ペリリュー楽園のゲルニカ を主観的に語る

太平洋戦争の際に、日本軍陸軍として大反撃に出たのがペリリュー島の戦いです。それまでの戦局は惨敗が続いていましたが、ペリリュー以降から持久戦に突入してかなりエグイ被害を両軍出す形になります。スピルバーグのドラマの「The Pacific」でも全10話中3話がペリリュー島の戦いです。

この太平洋の綺麗なパラオ諸島の一つであるペリリュー島の戦いで、亡くなった人の家族にその兵士の活躍を伝える「功績係」という特殊な役についた主人公の田丸を、生還した実在の方の話を元に描かれた作品が本作品です。

可愛らしい二頭身のキャラクターで描かれる戦争の残虐性が、絵柄の可愛さ故に逆に恐ろしさを掻き立てます。「桜のように散る」という日本古来の死について綺麗な考え方を真っ向から覆す様に、糞尿を垂れ流しウジが湧き、醜く死に絶える「死の醜さ」の様を可愛らしい絵柄で皮肉に描いています。

戦争マンガといっても、陸、海、空でやはりメインの描写は変わってきます。陸自だとどうしてもマシンガンの乱射の中凄まじい人数が死に絶えていく殺しあいの様をマクロに集団で見る、その壮絶な光景こそ戦争モノという印象です。

しかし、この作品はサンゴ礁の美しい島の自然の風景や星空など、本当に殺し合いをしていると思えないような綺麗な南の島の描写と主人公や、兵士一人一人の心情が表現され、また、その中で醜く人が死に絶えていく様が交互に描かれます。

戦争の映像などでも、大砲を撃つ、銃を撃つシーンが多いですが、それらの弾が着弾した側がどうなっていくか。銃で撃たれた後、どんな想いでどう死に絶えていくか。
それらが描かれているのでリアルなのだと思います。
戦争モノがグロくて見れないという方にこそおススメです!


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