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ご近所さん

2020年秋頃からゴム通しを手伝ってくれていたご近所さん。
先週末、80歳の生涯を終えました。

苦労の多い人生でした。
2年前に大切にしてきたものを無理やり奪われて絶望の淵にいました。
そんなときに彼女と出会いました。

日常生活もままならないほど混乱する状態でしたが、新しい出会いの一つひとつが、やがてその人の暮らしをふんわり包み込んでいきました。

生まれ故郷のみかん畑の香り
神戸の喫茶店で初めて飲んだ珈琲の味
死に別れた息子との思い出
故郷を離れた大阪で懸命に働いてきたこと

背筋をピンと伸ばし、ゴム通しの手を動かしながら、いろんな話しをしてくれました。

数日前に思い出のたくさんつまった場所でお葬式をあげました。
たくさんの人があつまり、彼女との思い出があふれる温かい時間でした。

きっと今ごろは生まれ故郷の愛媛県にわたり、みかん畑からの景色をのんびり眺めているんじゃないかなと思います。

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