最近出た法律書を紹介する(R3.7月ぐらい発売から)
今回は、題目の通り、ここ3ヶ月くらいに発売された法律書を紹介したいとおもいます。
基本的には、法学部生や司法受験生に馴染みの深いものをセレクトして紹介します。研究書類や論文集は基本的には紹介しません。あと完全新刊だけではなく改訂版も含みます。
■磯村 保 『事例でおさえる民法 改正債権法』(2021.8月発売)
著者は現早稲田大学教授で神戸大学名誉教授。ご本人は京都大学出身。
事例でおさえる民法とありますが、いわゆる演習書の類ではありません。事例から考えて改正債権法の勘どころを掴もうという、コンセプトです。なので、どちらかというと基本書とか解説書の類です。問題集ではないので悪しからず。
著者は、ロースクール界隈では非常に評判の良い先生です。
■吉開多一ほか『基本刑事訴訟法II 論点理解編』 (2021年3月)
全然3ヶ月前ではないですが、これは外せません。
特に刑法で圧倒的なシェアを誇る日本評論社の『基本』シリーズ。
昨年発売された基本刑事訴訟法I の続編です。
法曹三者と学者の共著で、記述もわかりやすく内容も司法試験を踏まえていて極めて試験向きだと言えます。
また、重要判例の事例を提示し、それを用いて一般論を説明するという形を取っているため、単純に一般論のみを説明する他の基本書よりも理解しやすいと思われます。
今後、リークエや酒巻刑訴を追い越して、基本刑法のように受験生の間で圧倒的なシェアを誇るのではないかと思われます。
■古江頼隆 『事例演習刑事訴訟法』第3版 (2021.9月発売)
いわゆる「古江本」。刑事訴訟法の超人気で定番の演習書が6年ぶりぐらいに改訂されました。
こちらは基本刑事訴訟法IIの発売で、シェアという意味では下がるかもしれませんが、内容の有用性はなお変わりません。
論点についてわかりやすく解説してくれるのが基本刑事訴訟法IIで、しっかり解説してくれるのがこちらの古江本という感じだと思って貰えば大丈夫です。
ページ数が大幅に増えたのと、内容を一新したので旧版を持っている人も買う価値はあると思います。
■会社法 判例百選 第4版(2021年9月発売)
約5年ぶりの改訂。東大名誉教授で元早稲田大学教授が今回から編者から外れています。
会社法は判例が大事な科目で、百選に載っている判例がベースラインになっているので、買うべきでしょう。
解説は良し悪しがあるので、基本書等の該当箇所の説明や『会社法判例の読み方』等の判例解説で補う。
ちなみに、判例百選の編者は民法以外は基本的に東大の教授が担当します。会社法も例に漏れず。
■十河太郎『刑法事例演習』
刑法の大人気教科書の著者の1人であり、現司法試験考査委員でもある同志社大学教授の十河太郎教授が著者の演習書。
これは比較的、刑法事例演習教材とかとは違い、解説が充実していて、答案の書き方にまで手が届いているとても親切な演習書です。
刑法が苦手という方は、刑法事例演習教材のような人を選ぶ問題集よりも、こちらのような親切な演習書を選ぶといいかと思います。
■『Law Practice 民事訴訟法』4版(2021.9月発売)
特に会社法と民事訴訟法で特に人気な易しめの短文事例問題集。
論点の網羅性を高めたい人が好んで使用する問題集だと言えます。
シェアも高いし学習効果も高いので、民事訴訟法の問題集に迷った方はこちらを使用するのはいいと思います。
解答例はありませんが、解説が充実しています。
■事例で考える民事訴訟法(2021.9月発売)
法学教室の連載を単行本化した演習書。
実際に手に取ったことがないので詳しくはわかりませんが、問題集の性質と論点解説書の性質をあわせ持った本だと思います。
上で紹介した刑訴の古江本のような感じかもしれません。
今度読んでみますので、追記するかもしれません、
■『事例研究 行政法』第4版
行政法で最も人気の演習書が5年ぶりに改訂された。
内容は解答例こそないものの、行政法の力が身につく問題のセレクションとしっかりした解説がついている。
ただし、聞くところによると、第3版を持っている人は買い換える必要まではないという意見をしばしば聞く。
今回はこの程度にしておきます。
あと、この法律書紹介の記事はまた書きたいと思っているので、よかったらまた読んでくださると幸いです。
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