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救済のひとつの道――グッゲンビュール‐クレイグ『結婚の深層』を読む

A.グッゲンビュール-クレイグはユング派分析家のひとりで、この本は、深層心理学的な観点から結婚について書いてあります。

子どもをもつことや結婚・離婚は、誰にとっても大きなテーマで、多くの方が悩まれていることでもあります。

社会学的には、結婚することは「自立」として周囲から承認される機能をもつとか言われたりもしてきました。一方で、フェミニズムからは、結婚しなければならないという強制からの解放が謳われたりしてきました。

様々な考え方がありますが、グッゲンビュールークレイグによれば、結婚は幸福の制度ではなくなり、現代の結婚は「救済の通路」であって、そのため、ますます「天職」となってきていると言います。

現代の真の結婚は、この特別な救済論的道筋が願望されるときにのみ可能である。・・・結婚と言うものは、彼が他では決して求めないそのことに対して自分を開いてこそ初めてうまく行くのである。ひどい苦労をし、自らを失って初めて、人は自分自身や神や世界を知ることができるのである。あらゆる救済論的な道と同様に、結婚も困難で苦痛に満ちている。・・・結婚における中心的問題は、幸福や単なる幸福感ではない。それはこの本が示そうとしたように、救済ということである。結婚はお互いに幸せに愛し合い、一緒に子供を育てる男女を含むばかりでなく、むしろ個性化しようとしている、「魂の救済」を見い出そうとしている二人の人を内に含んでいる。

グッゲンビュール-クレイグ 1979年『結婚の深層』創元社

この本には、結婚は愛と拒絶をもって相手にぶつかり、自分自身と、世界、善悪、高みと深さを学ぶ場だとか、相手との対話的対決を避けることができないとも書かれています。

「幸福イメージ」をもたれている方にはもしかしたら刺激が強いかもしれませんが、そうした「幸福イメージ」の中で悩まれている方にとっても、多くのヒントが書かれているかもしれません。

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