ミキ
浪人の時期、職業選択肢の一つに物書きと翻訳家があった。素敵な訳文が施された、古い洋楽を聴いてからだ。夢を見果てた訳ではないが、きっと私よりふさわしい後進が現れるだろう。
二十年の時が経ち、形は違えども自分の名が記された出版物が世に出ることになった。さらに受験生の作文を指導する立場になり、私にあたってしまった生徒ははたして幸か不幸か。生徒は先生を選べず、先生も生徒を選べない。
ーー一番やさしくて、一番おっかなくて、一番厳しくて、一番頼られる先生になろうよーー
自分が新人の頃に世話になった、今は鬼籍に入られている師匠の言葉が今も忘れられない。そして今、寄らるる影の大樹になるための出会いを私は手に入れた。私の幹がさらに頑丈となるような。もっと早くきみに出会えていればと若干後悔するような。
未来に祝福を。
生まれた理由?そこは考える必要はないかと。きみに会いたい人がいたからでしょ。
己の根幹は己の力量で示す必要があるでしょうが、努力こそ至上の才能と思います。
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