2021年上半期映画ベスト

新作ベスト、旧作ベストの順で。
新作(鑑賞本数:約50)
1 燃えよデブゴン/TOKYO MISSION(谷垣健司、バリー・ウォン)香港
2 ある人質 生還までの398日(ニールス・アルデン・オプレヴ)デンマーク
3カポネ(ジョシュ・トランク)アメリカ
4樹海村(清水崇)日本
5アメリカン・ユートピア(スパイク・リー)アメリカ
6ドアマン(北村龍平)アメリカ
7シンクロニック(ジャスティン・ベンソン)アメリカ
8機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ(村瀬修功)日本
9blue(吉田恵輔)日本
10モンスターハンター(ポール・W・S・アンダーソン)アメリカ

1は古き良き日活映画を思わせる出来。120㎏のデブという設定で肉襦袢スーツを着ているのに、ドニーさんの動きが切れまくってて凄い。2は素晴らしいミタメショットが作中にあり印象に残る。3は死にゆく老人の醜態を描くだけだが退屈させない力強さがある。4は清水崇監督では久々に見応えのある力作。5は老いたデヴィッド・バーンの動きに凄みを感じる。6は海外盤で先に観た。北村龍平監督らしい格闘描写が存分に味わえて楽しい。7は一風変わったホラー含みのSFで予測のつかない展開に興味を引っ張られる。8は実写映画風の描写が目立つ中、一部でアニメならではの演出を盛り込んでいたのが印象深い。ただ始まったばかりのシリーズなので、今のところはガンダムUCの方が好き。9は夜の質感が気に入った。そして10については、ハリウッドのメジャー作品でここまで台詞の少ない映画を撮ったのは快挙とすら思う。

旧作(鑑賞本数約420本)
1たそがれ酒場(内田吐夢)1955
恥ずかしながら初見。カメラが室内から出ないのに、とても空間的な広がりを感じさせて素晴らしい。

2花形選手(清水宏)1937
教練に行って戻ってくるだけの話でこういう多幸感を演出できるのは流石。

3去り行く男(デルマー・デイヴィス)1955
上半期、デルマー・デイヴィスを集中的に観た中で本作が一番良いと思った。

4カリブ 愛欲の罠(ジョン・フリン)1992
やっと観ることができたが期待に違わぬ出来。ドン・シーゲルの『ラフ・カット』等に通じる余裕綽々の大人の騙し合い。

5殺人者はライフルを持っている!(ピーター・ボグダノヴィッチ)1968
ドライブインシアターのスクリーン裏から無差別に観客をshootingするクライマックスが良い。

6ヘンリー(ジョン・マクノートン)1986
脈絡のない即物的な殺人が1周回って笑えてくる。もろ80年代インダストリアルな音楽もツボ。

7絶壁の彼方に(シドニー・ギリアット)1950
『バルカン超特急』などヒッチコックと組んでた脚本家の監督作。まんまヒッチコック風の頗る面白いサスペンス。

8タイムリミット(カール・フランクリン)2003
荒木飛呂彦が何かの書籍でお気に入りに挙げていた小市民のサスペンス。こういうのを月1で観たい。

9君も出世ができる(須川栄三)1964
これも今更観たが予想以上に楽しいミュージカルだった。

10美しき小さな浜辺(イヴ・アレグレ)1948
映画で雨が降る場合、多くは土砂降りだが本作はしとしとじとじとと小雨が降り続けて印象に残る。

11映像研には手を出すな!(英勉)2020
コラージュしすぎてまるでゴダールやん。齋藤飛鳥が素晴らしかったです。

12エンジェル(ロバート・ヴィンセント・オニール)1984
昼は学生、夜は娼婦の15歳少女が仲間を殺した殺人鬼を追いかけるというキワモノな題材だが、よく作られている。ラストの追跡で走る総距離が相当に長くて胆力のある出来。

13スナイパー/狙撃(ラッセル・マルケイ)1996
ドルフ・ラングレン演じる狙撃者がとあるビルで準備をし標的を待つだけの話なのに、異常にJホラーっぽい。黒沢清好きなら必見な怪作。ビニールカーテンも出てくる。

14ナイトライト 死霊灯(スコット・ベック、ブライアン・ウッズ)2015
夜中の森林で展開されるPOVホラー。当然物凄く暗く、光の明滅や葉擦れの音だけで怖くしようとする試みが実験的で興味深い。ちょっとホラーでストローブ=ユイレやコスタをやってみました的な(そんな大したもんでもないが)。

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