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2024上位校頻出問題② 立体の共通部分

立体の共通部分とは?

立体の共通部分に関する問題とは、複数の立体図形の重なりの部分の図形について調べるもので、解き方としては立体切断と近い問題です。(基本の部分はほぼ同じ)
立体切断の中でも特に複数回切断が近いイメージと言ってよいでしょう。したがって、高度な技術問題にあたるレベルの問題です。難関校を目指す6年生の保護者様には特に知っておいていただきたい話題です。今年取り上げるものはほとんどが体積を求める問題でした。
まずはどんな問題なのか、実際に出題された入試問題を見てみましょう。

2023年の東大寺学園中の大問3の問題です。

2023 東大寺学園中より

やってみるとサッパリだ、イメージが湧かない…という方も多いはず。一つずつ作図をしていくと以下のようになります。今日は紹介を多めにしたいため、詳細な解法を語ることは控えます。ただ、ざっくりと解くと次のようになります。

いらないところを削っていくイメージがオススメです

いかがでしたでしょうか。非常に難しいですよね。
これは捨て問だ!と思う方もいるでしょう。私も以前までは出来なくても…と思っていました。しかし、これから紹介する学校で実際に出題が今年ありました。過去にも開成中や洛南中などで出題がありました。決して少なくない数の学校で出題されていますから、「捨て問だ」とか「特別すぎる技術だ」とは言っていられないでしょう。
それでは、実際に今年出題された共通部分に関する問題をみてみましょう。

まずは西大和学園中の入試。

2024 西大和学園中

細かい長さの決定をするために相似も利用します。切断とかなり近いイメージですね。本問では点Eを見つけられるかが攻略のカギです。

次に、洛南高校附属中。

誘導も含めて洛南らしい問題でした。ただ、最初の(1)ですら慣れていないと難しく感じるでしょう。洛南受験生は立体の共通部分は頻出ですので、対策必須です。

ここまで関西の出題ばかりです。たしかに、これまで関東ではたまに見かける程度でした。しかし、今年は以下の2校で出題がありました。

まずは栄光学園中。

2024 栄光学園中

強力な思考力問題が出題されることで有名な栄光学園中。今年は同校にしては目新しい技術問題として共通部分の問題を取り入れたのでしょうか。
難度としては図形がシンプルな分、洛南中よりは少しやさしめです。

最後に浅野中。

2024 浅野中

こちらは親切な誘導で最後に立体の共通部分の体積を求める問題。不慣れな受験生でも知識を組み合わせて解けるよ、と誘導してくれているとても温かい出題です。こちらは本日紹介した問題の中では一番やさしめです。

関東・東海地方の受験生も要注意

今年の上位校だけでこれだけ出題があると、さすがに「捨て問でいい」という判断はできないでしょう。少なくとも今後も出題が続く可能性は高く、得点源に出来れば非常に心強いです。
入試問題の一般的な傾向として、こういった難しい技術は関西の中学校で出題された後、関東の中学校で出題されることが多いです。そして、その後に東海地方に回ってきます。(ただし、東海地方では立体の難問は出る雰囲気はないのでしばらくは大丈夫でしょう)

もちろんすべての受験生が対策出来るのが一番よいのですが、現実問題多くの6年生はこれから習う直方体などの基礎的な立体の切断だけでも苦労していくことでしょう。ですから、共通部分の問題は扱うにしても夏以降で構いません(切断の基本がしっかりしていればすぐ慣れます)。
特に立体図形で切断がよく出る学校、今日登場した学校以外に、駒東、渋幕、早稲田、海城、ラ・サール、桜蔭、豊島岡、洗足学園あたりの学校は出題されるかどうか注目しています。(豊島岡などでは既に出題もあります)

立体の共通部分の問題はテキストでの対策がやや手薄になりがちな分野です(テキストによっては問題数が少ないorない)が、必要な時期に必要な受験生だけ取り組み、理解することで本番も少しでも対応できれば良いと思っています。

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