「少女期」もしくは「乙女の曲」/さりげなく少女は存在を消された
>美緒ちやん、ユミは飯村久美子になりました。いまは、これを打明けて、学校でも、幼い日からのお友だちの貴女とまた仲よく肩を並べられるのです。うれしくてなりません。いつか学校でユミでない久美子として押し切らうとしてゐたときの、暗い悲しい気持は二度と繰り返ずにすみます。明日は、新しい父と母に連れられて、この海岸から帰京し亡くなつた久美子さんのお墓へお詣りし、お花を捧げて、久美子さんの身代りとして、御父様と御母様によい娘になることを誓ひます――、いづれおめにかかつてからお話いたします