法学部1年生、LS未修1年生へのアドバイス

法学部1年生や法科大学院未修1年生に向けてアドバイスを書いてみたいと思います。

1 教科書


(1) 教科書の選び方
教科書は指定教科書を買う必要は基本的には無いといってもいいです。大学の先生が出版社との契約や建前上自分の教科書を指定教科書にするなどの政治的な理由で教科書が選ばれていることも結構あります。それよりもシェアの高い教科書を買うのが一番よいです。司法試験も学内試験も基本的には相対評価ですから、みんなが書くことを自分も書くことが大切です。まともな教員なら、自分の学説と一致していなくとも、一般的な見解に則って回答すれば点数が来ます。

ただし、その教員が一般的な見解ではない独自の見解を推してくる(押し付けてくる)傾向が強い場合には、授業を聞いて柔軟に対応したりその教員の教科書を買ったり借りたりして対応しましょう。

また、その指定教科書が一般的でない教科書であるときは、メルカリ等に半額以下で安く売っている可能性が高いので、そちらで入手するのがオススメです。ほぼ新品で半額以下や1/3の値段で出品されていることも多々あります。

シェアの高い教科書について一応紹介しておきます。
民法は、学部レベルなら潮見(全)で足りるでしょう。道垣内・リーガルベイシスもオススメです。初学者が読みやすいのは後者です。前者は、すでに得た知識を用いて要点を確認するのに向いています。上記2冊は、1冊で民法の全分野について描かれている本です。


各分野をちゃんと勉強したい人は、


民法総則:佐久間
物権:佐久間
担保物権:松井、安永(物権と担保物権で一冊になっている)、 NBS民法など
債権総論: 潮見プラクティス、中田(より薄いものとして、ストゥディアや松井)
債権各論:中田(契約法)、潮見(黄色)、窪田(不法行為)など 
家族法: 高橋他(アルマ)、窪田(家族法)、リークエ

などがシェアが高いと思われます。
道垣内・担保物権はおススメですが、一般的には難しいとされています。家族法のリークエは相続法の部分がややクセありで私には読みにくかったです。
吉村・不法行為法も学者の評判は高いです。学説の整理が行き届いています。不当利得は加藤雅信・民法大全が評判が良いですが2005年出版の本であり少し古く(ただし著者は不当利得法の大家であり内容は古くありません)、中古しか売っていません。


憲法は、芦部・憲法(岩波書店)は買っておいてもいいと思いますが、メインでは使えません。
憲法学読本はオススメです。長谷部恭男先生の推薦図書にもあったので間違いないでしょう。
ちゃんと勉強したい人は佐藤幸治・日本国憲法論とかはオススメできます。
新四人組は個人的にあまりお勧めしません。辻村みよ子・憲法とかも評判は良いです。

刑法は基本刑法でいいでしょう。分かりやすいです。
個人的に好きなのは山口総論・各論です。
橋爪連載という発展的な内容の雑誌の連載などが推薦されることがありますが、司法試験合格レベルの実力者でない限り読まなくていいと思います。まずは、基本書を熟読しましょう。それで必要十分ですし基本書を読んで基本的な概念を整理することも簡単なことではありません。

(2)教科書の買い方
新品で買ってもいいですが、まずはメルカリなど中古を探しましょう。
ほぼ新品と同様の状態で半額以下の値段で売ってることが沢山あります。
新品で買うのはメルカリで安く売ってないときだけです。

あと教科書は読むのは1冊に絞ってもいいですが、複数持つと得することは沢山あります。1冊だと書いてないことが結構ありますし、別の教科書を読むとわかることも沢山あります。ただし、複数の教科書のつまみ食いでは基本的な概念の整理もままならないことになってしまうので、どれか繰り返し読む基本書を決めておくことがセオリーです。

メルカリで買うと新品を買う価格で2冊ぐらいは普通に買えます。

2 予備校との付き合い方


予備校は便利なので活用しましょう。
しかし、予備校だけにすべてを委ねるのはあまりお勧めしません。
問題を作ってるのは学者の先生ですし、その科目を専門に勉強してご飯を食べている学者の先生のほうが予備校の先生よりも少なくともその科目に関しては造詣が深いです。
大学の授業もちゃんと聞いてみてください。少なくとも判例学習においては大学のほうが学習に役立つことが多いです。

論証集を覚えるのはとってもいいことですが、それを覚える勉強ばかりしてもだめです。授業・教科書・判例学習・問題演習、学習の柱になってくれるのはこの4つです。基本的な事項をきっちり押さえていれば論証を覚えていなくても、十分に優等な答案を書くことができます。

3 予習はメインではない

予習は時間を掛けすぎるのはよくありません。授業で教師から説明してもらえば分かることをあらかじめ自分で長い時間をかけて勉強するのは賢明ではありません。時間は有限ですし、若い時の時間ほど貴重なものはありません。

予習では、あくまで授業で準備として行いましょう。

学習のメインとなるものは授業と自学自習と復習です。予習はあくまで「予め習っておくこと」にすぎません。つまり、準備にすぎないわけです。

4 判例集

判例百選は履修する科目のものは全部買って下さい。実務も学者の思考も判例を中心に動いています。その数ある判例の中で1番知っておかなければいけないものを学会の中心の先生が100個集めたものが判例百選です。判例百選に載っているかどうかが、学習者の知っておきべき判例のベースラインになります。百選に載っている判例さえ知っておけば他の人に後れをとることはほぼ無いと言ってもいいでしょう。


ひとまず以上です。また追記するかもしれません。

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