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伊藤あみなさん 取材日記①<光の世界>

2020年10月に開催された「伊藤あみな展~夢の中にある色彩の世界~」
の取材日記です。


○、△、□。

雲、波、花。

家、道、ビル。


福島県耶麻郡に住む画家・伊藤あみなさんの描く絵は、数えきれない程の幾何学模様に色鉛筆とキラキラペンで色を塗り込める画法で、私たちに少し不思議で優しい光の世界を見せてくれる。


美術講師や版画に携わっていた両親の元で生まれ育ったあみなさん。

芸術に囲まれた環境ではあったものの、どこか遠い世界のように感じていた子ども時代だった。

あみなさん曰く、

「普段の生活でも近場には中々行かない、みたいな事に似ていると思います」

読もうと思って買った本をいつまでも読まずに机に置いておくような、

そんな、誰もが経験したことがある感覚に似ているのかもしれない。

あみなさんに転機が訪れたのは20年ほど前。

遠くに感じていた芸術の世界に飛び込んだのだ。

きっかけは、ひとりでヨーロッパを旅しフランスに2か月ほど滞在した時のこと。

そこで日本人の銅板画家と出会った。

生活で使う道具、行動、そのリズム。

ひとつひとつに彼自身の意思や想いがこもっていた。

生きる事への丁寧な姿勢が、彼の描く銅版画に滲み出ているように感じた。

「生活と作品はつながっている。芸術は遠い世界の事じゃない。」

と、その時に気付いたあみなさん。

このタイミングで

君は絵を描くことに向いていると思う。

と彼から絵を描くことを勧められた。そしてあみなさんは絵を描き始めた。
(取材日記②へ続く)



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