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超効率的!最適な学習量と間隔で反復学習効果を最大にするライトナー法とは?

【主要なアップデート】
(2020.09.06)Roam Research が独自のSRS法を発表
(2020.02.17)Active Recallを説明した note へのリンクを追加

こんにちは、Choimirai School のサンミンです。

0  はじめに

日本の教育現場ではなぜか科学的なエビデンスに基づいた学習方法があまり使われていない印象です。科学的には意味がないとわかっている勉強法や脳・認知科学の発達で効果がある方法など分かっていることはたくさんあります。しかし、なぜかそれを取り入れない。

また、本人が意識しているかどうかは別として、脳のしくみに合った効率的な勉強をしている人はそうでない人と同じ時間と努力を費やしても学ぶ内容は格段と多い。

今回の note では科学的に正しいとされている勉強法の中から学生から社会人まで簡単に使うことができるライトナーシステムを紹介させていただきます。

1  ライトナーシステムとは?

「ライトナーシステム」はドイツの科学記者だったセバスチャン・ライトナー (Sebastian Leitner) 氏が開発した語学学習システムで、単語帳の最も効率的な学習方法だと言えます。

2  特徴

ライトナーシステムでは間隔反復学習を取り入れていて、ずっと同じものを集中して勉強するよりも間隔を開けて勉強した方が効果的だという科学的エビデンスに基づいたテクニックです。同じ単語帳をずっと繰り返していると、その中には当然すでに覚えている内容と覚えていない内容が出てきます。

ライトナーシステムの特徴は、問題をユーザーの理解度に合わせて学習箱に分類することです。分類することで覚えきれていない内容を集中的に勉強出来ますし、すでに覚えているものは何度も繰り返す必要はなくなります。

問題をユーザーの理解度に合わせて学習箱に分類する

勉強法の効率化はとても簡単で、①覚えていないことや②忘れやすいことをたくさん勉強するようにして、ある程度覚えているものに関しては復習する反復期間を長くしていくことが最も効率的です。

3  使い方

まずは、引き出しや箱を5つぐらい用意してください。仮にBox1、Box2、Box3、Box4、Box5 の5つの箱を用意したとします。そこに単語帳を入れていきますが、入れ方にはルールがあります。

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最初は全部 Box1 に入れます。Box1 に入っている単語カードを見て正解したら次の箱、Box2 に入れます。そして、 Box2 に入っているカードを復習して正解したら Box3 に入れます。逆にBox 2 で正解して Box3 に一度入っても Box3 で復習した時に間違えたら Box1 に戻します。ここで、間違えたものを Box1 に戻すのがとても大事です。

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間違えたものを Box1 に戻すのがとても大事

もう一つのルールはこの箱ごとに復習間隔が違うことです。Box1 の箱は毎日復習し、Box2 の箱は例えば3日おき、Box3 の箱は一週間おきというように予め決めておきます。そうすると①覚えられないものや②忘れやすいことは毎日繰り返すことができて、一度正解すると3日おきになり、もし間違えたらまた毎日繰り返す方に戻る。3日おきで覚えていたら一週間おきでいいというようになります。

この5つの箱の中をいったりきたりさせることによって効率よく苦手なものだけを覚えることができるようになるというものです。

【追記:2020.09.06】Roam上でライトナー法を自動化できるようになりました。

4  科学的な根拠

ライトナーシステムを使うと自分が間違えた問題に対して勉強時間の大半を使うことができるようになります。それにより結果としては総学習時間を抑えながら、学習内容を長期記憶に保存できる事が分かっています。

科学的な学習方法を紹介している Make It Stick では間隔反復についてこう紹介しています。

Space your practice. Space out your practice sessions, letting time elapse between them. Massed practice (like cramming) leads to fast learning but also to rapid forgetting compared to spaced practice. Spacing helps embed learning in long-term memory.

練習の間隔をあける練習の間は時間をあけておいてください。集中的な練習(詰め込み勉強のように)は、速い学習にはなりますが、間隔をあけた練習に比べて、すぐに忘れてしまいます。間隔をあけることで、学習内容を長期記憶に保存することができます。

また、間隔反復(Spaced Repetition)では忘却曲線を利用し反復する間隔を算出しています。忘れかけた頃に復習することで効果的に記憶することができます。

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下記の動画でも詳細を説明をしていますがSpaced RepetitionはActive Recallと組み合わせることで更に大きな効果が期待出来ます。

アクティブ・リコールのメリットと方法は次の noto で説明しています。

5  まとめ

勉強したはずなのに、内容がぜんぜん思い出せないといった経験は多いと思います。時代の変化が早い今、時間は最も貴重な財産。時間をかけたらできるのと「時間をかけずにできる」ということの価値は雲泥の差!脳のしくみに逆らわないことで学習は劇的に効率化出来ます。

今回紹介したライトナーシステムは引き出しや箱のように物理的な仕組みと、AnkiやSuperMemoなどアプリで実装することが出来ます。

勉強した当日にたくさん復習をしても、あまり効果は期待できません。ライトナーシステムのように適切な間隔を空けて復習をしますと記憶の定着率は段違いに向上します。

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