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複数で創業するときは株主間契約を結ぼう

ベンチャーを起業するとき、1人でやるのか、仲間とやるのか、は結構大きな選択肢かなと思います。

どちらにもメリット・デメリットがありますが、個人的には仲間とやるのは結構おすすめです。(私の場合は3人で起業しました)

以前、青学ビジネススクールに通っているときに、とあるVCのキャピタリストが成功する起業家の共通項を3つ挙げていました。

1. 恋愛に積極的であること
2. お金に貪欲であること
3. 仲間を連れてこられること

それぞれ、色んな意味はあるでしょうが、その中でも3の「仲間を連れてこられる」というのは、その起業家の人徳やマネジメント力を測る上では重要な要素なのかもしれません。

異なった得意分野を持つ優秀な仲間がいれば、それぞれの苦手分野を補うこともできますし、それぞれが助言しあえます。
なにより、会社がピンチになったときは、経営者は精神的にしんどいものなのですが、仲間がいるだけで心強さがありますので、これは結構大きいなと思います。

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さて、仲間と共に起業をするというケースは、世の中では少なくはなく、私の周りでも割と見かける光景です。

起業した後、共に切磋琢磨しながら会社を成長させる幸せなケースもありますし、残念ながら袂を分かったケースもあります。

それぞれにストーリーがあるとは思いますが、その中でちらほら発生するトラブルとでも言いましょうか、創業仲間が会社を離れるときに揉めるメジャーな事案として、出資した株の扱いについてが挙げられます。

起業するときに、仲間とお金を出し合い、資本金を構成して会社を興すというのは、よくある光景ではありますが、実はその後のトラブルにも繋がりやすい、というのは、起業するときにはあまり気が付かない点だったりします。

今日はそのあたりをちょっとまとめてみます。
これから起業しようかなぁと思ってる人はぜひ目を通しておいてもらいたいです。

なぜ出資した株がトラブルになるのか

ちょっと例を出して説明しましょう。

たとえば、Aさん、Bさん、Cさんの仲間三人が会社を共同出資して興したとしましょう。1株を1万円とし、それぞれ100万円ずつ出資して、300万円の会社を作ったとします。

この場合、株数は300株であり、それぞれの持ち株比率は1/3ずつで比率は33.3%ということになります。

この三人の会社が、その後事業を軌道に載せ、会社を大きく成長させることに成功し、毎年利益を1億円産み出す会社となったとしましょう。

ここまでは三人で頑張ってよかったね、なのですが、本当に単純に喜べるのはこの三人が仲良く経営を続けられればの話ではあります。

たとえばこの中のCさんが、他のAさん・Bさんと経営方針の違いを巡って仲違いをし、会社から離脱するとします。

サラリーマンであれば退職ということで終わりますが、Cさんは経営陣の1人であり、33.3%の株を保有する大株主でもあります。ただ辞めれば済むというものでは有りません。

この33.3%という株の保有ですが、詳しい説明は省きますが経営の決定事項に拒否権を持つという、重大な権限を持っています。Cさんは経営陣を離れたにもかかわらず、会社に対して重要な決定権を持ち続けることになってしまいます。

これは残るAさん・Bさんにとってはとても困ることなので、Cさんに対して株を引き取りたいと申し出るわけです。しかし、ここで厄介なのが株価の存在です。

会社を設立したときには、三人で出資した総額は300万円が、会社の価値が全部で300万円だったことになります。

一方、会社は成長し、毎年1億円の利益を生み出す会社になりました。当然、会社の価値は300万であるはずがなく、会社の価値の算出方法はいくつかあるものの、数千万あるいは数億円の価値があると見られても仕方有りません。

Cさんが持っている株は「下手すると数億円の価値がある会社の33.3%」と判断されます。仮に会社の価値が3億円であると算定されたら、Aさん・BさんがCさんの株を回収するためには1億円をCさんに払わねばなりません

株価というのは、公開(上場)をしていないと、基本的には値がついていません。このため、株の価値は算出方法によってまちまちになるため、結果的には双方が主張する言い値にならざるをえず、最終的には話がまとまらずにトラブルに発展することがあります。

場合によっては、弁護士立てて裁判やーみたいなことにも。

株主間の取り決めは文書にて行うべし

このトラブルを未然に防ぐために行うべきは、起業をする際(正確には出資をする際)に、会社を離れるときの株の取り決めをしておくことです。

一般的には「創業者間契約」と呼ばれる契約書を、出資者全員で取り交わします。会社を離れるときに株の扱いや、その時の譲渡価格などを事前に決めておくということです。

ネットで「創業者間契約」などで検索をすると、いくつかの弁護士事務所さんなどで契約書の雛形を公開しています。

これらを参考にするなり、法律の専門家と相談するなりするのが良いと思います。

会社を興すときは、こういったことは意外と知られておらず、だいたい経営者間で仲違いするのは、経営が順調なときだったりします。(つまり企業価値が高いとき)

そうなるととても個人では株を引き取れない、みたいな事態になり、にっちもさっちもいかなくなります。ですので、こういった契約を事前に交わしておくことはとても大切です。

ちなみに私も起業したときはこういったコトをさっぱり知らず、途中で知人に教えられて、改めて作成しました。

そんなわけで、これから仲間と起業を考えておられる方、多少面倒ですが株主間契約を結んでおくことをオススメします。

仲間割れが起きるのは、だいたいが会社が儲かったときです。

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