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2019年4月28日日曜日、今この世にいる巫女を観る

チケットが一枚あるから、とあるライブに誘ってもらった。青葉市子さんが出る。実はちゃんと聴いたことがなくて、どちらかというと雰囲気で押してる感じがあんまり好きでなくて敬遠していたアーティスト。一回くらい聴いておくか、と行くことにした。

別のアーティストとの2マンだったのだけど、かなりの割合で男性が多い。ライブ前は男性トイレの方に長い行列ができている。サブカルおじさんたちが何かを投影している…と乱暴で失礼なことを考えてトイレに並ぶ。(小袋さんカルチャー顔問題が炎上してたけど、私には差別している側の人間として全然人ごとだと思えない)

青葉市子さんは最初に出てきて、髪が長くてふわふわしていて、小さくて、80年代の漫画に出てくるような砂糖菓子のような女の子だった。笑うと全身から言葉どおり笑みがこぼれて、果たしてこれがみんなが虜になる理由かあと納得もいった。

彼女の歌は全編を通して祈りのようだった。ギターが超絶うまくて、深く通る声で、でもおそらく見ている人ひとりひとりにささやいているような。ライブでの圧倒的な力。

ライブのすごさでは、七尾旅人さんが大好きなのだけど、彼とはまた違う圧倒的な力。七尾さんが手を取り心をどんどん揺さぶってくるのに対して、市子さんは少しだけ遠くにいて、手招きをしながら深いところにおりていくようなイメージ。

私はアニメ映画のハウルの城で見たハウルの部屋を思い出した。煌びやかな装飾品であふれたハウルの部屋。それは魔女から自分を守るためのまじないで、奥にはくらいくらい洞窟がある。傷ついたハウルがその洞窟に異形の姿で休んでいるのをソフィーが見つけるシーンがある。

青葉市子さんの歌の中にいると、一見彼女の周りにキラキラしたものがたくさん見えるのだけど、実はすごく深いところに連れていかれる。ひとりにならないといけない場所。ねじまき鳥クロニクルで主人公が降りる井戸の底。それを見ながら市子さんは祈ってる。

みたいなことを考えながら、意識が半分くらい飛んでた(多分寝てた)。


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