OUT を主観的に語る

踏み入れたらOUTな不良の世界を描いた作品です。

個人的に不良漫画の中で一番面白いと思います。
漫画の面白さの構成要素に、「キャラ魅力」「プロット」「共感性」「画力」などがあると思いますが、この作品は画力とキャラ魅力故の共感性や、作品全体の「不良の世界から学べる生きるスタンス」を学べる漫画としても抜群にいイケてると思います。

主人公の井口達也さんは、いろんな漫画の監修をしている実在した狛江の狂犬 と言われた不良だそうでして、ドロップ や 少年時代を描いた チキン が有名ですが、OUTは時代設定を現代にリメイクしながら、実在した不良の登場人物を元に描いているようです。

バトル漫画では、スカウター的な戦闘力でヒエラルキーが決まります。この漫画も若干その傾向はあるのですが、その様なバトル要素以外にも、不良哲学がたくさん盛り込まれています。

「つまりタイマンとは、元々不平等が大前提で何でもアリの理不尽極まりない勝負なのだ....なので出来る限り平等を求めるならOUTの世界に足を踏み入れてはならない」
→ 絶対的強さが指針のOUTの世界で、平等なんて甘いこと言ってんじゃねーよ的なシーン。

「男は腕っぷしの強さより、信頼できることの方が大切だ」
→ 裏切る人が多い業界なので、キレても相手のメンツを守った主人公に対して信頼を寄せるシーン。

「人は恐れている人間よりも愛してくれる人間を容赦なく傷つける」
→人は距離が遠く関心度が低い人よりも、近くにいて愛情を感じる人こそ深く傷つけてしまう生き物的なシーン。

などなど、です。

また、不良の中でもトップを張るような人は「度胸」「覚悟」が有り、強く有り続け、その共同体の中での信頼を築き上げて組織を率いないといけません。
これは、普通の社会のトップとして必要なことと同じです。

実際、不良でも、筋が通っていた人は経営者になる人も多いですよね。解体屋とか工務店とか不動産とか飲食とかのジャンルが多そう。しょうもない人はチンピラになるんでしょうが...。

OUTの作品内では、今10代の彼らが今後どうなっているいくか、彼らが将来をどう考えているか等も、予想できそうなキャラ設定と書き分けがされ、リアルに描かれています。

なので、OUTの世界の出来事で別世界のことではあるんですが、社会で生きるスタンスは同じなので、OUTの世界で発せられる「名言」を噛み締めながら読んで欲しい作品です。
まだまだ完結せずに続きそうです。現代では見られなくなった不良の世界を追体験できる様な世界観。オススメです!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?