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「忌談」編集後記+おまけ

1,はじめに

みなさまご無沙汰しております。悶絶動画投稿者の三次関数と申します。今回は2022年夏に開催されました「夏のホラー淫ク☆リレー企画'22」に提出しました8日目の作品「忌談」について書いていきます。なお、この文章は多くのネタバレ要素を含みますのでご了承くださいませ。まだ見てない人は見てくださいオナシャス

また、こういう長文は普段あまり書かないので淫夢語録がほとんどない素の文になりますが許し亭許して

2,ストーリーができるまで

今回の動画のストーリーのきっかけのうちの一つは、ある勘違いでした。
去年のリレー企画の動画、「鬼が来る」に登場する鬼一口のエピソード。

今昔百鬼拾遺/霧

「蔵に隠れた女は鬼にぱくりと喰われ、男が扉を開けた時には服のみしか残っていなかった────」

伊勢物語から引用したものですが実はこれ、1つの相違点があるのです。正しくは「扉を開けるとそこに女の姿はなかった。」で、衣服に関する描写は全くないのです。

なぜ私は「服のみしか残っていなかった」と勘違いしていたのでしょうか。その疑問が今回の動画の出発点となりました。

勘違い、すなわち解釈の相違。ではその相違によって何が生まれるのか?これをテーマに作りたいなとぼんやりと考え続けていると幾つかのシーンが浮かんできました。
衣に怯え戸惑う女、失踪した妻と決別するために服を燃やす男、探し求めていた「手がかり」によってその身を滅ぼす刑事・・・ひとつひとつ、作りたいシーンが浮かぶ度に「解釈の相違」という骨格が少しずつ肉付いていきました。

また、今回のストーリーは京極夏彦「百鬼夜行──陰」の一編『小袖の手』から強い影響を受けています。特に、主人公が恐怖のあまりに逃げ出して行方をくらますシーンの寂寥感を第一部のラストの演出で再現しようとしたりしてます。うまくいったかは分かりませんが…
もしよかったらそっちも読んでみてくださいね。


3,制作期間

リレー企画にお誘いをいただいたのが4月初旬、リレー動画の制作にあたってのルールなどが決定したのが6月、そこから制作を始めて7月20日に提出しましたので製作期間は30日以上?40日以下?くらいですね。

かなりタフなスケジュールでしたねホント…前述のとおり、ある程度肉づいたストーリーと作りたいシーンはあったものの、脚本や細かいところは「あとでどうにかなるでしょw」の精神で作り始めたので後で辻褄を合わせるのに血反吐を吐くほど苦労しました。でも間に合ったからマイペンライ!(大丈夫)

もう少し細かく描くと、
〇第一部+サムネ:6月8日~7月2日
〇第二部:7月3日~12日
〇第三部:14日~20日

いや、よく間に合いましたね……。10分~15分の動画でも1か月かかる普段の私からするとこのペースは驚異的です。休日はもちろん、大学が終わったらすぐにパソコンを起動する日々でしたのでほんとに辛かったです。でも、いつしか雨はやみ、そこには虹がかかるんだよなぁ…

ここからはストーリー、演出、技術について説明してイクヨー

4,第一部「教師の話」

こ↑こ↓の表情コメントで褒められてうれしかった(小並感)

物語の始まりにして1番作りたかったパートですね。ぶっちゃけここのパートだけでも一本のストーリーとして成立するんじゃないか、と思ってしまいます。

───非業の死を目撃しその幻影に囚われ続ける教師。
というのがこのパートで描きたかった主人公像でしたがいかがでしたか?初期の案ではMCT姉貴は独身という設定で、日常生活のあらゆる場面から死の手のにおいを感じ取りついには失踪してしまう、という感じにしようかなと思っていましたがそれでは次のパートに繋げにくくなるため、虐待おじさんも出すことにしました。
その結果、お互いに支えあう夫婦が生まれ、ストーリーに少し深みが生まれたのではないでしょうか。(ノンケくさいかもしれないけど多少はね?)

このパートで特に力を入れたのはもろちん(誤字)、
「くりーふちゃん殺害シーン」
「MCT姉貴が手から逃げるシーン」
の2つです。(あとはRIくんがトラウマをえぐるシーンも結構お気に入りだけど長くなるので割愛)

「まだつかえる」コメント兄貴精神状態おかしいよ…

①くりーふ姉貴殺害シーン
 コメントでもかなり評価が高かったシーンです。ピンポンしても出てこない家主。おそるおそる中に入ってみるとそこは惨劇だった…という場面ですが、ここを作るのに1週間かかったような気がします。

 動画制作時には「掴みとオチだけはしっかり」をモットーにしてますのでやや急展開に思えてもいいからとにかくインパクトを出してこの先どうなるんだろう?と視聴者兄貴の興味を引きたかったんですね。三島由紀夫も『真夏の死』の解説で似たようなことを言ってた気がします。(要出典)

カメラ制御を使うとクッソ重くなるAviutlくん

 不自然に狭い廊下はもちろんカメラ制御によって画像オブジェクトを適当にそれっぽく置いたものです。本来なら「バニシングポイント2」(AviUtlのスクリプトの1つ。詳しくはお母さんにきいてみよう)で廊下の画像を立体化するべきなんでしょうが、あいにくよさげな画像が見つからず……。このような力業になりました。
 ちなみにカメラ制御では「Parallelcamera」という、カメラを水平/垂直に動かすことができるスクリプトが大変便利です。入れておいて損はないかと思います。

 そして、MCT姉貴の絶望顔。ここが一番の試行錯誤でした。MCT姉貴の素材については既にゲスト兄貴による分割素材があったのですが、姉貴のMADでの強気なイメージからか、怯え・恐怖などのマイナスな表情が少なかったのです。
 いろいろ考えた結果、RI姉貴の多彩な表情を産み出している黒乳首兄貴にアドバイスを頂き、眉間の影・目に浮かぶ涙・困ったような形の口を描き加えることでようやくあの表情にすることができました。(黒乳首兄貴には本当に助けられました、ありがとナス!)

右手は中間点を打ちまくってゴリ押し

 分割素材を動かす際は私の場合、もっぱら「Anime Effect」です。瞳のまばたきなどの操作は難しい(私はできません)ですが、全体のパーツを大ざっぱに動かすだけなら非常に早くBBを制作することができます。解説動画も上がってますのでぜひチェックしてみてください。

 以下、このシーンで開発した技術について大まかに説明です。

・飛び散る血

・にじみ出るタイトル

ちなみにここの立ち入り禁止テープのシーンで既にMCT姉貴がもう戻れない、ヒトが立ち入ってはいけない領域に入ってしまったことを暗喩してますがお気づきの方はいらっしゃいましたか?こういう気づかなくても問題はないけど、気づいたらもっと楽しめる要素を入れるのが好きです。

AviUtlから直接画像を出力すると円形グラデーションが荒くなっちゃっていますね…

②MCT姉貴が手から逃げるシーン
 
くりーふちゃんの遺品を処分しようとしたMCT姉貴が怪異に立ち向かおうとするも、自分の立っていた世界が崩壊し奈落へと堕ちゆくシーンです。

 第1部最大の見せ場にしてひとつの命が潰えるシーンでもありますので、当然力を入れないわけにはいきません。ですが登場する怪異自体は服から出る手という、非常にシンプルなものです。

 亡くなった娘の服からするすると出てくる手───。怪談としてはややありがちです。この怪異を「怖い」と視聴者兄貴に思ってもらえるにはどうしたらいいのか。それは、MCT姉貴に感情移入してもらうことです。

 ここまでの要所要所でMCT姉貴視線の映像が挟まれていたことにはお気づきでしょうか。くりーふ姉貴の「たすけて」、悪意なくトラウマをえぐってしまったRI姉貴の無邪気な笑顔、ともに歩んでいこうと手を差し伸べるおじさん……。MCT姉貴が経験した出来事=視聴者兄貴が疑似的に経験した出来事になるようにしたそれなりの工夫です。

 さて最初の「するする」の後にMCT姉貴の背景がふわり、とぼやけます。これまで居た世界がおぼろげなものになる、というイメージですね。

もっと分かりやすくぼかしてもよかった気がします

 「手」にいったんは怯むものの、蓮さんとの会話を思い出し前へ進もうとするMCT姉貴。この時逃げていれば助かったのかもしれないんですけどね。あの言葉がある意味呪いになったのかも。

 ヒトのそんな決意を知ってか知らずか、怪異はゆっくりと首を絞めてきます。その冷たい感触が首から全身に渡るとき、MCT姉貴はあることに気づきます。

───これはあの娘の手じゃない。

 
幽霊の正体見たり枯れ尾花。そんな言葉があります。幽霊を見たと思って一瞬ドキッとする、でもすぐに枯れたススキだと得心して安心して近寄る。だけどそれはススキじゃない何かだった───。”勘違いが招いた恐怖を理性によって(正体を見極めることで)打ち消すという行為”そのものが巨きい何かに吞み込まれてしまう。そういう恐怖をうまく伝えることができたらよかったのですが。

 信じていた世界、認識していた世界は崩れ去り、何かが壊れてしまったMCT姉貴は首の手を振り払い逃げます。

怖わい。
恐ろしい。
忌まわしい。
ああ、だめだ

 こ↑こ↓で「怖わい」の送り仮名に対してコメントでのツッコミが入っちゃったんですけど、別のコメント兄貴が言ってくれましたように、一字ずつ下げることによって見栄えを良くする狙いでした。京極夏彦先生も文章の配置に意匠をこらしていますが、そこから着想(パクリ)を得ています。

夏の夕焼けってなんだかエモいですよね

 そして、消えます。視聴者兄貴からしたら、自分と同一の存在として見ていた主人公から急に引き離される形です。ここは「怖い」というよりも「なんで?」と混乱させたかったんですね。「よく分からない」何かが起きた後、じわりじわりとくる怖さと悲しさ。そういう感情に、日中思いっきり遊んだあと友達と別れる夕方という時間帯はピッタリです。
 ここで視聴者兄貴とMCT姉貴との別れを夕焼けによって演出したつもりです。別れの後、物語は果てしなく暗い夜へと突き進んでイッキーマウス…

5,第二部「古本屋の話」

黒占兄貴の傑作「目目連の緒」(リレー企画30日目)

ホラー淫夢お決まりの解説パートです。解説って退屈だしどうでもええわ♂、なんて思ってる方もいるかもしれませんが一応物語の体裁として怪異に何らかの形を与えなくてはなりません。

しかし、困ったことにこのパートを作るまで怪異の正体をふんわりとしか考えていませんでした。怪異のモデルは「小袖の手」ですので、そのまま「怪異の正体は『小袖の手』である」と断じてもよかったのかもしれないんですけど、怪異に正体を与えてしまってはこの動画の「何が何だか分からないモノ」というコンセプトが崩壊してしまいます。

ここを視聴者兄貴に「そういうものか」とある程度納得してもらうにはどうしたらよいのか。ここの部分には相当頭を悩ませました。
悩みあぐねた結果、「怪異そのもの」を解説するのではなく「怪異を認識する行為」について解説することにしました。

小袖の手は「手の妖怪」「衣の妖怪」どちらなんでしょうね

妖怪は「解釈」によって生じるモノです。(この解釈そのものも数多くある解釈のうちのひとつではありますが)
人間は解釈(認識)によって日常生活を送ることができていますし、何か恐ろしいものを見てしまった時でもその”事象”を解釈することで恐怖を和らげている、という見方もできます。

先ほども言いましたが、「幽霊の正体見たり枯れ尾花」とも言います。この言葉も人間の解釈によって生まれた言葉だと言えますね。

今この文を読んでいる視聴者兄貴もホラー映画を見るときはどんなモンスター(ゾンビ、サメ、悪魔、幽霊などなど…)が出るかで何を見るのか決めている人も少なくはないと思います。これもどんな怪異が現れるのかその正体をしっかりと知っておきたい(=解釈しておきたい)という思考の結果なんじゃないか、と私は思ってます。

長々と”解釈”についてあれこれ屁理屈をこねてしまいましたが、要するにホラーにおいて「解釈」は大事な要素なんだな、くらいに思ってくれればいいです。

ではその「解釈」という行為が封じられる、あるいは「解釈」することそのものが誤った行為になってしまうとしたら?

何かから目をそらすかのような店長

本編中では今回の怪異を「解釈」という行為では処理しきれない「事象」だと回りくどく説明してますが、簡単に言ってしまえば、人間には理解できない、人間の領域を超えた存在です。(なんか更に分かりにくい表現になった気が…)

第一章でMCT姉貴が怪異に遭遇し、人格が壊れてしまったのは「それ」が人間の解釈するという行為を粉々にしてしまうモノだったから、とまとめています。ここで留意してほしいのはこの解釈が正解というわけではなく、あくまでも「平野店長」という個人が解釈した一つのストーリー、という点です。

このパートで視聴者兄貴に印象付けたかったのは「今見ているBB劇場では『何が何だか分からない、恐ろしいモノ』が相手なんだな」「このBB劇場では『解釈』がキーワードなんだな」の2つです。何の解説にもなってない気もしますがひとまずここで解説パートは終わりです。

野焼きって法律で禁止らしいっすよ?(コメントで知った)

さて、動画の三分の二も超えややダレ始めたところに怪異が最悪の形で再び出現するシーンです。ここは作中でも最悪な場面にすることで視聴者兄貴の怪異に対する興味をもういちど惹くことを意識して、ひたすら残酷にしてみました。

店長の話を聞いて「何か」が妻を殺したのかもしれない、という可能性に思い至ったおじさん。妻を喪った悲しみが怒りに代わり、藁にもすがる気持ちで怪異を退治しようとしたんですね。

怒りと衝動に任せて服を燃やすも、ぱちぱちと爆ぜる火と薄暗い煙を見るにつれてだんだんと理性を取り戻します。

こんなことをして何の意味があるのか───?
この行為はただの腹いせじゃないのか───?

「濁ってない煙なんてあるわけないか」割とお気に入りのセリフです

次第に平静を取り戻した心。
ですが、静寂は激しい金属音によって破られます。それはまるで怪異の断末魔のように恐ろしく、忌まわしく──。
その音に反応するかのように葛城の中の怒りの炎が再び燃え上がったのです。

───こいつが幽香を。

怒りに任せてドラム缶を蹴とばし、あらん限りの罵声を浴びせるおじさん。(MCT姉貴にとっては耳にする最後の言葉が夫の「死ね」になりますね。悲しいなぁ)

激情の末にドラム缶から出てきたのは……。今までの行為が重大な「解釈の相違」だと気づき愕然とします。

人は死ぬ瞬間走馬灯を見ると言いますけど、大切な人の死の瞬間をただ見ていることしかできない状況のとき、人は何を思うのでしょうか。

死の傍観者として重なりぶれる言葉。(赤文字のフォントのあたり)
幸せだったあの頃の笑顔と交互に重なる現状。(フラッシュバック)

この2つの演出で今起きている事実のむごたらしさがより強調することができたんじゃないかなと自負しています。

絶望に苦しみあえぐおじさんからゆっくりとフェードアウトして、この忌まわしい話もいよいよ最後の章に移ります。

6,第三部「刑事の話」

夏は意外と雨が降る季節でもあります

小雨の中、殺人容疑で取り調べをしている馬場(joker姉貴)のシーンから始まる三部。夫婦の話からいきなり「警察」という外部の機構の話にシフトしていったので戸惑う視聴者兄貴も少なくはないかもしれません。

本来ならば第一部でjoker姉貴がMCT姉貴に姉殺し事件の容疑者として事情聴取を行うシーンを入れて、さりげなくjoker姉貴がくりーふ家に掛けられているワンピースのことを気にする描写を加えたかったんですけど納期の関係でカットしました。(仮に入れていたとしてもTNPが悪くなるかもしれないので結果オーライって感じもします)

根気強く質問を行うも、すでに精神崩壊しているおじさんには暖簾に腕押しの状態です。取り調べを切り上げたjoker姉貴は上司のもとに報告。

冬の下水道変死事件は去年の冬リレー(30日)ネタです

これまでのシリアスな雰囲気とは打って変わってのギャグパートです。ここ辺りでずっとシリアスな場面を作り続けていたことに限界が来たので、息抜きのつもりで作ってしまいました。(結果、評価は良くも悪くも半々でした)
あとはぶっちゃけ、第二部のラストよりも凄惨な恐怖シーンが作れそうになかったので、ギャグシーンを入れることによってこれからの恐怖シーンとのギャップを作って恐ろしさを増幅させたかった、という狙いもあります。

事件に関して刑事という立場から傍観しているお気楽なjoker姉貴とは対照的にどこか暗い表情を見せるAKYS。

AKYSさんイケメンだわぁん

過去にも「何か」が起こした事件があると語るAKYS。このシーンで一連の事件に加えて冬の事件以外にもいくつかの”忌まわしい”事件が起きている、と示唆してます。つまり、下北沢では今回の怪異だけじゃなく他にも何らかの怪異が存在するということです。(下北沢への風評被害がひどい)

少し場面を飛ばして、joker姉貴が例のアレを目撃するシーンについて。

シンメトリーjoker

ワンピースが通り過ぎる前と後で画面の暗さを変えてみました。ここから本格的にヤバいシーンになるぞ、という一種の警告?みたいなものですかね。

ここ辺りで本格的に編集の疲れが溜まってきたのと演出のネタが尽きてきたこともあり、全体の中で見ると展開が急なうえにあまり凝った編集ができなかったのが悔やまれる点ですね……。

訝しむjoker姉貴にAKNMからのLINEでの連絡、からの遺体発見アナウンス(ダンコンロンパみたいだぁ…)と怒涛の展開が襲ってきます。
joker姉貴からすれば刑事として傍観していた事件の渦中に自分も取り込まれていたのだ、と気づかされるシーンです。対岸の火事だと思って見ていたのが、その実はこちら側が壊滅的な状況になっている状況を写している鏡を見ていた…みたいな感じですかね(対岸も燃えているという事実には変わりないんですけどね)

慌ててAKYSのもとに戻り、安否確認。
その後上司は驚愕の事実を告げる───。

joker姉貴の着せ替え作業すっげ~キツかったゾ

───なんでそんな服を着ているんだ?

遂にその忌まわしき手は傍観者をも取り込みます。遠くにあると思っていた脅威が気づかぬうちに自分の近くに忍び寄っていたという恐怖。その恐怖は心を蝕んでいき……。

こ↑こ↓で一つだけ「怖」を「柿」にする意味不明なボケをしたけど意外とバレないもんですね

恐怖と錯乱の果てにjoker姉貴は逃げ出します。

怖い 嫌だ 恐ろしい

死にたくない

逃げるうちにjoker姉貴の心は人間らしい理知的なものから、動物のように本能的な感情に変わっていきます。そして最後には───。

その時、私だったモノが破裂した。

三人目の「壊れて」しまった人です。
これで終わり、かと思いきゃもう少し続きます。

この身体を動かしているのは……

ここからの話は去年のホラー淫ク☆リレー25日目「鬼が来る」からのバトンを受け取った内容です。

こころが死んでも走り続けるjoker姉貴。その身体を動かしているのは怪異でしょうか。では、その怪異は何によって動かされているのか───?

人格を破壊された後、まだほんのちょっと残っていたこころの欠片は薄れる意識の中、気づきます。

───ああ、そうか。
これが、人間の領域を超えた───

大きくて忌まわしい何か(いんねん)なんだ。

因縁です。陳腐な表現に言い換えるならば、運命でしょうか。
『恐怖とはまさしく過去からやって来る………』とジョジョ第5部ラスボスのディアボロが言ってましたが、そんな感じです。

ちょっと待って!それ去年のリレー企画のネタだよね!?

平安時代という遠い昔に、蔵の中にいた鬼に喰われたjoker姉貴(去年のリレーのネタ)。その死は因縁となり、未来永劫へと受け継がれていったのです。

この世のあらゆる生死、怪異、事象すべてが因縁によって定められているとしたら?
それこそが何よりも恐ろしく、人間の領域ではどうにもできない、忌まわしい「何か」なのかもしれません。


蔵に辿り着いてしまったjoker姉貴。入ってはいけないとは思いつつも、身体は蔵の扉を開けて───。

そうして、一つの因縁が終わりました。

7,全体を通して/反省点

全体を通して気を特に配ったのは視聴者兄貴の解釈の選択肢を拡げる、という点です。
この動画だけを見た人なら、一連の事件はあのワンピースの形をしていた「何か」によるものだと解釈できます。
冬リレーの私の動画も見てくれた人なら、くりーふ姉貴の死はMZ姉貴によってもたらされたものだと解釈できます。
去年の夏リレーも見てくれた人なら、最後のjoker姉貴の消失は鬼(一口)によるものだと解釈できるかもしれません。

梯子を外すようで申し訳ないのですが、さっきまで私が長々と書いていた「因縁」でさえも、あくまでも数多くある解釈のうちのひとつです。(正直怪異について詳しく決めてなかったのでどうにでもとれるようにしました)

解釈できないことの恐ろしさを描いたBB劇場でしたが、逆に視聴者兄貴には解釈すること、想像することを楽しんでもらえたらなー、と思います。

あと、コメントや頂いた感想などを踏まえて反省点を箇条書きにしてみました。

  • 展開が急すぎる

  • 語録が少ない

  • 作りたいシーンが思い浮かんでいただけで勢いで作り始めたのでつながりが悪い・不自然なところが多くある(くりーふ姉貴の遺品を引き取る・おじさんが服を燃やそうと思い立つなど)

  • 第一部、第二部はじっとりとした怖さで攻めていったけど第三部は怪異がややアクティブになってしまい、怖さのベクトルが変わってしまった気がする

  • 「過去作と繋がってますよ~」と分かりやすく示唆しているシーンを入れられなかった

  • 脚本を書かなかったのでこれから先の展開をどうするか考えるのに時間を使いすぎてしまった

……いろいろありますね。ひとまずは、これから先ストーリーもののBB劇場を作るとしたらしっかりと脚本を書いてから作るようにします。勢いに任せて作ってはいけない(戒め)
また、過去作に繋げるというネタは今回しかできなかったので第三部まで作っちゃいましたが、第二部で締めてもよかったかもなー、という気持ちもありますね……。

8,あとがきのあとがき

ここまで約9180文字です。こんなに文章を書いたのは初めてです。
書き始める前は「ストーリー、技術、演出に分けることで分かりやすく書くぞ」とか思っていましたが、いざ読み返してみると上の3つがぐちゃぐちゃになった上に場面をわざわざ文章で説明するという愚行を何回も働いてしまっています。
それでも根気強く読んでくださった兄貴には感謝しかありません。

また、最後になりましたが「夏のホラー淫ク☆リレー企画'22」の企画者・参加者の皆さん、視聴・コメント・いいね!・マイリストしてくださったホモたち、この動画を作る際にアドバイスを頂いた投稿者兄貴たち、本当にありがとうございました。

今後は個人作(主に「デブを捨てに行く先輩」の続き)に集中したいですね。もしよろしければそちらの方も楽しみにして頂けると嬉しいです。

それでは。








9,おまけ

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