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【EDH】Falloutコラボのオーラの話

はじめに

 基本的にカジュアル目線で、オーラの話をします。前置き結構長いんですがご容赦ください。


近年のオーラ氷河期

 生物強化用のオーラに関しては、かなり長い間冷遇が続いていました。《怨恨》のマイルド版《無鉄砲》や、《盗み癖》など比較的低いレアリティ・低いコスト帯のものについては頑張っている傾向がありますが、レア以上の「ゲームを終わらせるためのオーラ」に関しては当分の間まともな供給がなかったと言わざるを得ません。

Falloutでも再録

 《天使の運命》や《光波の護法印》からは随分と時間が経つにも関わらず、スタンダードでワンチャン、クラスのものすらほとんど印刷されない状況であり、オーラ術師達は途方に暮れていました。

呪禁が護法に置き換えられたのもオーラにとって逆風

 《ドラゴンの運命》は明らかに《天使の運命》を意識したカードではありましたが、「スタッツの修正が弱い」「マナを追加で払うので結局3マナという軽さがあんまり意味を持たない」「『速攻をつけるオーラ』は1マナでもかなり弱いのに3マナなのでむしろ初代シェオルの沼渡り並みに印象を悪くしている」など、どうしようもない部分が目立ちました。

太陽のタイタンで釣ったときくらいしか速攻意味なくない?

 《著大化》は確かに一撃でゲームを終わらせる可能性がありますが、乗り越えるべき課題が多すぎて強化オーラというよりコンボパーツで、そのくせコンボとしての実現性が皆無でした。一応打撃力だけはある分努力の痕跡は見られますが。もっと日和ってる時期だったら「+12/+12」くらいに抑えてきた可能性さえあります。

トランプルは無理でもなんか能力欲しかったですね

 では、統率者向けセットでのオーラはどうか。というと、むしろこちらのほうが状況は深刻でした。《古き者のまとい身》についてはかなり優れたデザインであり(ナヤカラーで簡単にサーチできる《再拘束》であることに一部ボルトロンの民だけは初見で小躍りしました)、この度の初のfoil版にバイブス上がったボルトロンの民が多かったらしく、初動でfoilがかなりの速さで売り切れたのを観測しています。

4マナならなお良かったです

 しかし、他は概ね惨憺たるありさまでした。《大力無双》は《ヤーグルとムルタニ》においてはいいカードであることを認めざるを得ませんが、典型的な「日和った開発部のチキン根性が透けている」デザインで、個人的には腹立たしいカードでした。「つけて殴りたい時は結局即座にマナ払ってつけるんだから瞬速ほぼ意味ない」「4マナで+3/+3と1を下回るレシオ(スタンダードセットに4マナ+4/+4のオーラがいたのに)」「そもそも4マナのフレンチバニラオーラなのでこれが例え+6/+6でもレガシーやヴィンテージに悪影響なんかあるわけないどころかむしろカジュアルな統率者で戦略が豊かになる」という具合で、不満はたくさんあります。 しかしながら、《大力無双》ですら「統率者セットで刷られた新規強化オーラのレア・神話レア」枠においてはかなりマシなほうであるというのが現実です。もう1枚だけ特筆すべきカードはあるのですがこれについては誰一人語っているのを見たことがないのでいずれ個別に書きます。

構えられるコストではないですね

突然の濃厚なオーラの群れ

 しかし、Falloutコラボにおいて状況は一変しました。
 「アドを取れるオーラ」「除去耐性とサイズ補正を兼ねるオーラ」「条件付きながら低コストで高い打点を稼げるオーラ」と次々に可能性を感じさせるオーラが発表され、リストには過去の優良オーラも複数枚名前を連ねていました。
 久しぶりの「気合の入った」オーラ供給であることは歴然でした(「エルドレインの森」統率者デッキは結構良かったですがどちらかというと再録の布陣とエンチャントテーマの支援カードを分厚くとったことの勝利でした)。
 現時点でも新規オーラの多くはそこそこのシングル価格を維持しており、売り切れが続いているものもあります。
 間違いなく、内容的には良かったのです。
 しかし。しかしです。

思ったほどではなくない?

 疑念は時間が経つにつれてふつふつと湧いてきました。
 今回はその辺の整理をしたいと思っています。

オールモストパーフェクト

装備品っぽいですがオーラです

 多くの打撃統率者にとって「大きめのサイズ増強と破壊不能を同時に与え、問題解決に貢献する」カードです。
 従来の「破壊不能」を付与するカードはほとんどがサイズ増強を含んでおらず後ろ向きな印象を与えがちにも関わらず、統率者戦では「軽い追放除去」「優れたバウンス」などが溢れかえっていることから、防御札としての信頼性も今一つ、といったところでした。
 一方、このカードは「打点の向上を伴う」ため、相手に与えられた解答のための時間を削ることが可能です。「常に1マナ以下の対応札を抱えていて当然」のcEDH卓ならいざ知らず、カジュアルにおける「1~2ターンの短縮」は十分に致命打になりえます。
 しかしながら、どうにも「絶妙になにもかも足りない」印象が拭えないのです。
 サイズの恩恵の大きい《数多のラフィーク》においては「賛美と二段攻撃込みで20点で1点足りない」、《霧を歩むもの、ウリル》においては「ウリル着地の次のターンにこれを貼るとマナが残っておらず《怨恨》すら貼れないのでブロッカーを突破できない」、といった具合で、何とも冴え切らないカードに思えます。
 その辺込みで「almost」なのであれば非常に秀逸なデザインと言えるのですが、それはそれこれはこれ。
 6マナ払ってトランプルの一つもつかない、元のサイズが太い多くの殴り統率者ではせいぜい3~4打点しか上がらない、となるとやはりどうにも扱いづらさを禁じえません。この内容なら4マナでもレガシーへの影響はないですから、もう少し頑張って欲しかったところです。

グリムリーパーズスプリント

銃が堂々と描かれてるのは結構レアですね

 条件付きとはいえ2マナで《連続突撃》+《ゴブリンの戦化粧》という破格のパフォーマンスで、上振れの状況を想定すると極めて強力なカードと言えます。
 コンバット用カードとはいえここまでの内容であるならレベルの高い卓でも使われうるカードと思われます。でなければこんなに値段つくわけないですからね。
 ただ、疑問は色々とあります。

・これはどのフェイズに貼るのか
 連続突撃を活用するためには戦闘後の第2メインフェイズに貼るべきな  のですが、そうすると一回目の戦闘ではバフの恩恵が得られません。
 また、第1メインフェイズにつけようとするとただでさえ外部にトリガーを要求する陰鬱の達成が更に難しくなり、とても安定するとは言い難い状況となります。
・これは誰に貼るのか
 上振れだけを想定するなら「打撃ジェネラルならとりあえず貼って打点を増やせる」と言えますが、《連続突撃》と異なりインスタント除去を合わせられてフィズると何もかもが失われます。
 除去耐性を持ち、本人が陰鬱のトリガーになるかデッキがサクリ台等を搭載する形になる性質で、アタッカーとして運用できるサイズの統率者……そんなのいましたっけ?
・これの速攻は何のためについているのか
 《ドラゴンの運命》のところでも述べましたが、こういうのについてる速攻は強くありません。2マナでも盛大に疑問符。5マナだと非現実通り越して夢まぼろしです。

ナードレイジ

アドはアド。

 とりあえず着地で予言です。条件は厳しいながら強烈な打点補正があるので決まれば1~2クロックなのは立派です。
 といいつつも世間的にはそもそもあんまり評価されてない感じのこれ、一応役割はあるとは思っています。
 例えば《君臨するもの、インドミナス・レックス》において、リアニかブリンクで着地した際に速攻つきながら大量に引き増ししたところにこれを置くと一撃で16点パンチとなり、オーラを壊されても次の攻撃で1人倒せる状況に持ち込めます。「まとめてたくさん引けるけど手札溢れて捨てるので実質そんなにアドではない」問題もこれがついている間に手札を消化すれば解決します。
 例えば《漂う死、シルムガル》。呪禁・飛行に雑魚駆除までついていながら打点の絶望的な低さゆえにアタッカーとして成立していませんでしたが、青黒のヤケクソドロー力と打ち消しによるマスデス封じでバックアップすることによりパワー13で殴り続けることが可能になります。
 恐らくかみ合う統率者はまだまだいるはずで、可能性は十分にあるはずのカードです。
 とはいえ。
 10枚という条件がこれまた絶妙で、7枚の手札から引き増しして10を超えるには基本的に4ドロー以上のスペルが必要です。一部のライフペイ系カードを除けば基本的にコストが重く、序盤の立ち回りに寄与しない連中をトリガーとして複数取るのは苦痛が大きいです。
 融通の利く《ロリアンの発見》は3ドローのためここでは役に立ちません。むしろ、《聖別のスフィンクス》を1周維持するのが一番簡単までありますが、それできるならだいたい何やっても勝てるとも言えます。
 また、最低限の《予言》っぽいもの、として使うにも貼付先が必要で、そもそも「3マナソーサリー2ドロー」がカジュアルにおいてもシナジーありきの《熟考漂い》や、安定感抜群の《骨読み》等のごく一部しか通用していないため、下のテキストの有効発動率が低いと許容値をやや下回るところでもあります。

十分な休息

ドチャクソ野外だけどよく休めますね

 テクニカルなカードで、強化というよりは何かしらの無限ループに組み込んでゲームを畳む系のカードに見えますが、ターン1制限がついています。
 滅茶苦茶惜しいデザインですが、やたらよく売れており、「強そう」感はかなりあります。
 とはいえ、このカードも「適切な居場所は何処なのか」がかなり難しい感じはあります。「起動型能力を持つ統率者に貼り付け、対戦相手のターンに起動してその後何らかの手段で起こす」を繰り返すことで莫大なアドバンテージを得ることはできますが、「何度も起こす」が《種子生まれの詩神》くらいしか現実的ではなく(Falloutのほうの「マスター」ならアーティファクト生物のため《巻き戻しの時計》でもいけます)、安定して効果を堪能しがたいカードであると言えます。
 もしかすると既に何らかの有用な研究が進んでいるのかもしれませんが、現時点では「可能性の獣」の域を出ないカードという印象です。

終わりに

 いいカードが多い、というのは間違いではないのですが、「殴りデッキならほぼ無条件に取れる」のような用途の広いカード群ではない、というのが個人的な結論です。
 収まるべきデッキには収まると思いますが、現時点では最良の貼り付け先が存在していない可能性すらある、という感じ。
 今後新規のカードが出てきたときにマスターピースになりうる(いわゆる「オタクカード」になりうる)ポテンシャルは十分ある面々だと思いますので、安い時に押さえておいてもいいかもしれないカードではあると思います。名称によっては再録可能性がかなり低くなりますし。

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