短文

あと2キロも歩けば海につながるはずのこの川だが、まだ潮の匂いはしない。
それをまたいで走る幹線道路の隙間をぬって、高層マンションがばんばん建っている。
私はそのマンションひとつにいくつ窓があるかを数える。
窓の向こうにいる誰かのことを考える。
あの部屋で今日も灯りを消すあの人、は私が今あなたのことを考えてることを知らない。

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