散歩日和

「そこにある日常は、常にドラマチックだ。」をテーマに散歩の記録を綴っています

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最近の記事

こぼれ星

荒れ狂った海を朧げな月が照らす夜。 やっとの思いで旅館へ辿り着くと、案内されたのは大きな窓から海の見える古いお部屋。 「今日は大変でしたね。こんな天気の次の日には、そこの浜辺にたくさんのこぼれ星が落ちていますよ」と女将さんが教えてくれた。 こぼれ星・・・? 星が落ちているなんて、そんなことがあるのかな。 明日の夜明け前、こっそり探しに行ってみよう。 もし落ちていたら、まだ星が輝いているうちに、 そっと拾い集めてあげよう。 こぼれ落ちても、空から見つけてもらえるように。

    • vol.5 初めて、世界で独りぼっちだと思った。 - 福岡県 糸島より - 

      瑞々しい自然が生きるまち、糸島。 芥屋の大門(けやのおおと)という海蝕洞を見に、このまちへやって来た。 今日は風が強くゴーゴーと海が鳴いている。 駐車場から徒歩3分、海の近くに建てられた鳥居を横目に、地図に記されている船着場まで急ぐ。 山を越え、 島の反対側へ周り、 生き物といえばトンビとハエと私しかいない、 荒々しい海岸沿いを走る、走る、走る、走る、走る。 夢中で駆け抜けた先には港。 夕方だからか、人の気配は全くしない。 この時初めて、世界で一人ぼっちだと思った

      • 夢の国の向こう側、 青い世界。

        チケットを渡しエスカレーターを降りると、そこには水の中で息をする者だけの世界が広がっていた。 水中で息苦しくなってしまう私たちは、水と光と気泡だけが存在するシンプルな世界に包まれて、群れを成して泳ぐ者、大きな体で1人泳ぐ者、泳がない者、それぞれの泳ぎ方をガラスの向こう側から傍観している。 まるで、自分がどう泳げばいいのか、切望しているみたいに。 葛西臨海水族園より

        • お気に入りクレープと休日の終わり

          日曜日の午後5時、二子玉川駅の改札を過ぎ旧玉川高校のある方へ。バス通りを進んでいくと見えてくるのは、この街で20年以上も愛されているクレープ屋さん。暑さでへばった体にカスタードの甘さが染み渡る。二子玉川公園の階段で夕陽を眺めながらクレープを食べるのが休日を締めくくるお決まりのコースだ。 デート中のカップルもピクニック中のファミリーも犬のお散歩をする外国人も元気に走り回る子供たちも、皆んなこの階段に集まって同じ方向を向いて座っている。オレンジ色の空の下、そこには少し気怠いよう

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          6本

        記事

          桜と、 缶ビールと、 四川麻婆豆腐と、

          金曜日の22時、駅の改札を出て徒歩1分、中華料理店でお気に入りの四川麻婆豆腐を買う。そこから3分コンビニで缶ビールを買い、閑静な住宅街を15分歩く。ここが私の華金スポットだ。 時には子供の遊び場であり、工事現場のおじさんの憩いの場所であり、お兄さんが1人でブランコを楽しむ場所でもある公園で今日も桜は咲いている。 一体どれだけの住人を見てきたのだろう。 1週間の疲労を山椒の効いた麻婆豆腐とビールで流し込む。 やっと私も、この街の住人になれた気がした。 どこかの公園より

          桜と、 缶ビールと、 四川麻婆豆腐と、

          海の見える駅を巡る旅 vol.1 - 心地よい「青」を探して - 熊本県 海浦

          春の訪れを感じるようになってきた今日この頃。 生温い風と共に降り立ったのは、周りを山と家に囲まれた駅「海浦駅」。 改札も何もない無人駅で、すぐ隣には民家や畑がある。 列車を降りてまず初めに目に飛び込んでくるのは、太陽の光がキラキラと白く反射した美しい青、八代海だ。 海を見ながら、ボーッとすること10分。 駅の近くを散策することに。 この路線は、1時間に2本ほどの列車があり、ホームには自転車マークが。 *この列車を利用している学生たちは、夜部活が終わるとカップラーメンを

          海の見える駅を巡る旅 vol.1 - 心地よい「青」を探して - 熊本県 海浦