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実は・・・物件Aというのがありました

またまた、前の更新から時間が経ってしまいました・・・
これまでのるんるん寮物語は前々回の記事からご覧いただけたら嬉しいです。

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ごっちゃんからの提案。

それは物件Aを買い取るというものでした。

説明しよう、物件Aとは・・・
家賃交渉で失敗してしまった前回の物件を物件Bとすると、実は、その前に目をつけていた物件Aというのがありました。
佐伯市内には10年ほど前(推定)までは近隣市町村から進学してくる高校生を対象とした学生寮や下宿がいくつかあり、自宅の一部を下宿として使っているところもあれば、学生寮をするために建てた建物とかいろいろあったみたいです(「学生寮をやろうと思っている」と佐伯市民に話すと出てくる、当時のエピソードを聞くのがまた楽しい)。
この物件Aというのは学生寮をするために建てられた建物で、数年前に不動産屋さんの『売物件』という看板がついていたのです。
鉄筋コンクリート造の3階建て、佇まい・設備ともに THE学生寮 といった感じのこの物件には恐らく買い手がつかず数年が経っていました。
実は学生寮をしようかという話が出る前から「いい佇まいだなぁ〜」と外観を眺めに行ったりしていました。「佐伯に移住するかも」という友人に「買わない?一緒に面白いことしない?」とそそのかしながら一緒に内見に行ったりもしていました。学生寮の時の名残が随所に残っていて、寮のルールが書かれた掲示物や、寮母さんの性格が伺える品々など、何故か懐かしさすら感じていました。

次第に、愛着が湧いてきて、使い道は特に決まっていなかったけれど不動産屋さんに購入の申し込みを試みたりもしていました(お金どうするつもりだったんだ)…笑
物件の面積や建物の感じに対してめちゃくちゃ安い金額で売っていたので、理由を尋ねると「解体するのに売値の10倍くらいかかる見込みだから」とのこと。なるほど〜これが空き家問題でよく聞く『壊すにもお金かかるからねぇ』ってやつか。
不動産屋さんからは私より前にもう一人購入の申し込みをしている人がいるのでその人がキャンセルをした場合に購入可能だけど、それ以前に現所有者と書面のやりとりができていないので売買にはまだ時間がかかる・・・といった具合でした。その当時は、目的もなく物件を眺めていただけなのでそのまま進展はないまま話は終わっていました。

学生寮をしようかという具体的な話になった時にもう一度この建物を見に行ったら不動産屋さんの看板はなくなっていました。
問い合わせをすると「売れました」とのことでした。
私より先に申し込みをしていた人が無事にゲットしたのだな、と落胆しながらも私は私で知り合いから次の物件Bを紹介してもらえたのです。

新しい住宅がたくさん建っている住宅地の一角。きっとあの『THE学生寮』といった風貌の建物は解体され、新築のきれいな家が建つのだろう、と少しがっかりしていました。
新築の建物も便利で洗練されていていいけれど、私は古い建物が好きだ。
建物に限らず古いものが好き。
昔ながらの無骨な生活の道具や、たくさん触れられ続けたことでツルツルに光る木の手すり、畳に残った家具の置き跡などにすら「すき♡」と熱視線を送ることがある。
おじいさんやおばあさんに対しても同じ熱視線を送っていることもある。
おじいさんの日焼けした首筋や、手に負った傷痕、おばあさんの垂れに垂れた二の腕や、長年料理をしてきたツヤツヤでありシワシワの手。
機能として衰えていても、存在しているだけで素晴らしく感じる。そう、古いものってのは存在しているだけでいいのだ。すぐには作り出せない。思い出すだけでうっとりしちゃう。いいですよねぇ、古いもの。

えっと、なんの話だっけ。
そう、古き良きもの大事にしたいよねって話です(違うけど進めます)
きっとAの建物も壊されちゃうんだろうと諦めていました。磨けば、少し手を入れれば、きれいどころか機能だってするのに、それに気づかず「空き家はお荷物」「どうしようもない」という諦めムードで。
物件Aが売れた、と聞いてすぐ「解体されるのだろう」とがっかりしていたのは、これまでも「あの建物の佇まいが素敵だなあ」と思っていた建物が、気づくとどんどん解体されていくのを見てきたから。所有はしていないけれど、住んでいる街の風景としてしっかりその建物のこと覚えていたり、この建物のここが好きだなぁと思っている景色が所有者の一存で解体されてしまう。見慣れた景色から失くなってしまう。
もちろん空き家全部を残すことはできないけれど、わかっているけれど、お別れ会もなく寂しいじゃん・・・。
あの建物ともお別れか、寂しいな、と思いながらもとりあえず今の私には学生寮をするためにすぐ貸してくれそうな物件を探さなきゃ!と前回の投稿の物件Bに行きついたのでした。

そう、『THE学生寮』な建物の物件A は売れちゃったから諦めて物件Bに気持ちを切り替えたのです。で、家賃交渉に失敗して、そこでごっちゃんからの提案。
「原点回帰して物件Aを買った人に売ってくれないか交渉しよう!」って話です。
物件Bの家賃交渉が決裂して、凹んだところに、奇天烈なマイメンのごっちゃんからの名案。
元の持ち主 → 新たな買い手 → なかむら
(新たな買い手の購入金額の2倍くらいで!)

法務局や不動産屋さんに行き、現在の持ち主を調べると、なんと知り合い。

これは話が早いぞ、ということで「売ってくれませんか」という趣旨の連絡を・・・
すると「物件を売る気はないですが、シェアハウスをしようと考えています」とのこと。
更には「中村さんは人脈もあるし、協力し合ってビジネスパートナーとしてやっていきませんか」との提案!
物件Aを手に入れることはできなかったけれど使わせてもらえそう。
私は喜び勇んでその船に飛び乗りました。
今度こそ、進むぞーっ!と、どんどん船を進めていきました。
工事時期のこと、業者のこと、内装の仕様のこと、改装費のこと、お互いの金銭的な負担のことや家賃、運営方法など。
たくさんある寝室のうち半分を私が借りて、寮生用に。
残りの半分はシェアハウスとして大家さんが貸し出す。
共用部分は寮生とシェアハウス入居者の交流の場に。
運営や管理は主に私。
なんだかちょっとだけややこしいかもな、と思いながらも、THE学生寮のあの渋い建物を活かし、愛でられるのかぁ♡と浮かれる気持ちが大きかったので話を進めていました。

台所の仕様を決めるという折に、私は日々学生用のごはん(大量)を作るので掃除が楽なものにして欲しいと希望したところ、ビジュアル重視とのことでなんとなく私の希望は採用されなかったりして、内装の決定権を持っているのは大家さんなのだと身を以て実感しちゃったわけですね(当たり前のことなのですが、勢いがある時の私は本当に当たり前のことがわからなくなっている)。
学生により良い環境を、運営する自分が少しでも効率よく仕事できるように、ということを1番に考えていたので
少しずつ、やっていけるかな・・・という不安な気持ちになっていきました。
持ち主はセンスがいいので、おしゃれで素敵な場所になることは間違いないけれど、果たして毎日部活と学業に忙しい高校生にも必要なおしゃれさだろうか?
住む場所のおしゃれさに、そしておしゃれさにお金をかけることを親御さんたちは希望するだろうか?
そんな気持ちを抱えながらも「そんなわがままばかり言っても仕方がない。前回の物件から、やっと進展したのだから、ここで始めるのだ!」と自分に言い聞かせていました。

そして・・・


つづく


よりよいゲストハウスにするために使います。例えば、宿泊のお客さん向けの近隣ごはん屋さんマップを作ってみたり。