【18】清掃業における感染予防対策

企業向け新型コロナウイルス対策情報配信 2020年6月1日

経営者・総務人事担当者のみなさま、清掃作業における感染予防対策は万全でしょうか?個々の現場は作業員に任されていることが多く、現場責任者が常に見ていることは難しいため、作業員一人一人がポイントを理解しておくことが重要です。

1. 課題の背景:

医療機関や軽症感染者の受け入れ宿泊施設などと比べ、一般的な清掃作業においては感染防止対策が十分に講じられていない可能性があります。しかしながら、感染者数が増加する状況下においては、一般的な作業現場においても、多くの人が触れるトイレ・ドアノブ・エレベーターのボタン等の清掃作業を通じて、作業員自身が接触感染をしてしまうリスクがあります。このような場面で作業員の安全を確保しながら業務を行う方法につき述べます。

2. 企業でできる対策:

○清掃事業者側は作業前の注意事項を
 全ての清掃作業者に徹底する
〇清掃作業者は接触感染を防止するための
 手順に沿った清掃作業を行う
〇トイレでの接触感染に留意して清掃作業を行う

1) 作業前の注意事項を清掃作業者に徹底する
清掃事業者側は以下の点を作業に就かせる清掃作業者全員に周知徹底する。
□出勤前に体温測定をし、発熱・風邪症状・倦怠感などがある場合は出勤を控える
□保護具の正しい着脱について十分な訓練を行う
□接触感染を防止するための作業手順(2,3の内容)を作成し、手順の教育を行う

2) 清掃作業者は接触感染を防止するための手順に沿った清掃作業を行う

日常清掃業務に加えて、多くの人が触れるドアノブ、エレベーターのボタンなどの消毒も求められており、ウイルスに触れることのないように充分注意して作業を行います。
□出勤前に体温測定をし、発熱・風邪症状・倦怠感などがある場合は出勤を控える
□清掃中は清掃する部屋等の換気をする
□清掃前後には必ず石けんと流水で充分に手洗いをし、作業中は顔に触らないようにする
□作業中は必ず手袋を着用し、手袋を脱ぐとき、脱いだ後は外面に触れないようにし、手洗いをする
□作業は1人で行う、または、複数名で行う場合は持ち場を分担するなど、できるだけお互いに距離を取って行う
□ゴミ箱の中にマスク、鼻をかんだティシューなど汚染されたものが入っている可能性があるので、内容物に触れないように気を付ける
□ドアノブ、エレベーターのボタン、照明スイッチなど多数の者の手が触れる場所はアルコール(70%)または0.05%の次亜塩素酸ナトリウム溶液による清拭を行う
□次亜塩素酸ナトリウム溶液を用いて清拭したあとは、水拭きを行う
□清拭はペーパータオル、消毒用不織布など使い捨て資材を用いる□保護具、清掃用資材などの廃棄物はビニール袋に入れて密閉する

3)トイレでの接触感染に留意して作業を行う
ダイヤモンドプリンセス号の環境検査ではトイレの床から比較的多くコロナウイルスが検出されており、また比較的多くの人が利用する場所ですので特に注意して清掃作業をします。具体的には2)の対策に以下を追加して実施します。
□作業中は必ず手袋と不織布性のマスクを着用し、手袋・マスクを外すとき、外した後は外面に触れないようにし、手洗いをする
□蓋がある場合は必ず蓋を閉めて水を流す
□汚物が直接触れるところ(不潔箇所)と人の手が触れるところ(清潔箇所)で手袋を交換して作業する
□ドアノブ、蓋、便座、洗浄レバー、操作パネル、トイレットペーパーホルダー、手すり、洗面台、鏡など多数の人が触れる場所の消毒を行う
□トイレの床面のモップ掛けを行う

3. 参考:医療機関、軽症感染者宿泊施設等の清掃について

医療機関や軽症感染者が宿泊療養に利用した施設の清掃については、より厳しい感染防止対策が求められます。医療機関の感染対策チームに相談する、全国ビルメンテナンス協会の「新型コロナウイルス感染症対策を踏まえた宿泊施設の清掃等マニュアル」を確認するなどしましょう。

4. 関連情報リンク

1) 全国ビルメンテナンス協会 ガイドライン・マニュアル

2) 全国ビルメンテナンス協会 新型コロナウイルス感染症対策を踏まえた宿泊施設の清掃等マニュアル

3) ダイヤモンドプリンセス号環境検査に関する報告(要旨)

4) CDC: Cleaning and Disinfection for Community Facilities (Interim Recommendations for U.S. Community Facilities with Suspected/Confirmed Coronavirus Disease 2019), 1 April, 2020

5.資料リンク

本資料のPDF
本資料の動画
・本資料のプレゼンデータ(衛生委員会等にご活用ください)(未掲載)

文責:櫻木 園子(一般財団法人京都工場保健会 産業保健推進部)

※本文章は、産業医有志グループ(今井・櫻木・田原・守田・五十嵐)で作成しました。厚生労働省新型コロナウイルス対策本部クラスター対策班・和田耕治先生(国際医療福祉大学・公衆衛生学教授)のサポートも受けております。今後も経営者・総務担当者向けに必要な感染拡大防止策情報を随時配信させて頂きます。本情報は著作権フリーですので、ぜひお知り合いの経営者に拡散をお願いします。
※本内容に関するご意見・ご要望は、covid-19@ohsupports.com までお寄せください。
※これまでに配信しましたバックナンバーは、http://www.oh-supports.com/corona.htm をご参照く
ださい。
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