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旅のスケッチ

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かつて旅で描いたスケッチを綴る「旅のスケッチ」ほか、旅に関する投稿をまとめました。
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#絵地図

キャンプは帰ってからも楽しい

キャンプへ行く前は、行く予定の場所の地図を見て、どんなところか想像する。 現場では、そこがどんな場所なのかをただ観察し、体で感じる。 瀬と淵で温度の違う水、谷を渡る風、湧き上がる雲、月明かりとそれを反射するクモの目玉。アブとの戦い、ヒル地獄、沢ガニ、小さな魚、時には走り去る鹿や猿。そういうものに出会いたくて、感じたくてキャンプに行くのだけれど、もちろんそれだけで十分楽しいのだけれど、 帰ったら、そこの地形や歩いた場所、見つけたもの、面白かったことを一枚の絵地図にする。 こ

風景をつくる手仕事

ほとんどの日本人がそうだと思うけれど、棚田が好きです。 私が育った場所では大きな川沿いにどこまでもまっすぐな車の通れる農道が続いていて、両側には一面に田んぼが続いていました。秋の台風のシーズンにはたまに、あふれそうになった川から越流堤を越えて流れてきた泥水をためる遊水池としての役割も果たしていた大きな田んぼは多分、そう古くない時代に整備された農地で、春から秋にかけてトラクターやコンバインが活躍していました。春には水が張られて田植えの頃には初夏の青空を写し、緑色の稲がいつしか