職業、サヨナラ代行


デジタルに支配される現代。
無駄を排除することで、スムーズに、スマートに、味気なく、世界が動いている。
会社への欠勤連絡から愛の告白まで、言葉の殆どがスマホの中で完結できるこのご時世。
時間や手間をかける”アナログさ”は無意味なのだろうか?

主人公の吉木は、高月給という理由でサヨナラ代行人として働き始める。
サヨナラを伝えられない人たちの気持ちを直接代弁するのが仕事だ。
家庭環境に恵まれなかったことなどの理由で、幼い頃から内に籠る性質だった吉木。
ネット上の友人たちとのやり取りだけが唯一外との”繋がり”だった。
デジタルの世界に、不自由は存在しない。
誰かとソリが合わなければ無視する。
自分が傷つきそうになればその場から消える。
そんな世界で生きてきた。
吉木は様々なバックグラウンドを持つ人々のサヨナラに触れるうちに、人との繋がりに愛おしさを感じ始める。
デジタルなんかよりもずっと面倒臭くて、ややこしい、アナログな人間関係。それでも、なぜか温かい気持ちになる。
ただただ時間内に仕事を終わらせるだけだった吉木が、代行先のために出来ることはないかと次第に主体的に取り組むようにまで成長する。
そんな中起きた、勤務先で気にかけてくれていた先輩社員・笠原との突然の別れで、吉木は人生で初めて涙する。

繋いであった縁が切れることを意味する、”サヨナラ”。
人との縁の温かさを知るとともに、儚さをも気付かされる物語。
デジタルが肯定されがちなこの現代だからこそ、アナログな人間臭さの必要性を改めて問う。


#テレ東ドラマシナリオ


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