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#94 マンション分譲のチラシの記載内容を考えてみた

 海老名駅周辺が過度に商業化され高層マンションが林立している。私はマンション建設を否定しているものでも、高層マンションを否定しているものでもない。それはそれで、価値のあるものだと思っている。
 マンション分譲のチラシが新聞折込に入ってくることがあり、時折チラシを眺めている。それを見ながら思うことがある。

 明和地所は計画を大幅変更すると言っているらしいが、相模国分寺跡隣接地に14階建てマンションを建設した場合、どのようなチラシを作って分譲するつもりだったのだろう。
 少し思いを巡らせてみた。

●眼下に広がる相模国分寺跡の緑地。その広々とした空間を貴方の生活に。         
 
このようなことは書けまい。広々とした空間を14階建てのコンクリートの塊が台無しにしているのだ。広々とした空間を台無しにしている本人が、広々とした空間をアピールすることはできない。

奈良時代の史跡が眼下に広がります。悠久の時の流れを感じながらの日々を送ることができます。
 このようなことも書けまい。史跡の価値、景観を損ねているのは14階建ての近代的建築物なのだ。1300年の時を経た相模国分寺史跡の価値を前にすると、上記のようなキャッチコピーは滑稽だ。

●窓から差し込む太陽の光。健康的な生活を送ることができます。
 南側境界線ギリギリに建ててあるから、47戸のうち1階と2階の14戸は南側の窓を開けると、目の前の隣接地に建つ家の壁が見える。普通、南側境界線ギリギリになど建設しない。仮に上記のような記載があったら、それは正確さを欠くものである。

●静寂な室内。くつろげる時間がそこにあります。
 14階建てのマンションの高さが43メートル。「随分と安普請だねえ」という話は当初から耳にしていた。14階建てだと普通は44〜45メートルの高さになるそうだ。ネット上には、明和地所のマンションは「階下の洗濯機の音が聞こえてくる」という話が書かれていた。建設費用を削るために天井と床の間を狭くしたために防音対策が取れなかったと推測される。

●33台分の機械式駐車場(昇降横行式、地上4段、地下2段)を完備。
 業者は条例により戸数の3分の2以上の駐車場を完備しなくてはならない。狭い土地に33台分の駐車スペースを作るためには立体的な機械式駐車場とせざるを得ない。しかし、今日、機械式駐車場が問題になっている。人口が減り、車の所有率も減っているので、車の所有者数が減っている。その結果、駅に近いマンションでは機械式駐車場の稼働率が減っている。しかしメンテナンスはしなくてはならない。費用が掛かる。その結果、駐車場利用費が年々高くなっているというのだ。このような状況を消費者は知っている。いまや「消えゆく機械式駐車場」と言われている。機械式駐車場完備というのはセールスポイントにならないどころか、マイナスポイントなのだ。

 以上のように、明和地所が建設しようとしている相模国分寺跡隣接地マンション(仮称クリオ)にはセールスポイントがない。
 海老名駅周辺には魅力的なマンションが多数ある。ましてや、住民・市民・県民が建設に反対し、新聞や市議会でも話題になったマンションである。これを購入するメリットは全くないと言っても過言ではない。

 明和地所は、このマンションをどのようにして分譲するつもりだったのだろうか。この疑問は当初からもっていたものである。

(23.6.23)

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