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【特集】 オヤジの科学 "レコードプレーヤーを作ろう”06 ~5V?12V?それが問題だ~


 パソコンを自作したことがある人なら、内部のパーツがどうなっているかある程度ご存知かもしれませんが、マザーボードがあって、そこからCDドライブやらHDDやら、昔ならフロッピードライブやらが電線で繋がっているのを覚えておられると思います。

 PC用の各パーツに供給される電気は、電源ユニットから数本の線が出ていてそれぞれ主に「5Vと12V」で出力されています。

 これにはもちろん、ちゃんとした理由があって、

◆モーターなどの駆動系がある部品は12V

◆ICやLSIのみの純粋に電子的な部品は5V

がざっくりとした稼働電圧の範囲なのだそうです。

 ちなみにATX電源などのPC電源規格では「12V・5V・3.3V」が供給されていますが、3.3Vというのは、ICなどの電子回路が省電力型に切り替わってきた中で、

「昔は5Vだった回路が3.3Vになることで、電力消費量を抑えるぜ、エナジースター!」

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という歴史的な流れがあるのだとか。


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ちなみに、iphoneなどがどんどん出てきて、内臓されている充電地は「リチウムイオン電池」が用いられているのですが、この電池の電圧が3.6V前後なので、3ボルト前後で稼働する電子回路というのは、ものすごく取り回しがいいんですね。

 乾電池2本でも3V、充電ができる昔のニッカド電池も1.2V×3=3.6Vなので、ちょうどこのあたりの電圧範囲は、応用回路がたくさん作れるということになります。

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 ところで、学研さんのトイ・レコードメーカーは、USBバスパワーを利用して動作します。USBの回路にはある程度の電圧が流れていて、その電気を流用すれば、モノを動かすことができます。

 スマホの充電部分が、USBと共通になっているのは、それを利用しています。

 このUSBバスパワーは、「5Vで500㎜A(2.5W)まで」となっています。

 IONのVINYL MOTIONも、USBケーブルで電源を取り、かつ内臓されたリチウムイオン電池に充電する仕様になっているため、実はこの制限にかかっています。

そのため、電源を直接ACアダプタで引っ張ってくる他社製品よりも、アンプなどのパワーを落とす必要があるわけですね。

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(実は本体には記載がない。取り説には記載があります。)


 一方LP&no.1の機種のほうは、「5V1000㎜A」まで可能です。

(IONの別のスーツケース型プレーヤーである「VINYL Transport」も同じように、5V1Aのアダプタが使われています。乾電池駆動の場合は4本6Vです)

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(こちらは明示されています)

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さて、ここからがポイントなのですが、学研さんやIONなどのプレーヤーで用いられている中国製プレーヤーユニット「C型」は、モーターのEG530が5V仕様なのです。

B型はざっと調べた限りでは5Vのものが多いのですが、やや怪しい製品もありました。

私が入手したA型は、なんと「9V/12V仕様」なので、5Vの回路ではダメなのです!

(EG530の5V仕様は、販売されていないわけではないが、タマ数が少なかったり、価格が高かったりする。9V/12Vの互換品はそこそこ転がっている)


◆ 学研とC型に採用されているEG-530SD-3F 5V~仕様

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◆ A型ユニットに載っているEG-530SD-3F 9V~仕様

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◆ 別のプレーヤを作ろうと思って買った互換品 9V~仕様

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 というわけで、今回のプレーヤーを作る際には、

「12Vの回路と5Vの回路を共存させる」

必要が出てきたというわけ。

 これがPC電源であれば、12Vと5Vは最初からケーブルが出ていますが、さすがにそんなでっかいものをつけるわけにはいかないので、電源周りを考えなくてはいけませんね。

(まだまだ続く)


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