思います。私の使用する環境があまり良くないのもあったのですが10年程で劣化。運よくロイーネ音響が閉鎖される前に新しいDX200を購入することができて付け替えたのですが、交換直後近所の子供が遊びに来て鉛筆で真ん中をぐさりと刺してしまいました。音も悪くなり私の心も折れてしまい、その後何年もそのままで鳴らさなくなってしまいました。そのころならまだ中古のユニットが手に入ったと思うのですが、もともと販売された本数が少ないため見つからなくなってしまいました。ある時、違うユニットに変えて再生しようと。

 またまた欠点がネックになったのです。DX200はバッフル開口径が200mmと他の20㎝スピーカーに比して大きくあけた穴に合うユニットが見つからなかったのです。基本的に20㎝フルレンジは185mm、25㎝フルレンジは230mmくらいですからどうしても中途半端になります。結局2mm厚のステンレスリングを製作して(ユニットは当然直接サヌカイトに付けたかったのですが)2代目としてJBLのLE8Tを組み込みました。LE8Tはよく知られている名器ですし、値段もDX200と大差なく気持ちよく鳴り、低域は同等だし音も軽く飛ぶ感じでした。残念ながらサヌカイトの落ち着いた「濡れた」音を再生するにはタイプが違った。そしてまた鳴らさなくなってしまいました。(他にもたくさん作っていましたから)

 そして現在、このエンクロージャーで4代目3種類目がノルウェーのスピーカーユニットメーカー、SEAS社のFA22RCZという20㎝フルレンジです。実はものすごくこのユニットが気に入っていて「現在20㎝クラス最高・最強」と思って使っています。音は軽くそこそこ繊細でパピルス混入コーン紙の良さが出ていますし、ストロークが長く30Hz から再生するという低域の豊かさがバランスよく様々なジャンルの音楽に合うのです。写真に写っているツイーターは飾りで鳴らしていません。また良いめぐり逢いが無ければまた次もこの箱にこのユニットでと思っています。高域も良いのに20㎝でこの低域は素晴らしい。

 最後にバッフル板をサヌカイトにした効果です。もちろん振動は木材に比べて抑えられていますが、サヌカイト原石でもスピーカーを作っている私が言える事は、「音が鳴る珍しいサヌカイトという石で作っている。硬く純で不純物か少なく、ガラスのようだから振動が減衰せず伝わりやすいのが音が鳴る理由であるから、もしかしたらバッフル板から超高音域が出ているかもしれないです。」という事に。特徴は希少性と見た目ですね。

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