「短編小説」聖母マリアは死なない
横浜の観覧車が見えるホテルで水野 実花は、清掃係をしていた。海側の壁一面が窓の部屋から天気の良い日にはずっと遠く水平線の彼方まで海を見渡せる。
実花は、この仕事が好きだった。
しわくちゃになったシーツをランドリーボックスに入れ、ベットメイキングをする。
備え付けのアメニティグッズの補充をするとロクシタンの甘い香りに包まれた。バスルームを髪の毛一本残さないように綺麗に洗いあげる。
シャワーヘッドから出る噴水のようなお湯で、バス洗剤を流しながら
「便利な世の中になったこと」
実