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sanmariのひとりごと

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なんでもない日常の、でも、だれかにとって、ちょっと、特別なことたち。
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2022年11月の記事一覧

方向音痴のファインダーのさきには。

と言われたことが、何度もある。正直に言おう。もう、片手で数えきれないほどある。もはや、電車に乗り間違えるとかっていうレベルではなくて乗り換えのために降りる駅を間違えまくる。 友達と「JR市ヶ谷駅の改札で待ち合わせよう」と約束していたのに目の前には武道館が見えていたり、「大和西大寺駅で待ち合わせね」と約束していたのにJR奈良駅にいたりする。後者に関しては、もうどこで間違えたのか自分でも分からない。 そして今日も、家から電車で20分もすれば着くはずの千代田線の駅に行くはずが、

「もう一度」と思えるくらいの思い出たち。

夜ご飯を食べ終えて、ほっと一息。さぁて、あとは食後のホットコーヒーが欲しくなる 何百年も前から、日本人は茶の湯を楽しむために懐石料理を準備して、丁寧に一杯のお茶を淹れてきた。食事を終えたら、温かい飲み物を飲みたくなる。それはもう、遺伝子レベルで本能的に欲しているひとつの慣習なんじゃないかと、年を重ね、経験を重ねるごとに、そう思う。だから、 「あぁ、そういえばかわいいコーヒーがあるのよ。」 とムーミンのパッケージのかわいらしいドリップセットが出てきた瞬間に と心が躍った

抜き足差し足どのくらい。

そう言いながらまどろむ母に、あぁ彼女なりにわたしのきこえのことを受け入れようとしてくれていたんだなぁとちょっとびっくりした。 小さい頃、よく母から 「テレビの音が大きいよ」 とか 「生活音が大きいのよ」 注意されていた。 そのたびに、聴覚障害のあるわたしは「なんでそんなふうに言われなきゃいけないんだろう。そもそもわたし、それくらい音ないときこえないのに」とへそを曲げていた。 今思えば、わたしの左耳は幼少期からちょっとずつ悪くなっていっていて、一気にきこえにくくなった

ゆるっと毎日更新30日目。

先月の24日に再開した毎日更新が、ゆるっと今日で30日目。「毎日更新、やります!」と宣言してしまうと、更新できなかった自分を嫌いになりそうだったので大きな声では言っていなかったのだけれどね。夜に書けなくても生活のどこかで時間を見つけて書けるようになってきたので、やっと毎日更新が生活になりつつある。 前に毎日更新していた頃は、閲覧数やいいねの数をつい気にしてしまうこともあった。でもそういえば、今回は一度もダッシュボードを開いていない…‼︎ということに気付いて、今ちょっと眺めて

それでもわたしは、地図を見ない酒飲みで。

わたしと親しい人たちはもう充分承知のことかもしれないが、わたしはすこぶる方向音痴だ。まず、GoogleマップをiPhoneごとぐるぐる回したうえに、反対方向に歩く。分岐はいつも二分の一の確率で当たるはずなのに、ほぼ全ての分岐で逆を選ぶ。 それなのに。数年前に恋の病にほだされたわたしは、禁断のひと言を教えられた。 ちなみにこの人とは、渋谷で坂という坂を歩き回ったし、東梅田で同じホテルの前を3回くらい通ったし、目的地に辿り着く頃には迷いすぎて京都ではどこも閉館時間を過ぎていた

暮らすこと、時が過ぎることの愛しさと恋しさと

今の家を借りるきっかけになった条件のひとつが、エントランスに宅配ボックスがあること。 聴覚障害のあるわたしにとって、インターホン越しの会話はなかなかにストレスフルなので、とても便利。もう、ほぼ全ての荷物をこの箱から取り出している。 そんなわたしの初めての一人暮らしは、大学院に進学するタイミングで、学内の寮だった。キッチンもトイレとお風呂も共用。だから、一人暮らしと言っても、ベッドとローテーブルを置いたらもう充分の小さなお部屋。 入寮すると決まったとき、それはそれはもう、

まつ毛がクルンとしているだけで。

今日のわたしは、ご機嫌だ。 なぜなら、まつ毛パーマに行ってきたから。 髪の毛を切ったとか染めたとかならまだしも、まつ毛にパーマを当てても誰にも気づいてもらえない。それでも、まつ毛がクルンとしているだけで、駅からの帰り道に浮き足でスキップをしたくなる。 まぁ、この人生でわたしの顔を一番よく見るのはわたしなわけで。だったら、そのわたしの気分があがってくれるなら、それだけで万々歳だ。 そういえば、まつ毛パーマをしてもらっているときに、最初から最後まで意識を保っていられたことが

どう足掻いても限りがあることを、わたしたちはちゃんと知っているのだから。

帰宅して郵便ポストを覗くと、大きな封筒が入っていた。送り主は、おじいちゃん。 幼小と9年間毎週習い事の送迎をしてくれて、大学の4年間は一緒に過ごして。今思えば、自転車の練習も始めての親元を離れての暮らしも、わたしたちはいつも一緒だったし、喧嘩もした。 例えば、大学に入って、聴力が低下して、聞こえる人と一緒にいるのが嫌になって反抗したときも彼はずっとそばにいてくれた。そして、大切な人を亡くした日々も一緒にお酒を飲んで泣いた。そして、「炊飯器の蓋をどのタイミングで開けるか」み

秋が、冬が、ホリデーシーズンがやってきた。

スターバックスコーヒーの手話表現は、両手で「す」の指文字を作って、自分の顔の大きさくらいマスコットのウェービーヘアーのようにキラキラとさせる。 リズム感的には、3キラキラくらい。ほら、「す・た・ば」でしょう。聴覚障害者って音のない世界に生きているのに、手話には気持ちいいリズム感というものがあるから、また奥が深いなと思いながら、日本語にしてみたり。 ハロウィンが終わると、急にホリデーモードのスターバックス。毎シーズン、いろんなフラペチーノが出ていて、みんながそれを楽しみにし