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旅のスケッチ

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かつて旅で描いたスケッチを綴る「旅のスケッチ」ほか、旅に関する投稿をまとめました。
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#未来に残したい風景

風景をつくる手仕事

ほとんどの日本人がそうだと思うけれど、棚田が好きです。 私が育った場所では大きな川沿いにどこまでもまっすぐな車の通れる農道が続いていて、両側には一面に田んぼが続いていました。秋の台風のシーズンにはたまに、あふれそうになった川から越流堤を越えて流れてきた泥水をためる遊水池としての役割も果たしていた大きな田んぼは多分、そう古くない時代に整備された農地で、春から秋にかけてトラクターやコンバインが活躍していました。春には水が張られて田植えの頃には初夏の青空を写し、緑色の稲がいつしか

旅のスケッチ 千住大橋とお稲荷さん

旅先でスケッチをするようになったのはいつの頃からだろう。 旅スケッチをするようになったのは、せっかく訪れた空間を記録しておきたいと思ったから。写真とは違って、少なくとも絵を描いている間はその場にいて、観察をすることになるので、一瞬を切り取る写真と違って時間経過が絵の中に描きこまれるのがよいと、当時の先生が言っていたのを聞いて始めたような気がする。私は美大で環境デザインを学ぶ学生だった。記憶力に全く自信がない私が、場を記憶にしっかり刻み込ませる手段として、スケッチをするように