算命学余話 #G43 「カネに命を取られる」/バックナンバー
前回の余話#G42は天印星中殺を取り上げましたが、読者からは「楽しく読めた」との感想を頂きました。世の中にはしばしば自分の「貧乏くじ」的な不幸の原因を、占いの中に見出そうとしたがる人がいます。こういう人は不幸の原因が自分にあるということを認めたくないあまり、自分の手の及ばない大いなる自然界の力のせいにして責任逃れをしたいのです。私はこういう思考回路の人間には批判的な態度を堅持しておりますが、そうは言っても前回の『余話』を見れば判る通り、天印星中殺は客観的に見れば「大いなる自然界の力」によって、絶対的ではない、狭義のある種の貧乏くじを引かされていると考えられます。要するに本人に責任はないと、見做しても構わないでしょう。
では誰に責任があるかといえば、残念ですが「大いなる自然界」にではなく、両親にあるというのが算命学の考え方です。もし両親になくとも、更にその両親を当たれば大体原因は出てきます。これが算命学の因縁論や家系論に繋がっています。しかし現代人は、西洋個人主義の影響で、先祖の所業と自分の運勢をリンクして考えることはしないので、自分が持って生まれた宿命は自分の責任と腹をくくって処理するか、処理できなければ、手に負えない自然界の力のせいということにするしかないわけです。
いずれの場合もそこに悲壮感があっては人生が楽しくならないので、前回の余話ではせめて天印星中殺を楽しく語ってみました。それが読者にウケたようです。貧乏くじを引かされたのは仕方がないと諦めて置いておき、転んでもタダでは起きない人生の巻き返しを狙う。これくらいのことを自然界が許してくれないという道理はありません。運勢鑑定する側としても、己の不幸に酔いしれてウットリしている相談者よりは、「今に見ておれ、リベンジしてやる!」という意気込みの相談者の方が助言のし甲斐があるというものです。
繰り返しますが、不幸一辺倒の宿命というのはそうそうありません。あることはありますが(『算命学余話#R98』参照)、そういう宿命を持って生まれた人は運勢相談できる年齢に達する前に夭折します。だから運勢相談にやって来た人間が「自分は不幸一辺倒だ」と豪語するのは辻褄が合いませんし、仮に「既に夭折した幼児は宿命が原因で死んだのか」と相談を持ち込まれたのならば、上述の通り、運勢的な意味での死因は親にあるという答えしか出てきません。なぜなら、子供が宿命に問題を抱えて生まれる原因を作ったのは、最も近いところでは両親であり、少し遡っても三代以内の先祖だというのが算命学の見方だからです。
天印星中殺を引き合いに出すのなら、本人は自分がそれほど貧乏くじだとは思っていないという点に着目したいです。総じて人生は、不幸な人ほど自分の不幸に鈍感で、鈍感ゆえに前向きに生きられる強さがあり、幸せな人ほど自分の幸せに鈍感で、いまある幸福を投げ捨てて別の物を求め、却って不幸に突き進んでしまう。この繰り返しが人生模様なのだから、悲壮感に打ちひしがれて生きるのは損だというわけです。前向きに楽しく生きましょう。
さて今回の余話は、思いっきりドライに振って、カネの話です。大金にまつわる不幸の話と、そんな不幸を回避する策について考えてみます。
算命学では、宿命からその人の金運の規模が概ね量れるとしています。勿論、数値的な話ではありません。所得がいくらだとか所有する株の時価がどうだとかいう話ではなく、「この宿命の人なら手の大きさはこのくらいだから、両手で器を作った場合にこぼれずに収まる金貨の量はざっとこのくらいだ」という程度です。それでも、特に金運・財運の比重が高い宿命にとっては深刻なテーマです。なぜなら、小さな手の人が大金を手中に収めようとすれば、腕がちぎれて死ぬからです。つまり、宿命に見合わない金儲けをすると、命の危険が出てくる。
よく知られる例としては、宝くじに当選した男が一夜にして億万長者になったけれども、その瞬間から人間関係は一変し、会ったこともない「親戚」が多数現われ、隣人からは妬まれ、見ず知らずの人間が強盗となって押し寄せ、そのために家を買って防犯対策に心を砕き、妻は夫に多額の保険金を掛け、背伸びしてセレブとの付合うことで出費がかさみ、小遣いが大幅アップした子供たちはグレて問題を起こし、結局当選金をあっという間に使い果たした挙句借金だけが残った、という話です。場合によっては強盗に襲われて命を落とすこともあります。
算命学では、こうした現象は、その人が持って生まれた宿命の金運を超えて大金が転がり込んだことにより、小さな手が重みに耐えきれずちぎれた、と考えるのです。ではなぜこんな無用で危険でさえある大金が転がり込むという事態が起こるのでしょうか。大金持ちとして不幸に見舞われずに一生を終える人もいるのに、そうでない人とは何が違うのでしょうか。
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