羽生結弦ファンとWhite Rabbitの起源を探った

結論:2014-15シーズン

この文章の意図

X(旧Twitter)で「Rabbit Rabbit White Rabbit」ツイートをしている人の羽生ファン率高くない? と気づき疑問を呈したものの、もちろん誰も答えてくれないので自分で調べた。
いかなる方面に対しても批判的な意図は一切ない。以下、「Rabbit Rabbit White Rabbit」を「ほわらび」と略す。

Rabbit Rabbit White Rabbitとは

元々はイギリス・北米などの文化圏におけるおまじない。毎月最初の一日にこのフレーズを唱えると幸福に過ごせるというもの。
このフレーズで検索すると羽生結弦ファンブログが出てくる程度には羽生ファンに膾炙しているが、スケートに関係のないブログでも紹介されているように、本来スケートとは無関係の言葉である。
下記のブログで説明されているように本来は言い方にいくつかのバリエーションがあるが、スケートファン界隈では言い方のばらつきはほとんどなく、元ネタになったスケーターの言い方に忠実な「Rabbit Rabbit White Rabbit」で統一されている。

フィギュアスケートファン界隈におけるほわらび

アメリカの元フィギュアスケート選手、ジェレミー・アボット(2010年バンクーバーオリンピック、2014年ソチオリンピック出場、2017年引退)が月初にこのフレーズをツイートしていたことからスケオタに広まった記憶がある(スケオタ老人会)。
アボット本人のアカウントは現在削除されているが、アボットファンクラブ代表のMinoriさんのツイートから、2010年~2011年ごろには当時のスケオタがアボットを真似てほわらびツイートをしていた様子が窺える。

現在のほわらび

「Rabbit Rabbit White Rabbit」で完全一致検索してみると、スケートファンやスケートに関係のない方のツイートも見られるものの、羽生ファンが圧ッッッ倒的に多い。
羽生ファンが使用する独自のハッシュタグやファンアートを添えた投稿も多く、独自のファン文化として定着している気配がある。

羽生結弦とほわらびを結びつける投稿

そもそもスケーターから浸透したおまじないということで、ファンが思い思いに好きなスケーターの画像を添付したり、スケーターへの応援メッセージを添えたりする文化は古くから存在した。
2014年5月のこちらのツイートでは羽生ファンの間で使われる挨拶が添えられているものの、リプライでほわらびの意味を説明していることから、まだファンに浸透していなかった可能性が高い。

こちらの方はスケオタ文化としてのほわらびを踏襲しつつ、羽生結弦への応援を差し込んでいる。

2014年の秋ごろ(シーズンインあたり)から、羽生結弦の名前や画像が入ったツイートがみられる。

2014年ソチ五輪で羽生ファンになった人が、2014年11月に初のほわらびツイートをしている。

文字を入れたり、うさぎ風に加工したりと、ほわらびのイメージに合わせて準備したと思われる画像も出てきた。

2015年2月、アカウント名から羽生ファンであることが窺える人の投稿が増えてきた。まだ多数派という感じではない

2015年3月、世界選手権を前に手術からの回復状況を心配する声が多い。写真をデコレーションしたものに加え、ファンアートを添えたツイートが発生。

少し飛んで2015年7月、スケートのシーズンは7月から始まるためこの月は新年に相当する。あけおめツイートを兼ねていることもあって広くスケーターの健康や充実を願う投稿が多い。羽生ファンの投稿は多数派とまではいえないが、ある程度定着した様子がみられる。

というわけで、羽生ファンの間でのほわらび文化の発生は2014-15シーズン、と大まかに絞り込むことができる。
ソチ五輪で羽生ファンが一気に増えたことは想像に難くないが、ほわらび文化の発生はその翌シーズンと、少しだけタイムラグが生じている。
ソチ五輪からの新規ファンがTwitterに登録して情報収集をするうちにスケオタ文化としてのほわらびに触れ、翌シーズンから使うようになった、と考えると比較的辻褄は合う。羽生結弦の知名度が爆発的に上昇し、従来のスケオタとはやや異なるアプローチからファンになった人(いわゆる他の選手に対する興味が薄かったり、いつからファンになったかをプロフィールに書いたりする人)が増えたという当時の個人的な印象とも合致している。
だとすれば、この風習を広めたのは「元々スケートファンでほわらびを知っていて、ソチ五輪後に新規羽生ファンと積極的に交流した羽生ファン」ということになるのだろうか。Twitterは削除されたアカウントの様子を今から窺い知ることができないので、今回の調査は正確に情報を拾い切れていないかもしれない。「比較的フォロワーが多く、発信力の高い羽生ファン」から一気に習慣が広まった可能性もあるのかな。当時を知る人がいたら教えてください。

ハッシュタグの使用

羽生ファンの間でよく使われているハッシュタグ「#羽生結弦全力応援」と絡めた投稿は2017年1月が初出。同年5月には「#WeLoveYouYuzu」、12月には「#羽生結弦選手が今日も元気で幸せでありますように」を添えた投稿も登場している。
(私が羽生ファンに詳しくないので他にもっと適切なタグがあるのかわかりませんでした。すみません)

この後も独自のファンタグを添えた投稿が増加しており、ほわらびが「羽生結弦のファン文化」として醸成されていった空気が感じられる。

というか、ファンタグの種類が……多いね……!

その他

大量に検索しすぎてだんだんTwitterに怒られ始めているのでそろそろ終わりにしたい。
2015年12月31日までに期間を限定した検索でも相当数が羽生結弦関連の投稿で、2016年12月31日までの検索だとさらにその割合が増えている印象がある(数えたわけではないので、あくまでぱっと見の印象です)。
ということで、概ね2015年ごろにはこの文化が羽生ファンの間に定着したのではないかと思われる。

2017年ごろに端を発するハッシュタグとの併用も、羽生ファンの間における独自の発展を象徴しているとみていいだろう。それらがファンの間で繰り返し伝えられていった結果として、今では概ねファンにとって「羽生ファンの恒例のおまじない」と捉えられているのではないだろうか。
で、今(2024年4月、期間を限定せず完全一致検索+最新順に表示)だとおそらく羽生ファンの投稿が九割を超えているし、投稿の母数も明らかに多い。そりゃ(おすすめトレンドとはいえ)トレンド入りもするわけだよ。

ちなみに、最近の羽生ファンほわらびツイートを読んでみると、ファン向けハッシュタグが複数使われている、最近のショーなど羽生結弦に関する時事ネタ(?)に触れられている、本人の画像やファンアートに限らずきれいな画像が添付されている、長文化しているなどの傾向も感じられる。
もしかしたら、単に羽生ファンがファンとしてのツイートをする際に、それが月初であればほわらびを付記している、という感じなのかもしれない。

最後に

思ったより全然歴史が長かった。舐めててすみませんでした。

当たり前のことだが、「Rabbit Rabbit White Rabbit」というフレーズは誰のものでもない。好きに呟こう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?