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短編小説

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今まで書いた短編集です。
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#私の作品紹介

「短編小説」花吹雪#シロクマ文芸部

花吹雪が新郎新婦を祝福するために人々の手から放たれた。 「おめでとう」 「お幸せにね~」 …

sanngo
2か月前
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「短編小説」祈りの雨

二階の寝室の窓に打ちつける風の音が、うぉーうぉーとまるで狼か野生動物のような音を響かせて…

sanngo
2か月前
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「ショート」手のひらの恋#青ブラ文学部

恋なんてものは、始まりはドラマティックだけど終わりは、どれもありきたりなものじゃない? …

sanngo
2か月前
54

「ショート」桜色の人生#シロクマ文芸部#青ブラ文芸部

あくまでもフィクションです。 本文はここから↓ 「桜色の人生だったな…」 火原 三平は病室…

sanngo
2か月前
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「ショート」桜色の口紅#シロクマ文芸部

桜色にほのかにパールが入った口紅を見た時、私は欲しくて欲しくて堪らない衝動にかられた。あ…

sanngo
3か月前
50

振り返ると…#「シロクマ文芸部」

振り返ると其処には誰も居なかった。 「気のせいか…」 和也は、さっきから誰かの気配を感じて…

sanngo
5か月前
40

「妖の唄」〜実話に基づくヒト編 2〜

父は優し過ぎるくらい優しい人だった。その優しさが、あんな結果を招いてしまったのかもしれない。 私が生きている父に最後に会ったのは、父が自ら命を絶った年のお正月だった。久しぶりに帰郷した私を精一杯のご馳走でもてなしてくれた。母が居ないお正月は寂しかったが、今思えば運命が父と二人きりで過ごす最期の時を作ってくれたのかもしれない。あの年、日本を襲ったコロナでその後は帰りたくても帰れない状況になってしまったのだから。 妹は既にこの時、結婚していて実家から歩いて直ぐのアパートで新生

「短編小説」聖母マリアは死なない 5

「どういうことだ?!」 日頃、丁寧過ぎるほど丁寧な言葉遣いと所作のホテルマンが険しい顔と…

sanngo
6か月前
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「短編小説」出来そこないの死神 【まくらさん共同マガジン企画】

「因果な商売についちゃったよな…」 ビュービューと冷たい風が吹き荒ぶ古い病院の屋上でレオ…

sanngo
6か月前
46

「短編小説」聖母マリアは死なない 4

殺すターゲットは決まった。 でも、大の男を私が殺せるかしら? スクラップブックを両手で抱き…

sanngo
6か月前
40

「短編小説」聖母マリアは死なない 3

「二人じゃ足りない」 保証人を立てなくても借りられる安アパートに帰って実花は考えていた。…

sanngo
6か月前
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「短編小説」聖母マリアは死なない 2

担当の部屋を全て整備し終わると、実花は私服に着替えるためにロッカールームに向かった。 「…

sanngo
6か月前
43

「短編小説」聖母マリアは死なない

横浜の観覧車が見えるホテルで水野 実花は、清掃係をしていた。海側の壁一面が窓の部屋から天…

sanngo
6か月前
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十二月の殺人鬼#「シロクマ文芸部」

十二月になると思い出す。 母と手を繋いで急な坂道を上った先に、その家はあった。樹々に囲まれた庭の向こうにひっそりと建つ瀟洒な洋館の前に立ち止まると母は一息付いてから、僕にこう言った。 「今日から、此処が私達の家よ」 幼かった僕は母が何を言いたいのか分からなかった。 母と僕が暮らしていた家は、坂道を下った所にある小さな借家で、いつも漁師が釣ってきた魚の臭いが充満しているあの場所のはずだった。母の顔を見上げて僕は聞いた。 「お引っ越しするの?」 僕の手を握りしめる母の手は、真冬