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ポケットからキュンした話

「ポケットからキュンです」
という歌が若者を中心に流行っています。
「キュン」とはトキメキをあらわす言葉です。

しかし、僕がその歌で思い出すのは、
亡くなった祖母のことです。

大学生の頃、僕は祖父母と
3人で暮らしていました。

特に不自由はありませんでしたが、
世代の違いなのか宗教上の違いなのか、
たまに祖母は僕から見て
おかしなことをしていました。

その1つに、
「ポケットに塩を入れてくる」
というのがありました。

祖母は、僕の全ての衣類と鞄のポケットに、
『小袋に入った塩』を入れてくるのです。

理由は今でもよくわかりません。

はじめの頃、
僕は塩に気付かず生活していました。

ある日、僕はTSUTAYAに
ビデオを返すため、深夜に家を出ました。

すると、巡回中の警察官に職質されました。

特に急いでいなかったので応じると、
僕のポケットから身に覚えのない
白い結晶の入った
小袋が大量に見つかりました。

警察官はすぐに無線で応援を呼び、
僕は警察官に囲まれました。

僕は一瞬のことでわけがわからず、
パニックになりながら涙目で、

「違うんです。ほんまに違うんです。」

と言うことしかできませんでした。

完全にヤってる人のセリフです。

警察官も僕がヤってる人
だと思っているのか、逆に優しく

「大丈夫ですよー」

と言っていました。
何も大丈夫じゃありません。

ああ、僕は何者かにはめられて、
人生終わったんだな、と思いました。

もう半ば諦めながら、
とりあえず僕は祖母に電話しました。

「なんかポケットに
変な小袋入ってて粉も入っててん。
そしたら警察に捕まってん。
俺じゃないねん。」

支離滅裂だったと思いますが、
こんなことを言っていたと思います。

そしたら祖母は

「それ私が塩入れてん。厄除けのために。」

と答えました。

厄しか舞い降りていないことを
僕は祖母と警察官に丁寧に説明し、
なんとか帰宅することができました。

僕はあの時の心臓の締め付けこそが、
本当のポケットからキュンだと
思っています。

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■実家が全焼したことのある新橋のサラリーマンです。■毎日、切なかった出来事を投稿しています。 ■大学院で経営学を学びましたが、経営していたBARは潰れました。■親が始めたカフェの食べログの評価は2.9です。