マガジンのカバー画像

短編小説

60
今まで書いた短編集です。
運営しているクリエイター

#短編小説

「掌編小説」スキャンダル#青ブラ文学部

寂しかったの、ええ、それだけよ。 えっ、他に何かなかったのか?って それしか私には、何の…

sanngo
3日前
43

「短編小説」祈りの雨

二階の寝室の窓に打ちつける風の音が、うぉーうぉーとまるで狼か野生動物のような音を響かせて…

sanngo
2か月前
56

「短編小説」〜ムーンリバー&手のひらの恋〜NNさん企画#青ブラ文学部

海に浮かぶ月光を「ムーンリバー」と呼ぶと覚えたのは、幾つの歳だっただろう。 母方の祖父の…

sanngo
2か月前
81

「ショート」手のひらの恋#青ブラ文学部

恋なんてものは、始まりはドラマティックだけど終わりは、どれもありきたりなものじゃない? …

sanngo
2か月前
54

「ショート」桜色の口紅#シロクマ文芸部

桜色にほのかにパールが入った口紅を見た時、私は欲しくて欲しくて堪らない衝動にかられた。あ…

sanngo
3か月前
50

「短編小説」 暗々裏

「全部、コロナのせいだ」 空席だらけのホールを眺めながら、店主の須藤 貴樹はため息をついて…

sanngo
3か月前
54

「短編小説」 朧月#シロクマ文芸部

朧月が春の夜空にぼんやりと浮かんでいた。 楼主のおやじさまが、ちり紙に包んだ星のようなお菓子を泣きじゃくる私に見せた。 「なっちゃん、よくお聞き」 「…」 こくんと頷いておやじさまを見上げると 「ほら」 私の口の中に星を一つ入れてくれた。生まれて初めて食べる味に 「うまい!美味いです、おやじさま」 涙はすぐに引っ込んだ。 「なっちゃん、美味しいだろ?」 「はい、あ、美味しいですっ」 慌てて丁寧な言葉に直した私を無視して、おやじさまが続けた。 「金平糖って言うんだよ、なっ

「短編小説」閏年に#シロクマ文芸部

閏年に一度、母は私に逢いにくる。 うっすらと覚えているのは、四歳の時、砂場で遊んでいた私…

sanngo
4か月前
67

「短編小説」聖母マリアは死なない 5

「どういうことだ?!」 日頃、丁寧過ぎるほど丁寧な言葉遣いと所作のホテルマンが険しい顔と…

sanngo
6か月前
33

「短編小説」出来そこないの死神 【まくらさん共同マガジン企画】

「因果な商売についちゃったよな…」 ビュービューと冷たい風が吹き荒ぶ古い病院の屋上でレオ…

sanngo
6か月前
46

「短編小説」聖母マリアは死なない 4

殺すターゲットは決まった。 でも、大の男を私が殺せるかしら? スクラップブックを両手で抱き…

sanngo
6か月前
40

「短編小説」聖母マリアは死なない 3

「二人じゃ足りない」 保証人を立てなくても借りられる安アパートに帰って実花は考えていた。…

sanngo
6か月前
39

「短編小説」聖母マリアは死なない 2

担当の部屋を全て整備し終わると、実花は私服に着替えるためにロッカールームに向かった。 「…

sanngo
6か月前
43

「短編小説」聖母マリアは死なない

横浜の観覧車が見えるホテルで水野 実花は、清掃係をしていた。海側の壁一面が窓の部屋から天気の良い日にはずっと遠く水平線の彼方まで海を見渡せる。 実花は、この仕事が好きだった。 しわくちゃになったシーツをランドリーボックスに入れ、ベットメイキングをする。  備え付けのアメニティグッズの補充をするとロクシタンの甘い香りに包まれた。バスルームを髪の毛一本残さないように綺麗に洗いあげる。 シャワーヘッドから出る噴水のようなお湯で、バス洗剤を流しながら 「便利な世の中になったこと」 実