見出し画像

亡くなった後に無縁仏にならないために。「おひとりさま」の終活を考える。

■身元が分かっていても引き取り手のないご遺骨が増えている。

亡くなったあと、一般には遺族が火葬や納骨を行います。
しかし近年ではご遺骨の引き取り手がなく、無縁納骨堂に安置されるご遺骨が全国的に増えているそうです。
「引き取り手のないということは、天涯孤独の方や行方不明になった方なの?」と考える人もいますが、そうではありません。
実は引き取り手のないご遺骨の大半が身元判明者であり、“身元も親族も分かっているのに遺族が引き取らない”というケースも増えているのです。

■ご遺骨を引き取らない理由は、金銭面、心理面などなど様々。

遺骨を引き取らない理由は
●ご遺骨を火葬・納骨する必要がない
●家族関係がこじれており、心理的な問題で引き取らない
●縁が遠く家族関係が希薄 などなどです。

ここでは、親族がご遺骨の引き取らないケースを2つご紹介します。

【case1】
子どもの頃、父と母が離婚しました。
親権は母が持ち、母が働きながら私と弟を育てました。
父は離婚後数年して再婚し、養育費もまともに払ってくれていません。
その後、子どもたちに連絡を取ることもなく、ずっと疎遠になっていました。
子どもたちが結婚したあとも父とはずっと連絡を取っていず、存在も忘れかけていましたが、ある日病院から父が亡くなったと連絡が入りました。
父は再婚後数年で離婚し、その後は一人暮らしで、親や兄弟も亡くなり、引遺骨の引き取り手を探しているとのことでした。

母が買った納骨堂はあるのですが、父の遺骨を入れる気はありません。
母も兄弟も父の遺骨を引き取ること自体、拒否しています。

【case2】
母の妹である叔母はずっと一人暮らしで、子どもがいません。
叔母とは小さい頃は交流があったが、大人になってからはずっと疎遠で、引っ越してからは母も叔母と会うことはほとんどなかったようです。
母が亡くなり、10年後に叔母が亡くなったため遺骨の引き取りをお願いされましたが、自分も高齢になり年金生活の身…。
夫も「遠い親戚の遺骨まで面倒見なくてもいいでしょ」と反対しており、遺骨の引き取りは難しいです。

【昭和の名女優の島田陽子さんも孤独死し、遺族は引き取りを拒否】
2022年7月に亡くなった女優の島田陽子さん(享年69)も、孤独死した後、絶縁状態にあった妹さん2人が引き取らず、埋葬できないままでした。
最終的には本人が用意していたお墓に埋葬することができましたが、お墓が用意されていなかったら無縁仏になっていたことでしょう。

■おひとりさまが増える中、自分が亡くなったあとの「行き先」を準備しておく人も。

お1人様が急増する今、「おひとりさまのための終活」をする人も増えてきました。自分が亡くなった後の葬儀や亡くなったあと入ることができる「一人用の永代供養墓」を購入する人もいます。
また遺された人に負担を残さないために、「散骨」を選ぶ人も少なくありません。
しかし亡くなった後ですから、どなたかに遺骨をお願いしなければなりません。ご家族や親せきなどお願いする人がいない場合、頼りになるのが「死後事務委任契約」です。

「死後事務委任契約」とは
死後事務委任契約とは、生前に自分が亡くなった後の手続きや身辺の整理を依頼する契約です。
あらかじめ一定の受任者に亡くなった後の自分の希望を提示しその手続きを代行してもらうもので、親族でなくても第三者が火葬や埋葬の手配ができます。
友人などに頼むこともできますが、トラブルを防ぐためにも、社会的信用も高く、法的な問題にも配慮できる弁護士・司法書士・行政書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?