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ネネとりっちゃん

読み終えてしまった。物語の中にもうしばらく入っていたかった。


私は本が新しく出版されても、すぐに読むことはまずない。どれほど話題になっても手にするのは数年後、文庫になっていたりする。でもこの「水車小屋のネネ」は珍しく早々に購入した。読んでいる間に本屋大賞2位の受賞となった。(すごい!おめでとうございます!!)


本に掛けられた帯の言葉がとても気になった。
「助け合い 支え合う人々の 40年を描く 長編小説」


18歳の理佐と8歳の律。二人の姉妹が「そば屋の仕事と鳥の世話じゃっかん」という不思議な求人に導かれてやって来た新しい町で、しゃべる鳥ネネとそこで暮らす人々に見守られながら、二人でたくましく生きていく。逃れてきた母とその恋人に追いかけられた時はドキドキしたし、大切な人を失った悲しみにもらい泣きもした。ここに登場する人物は、描かれる40年の中で姉妹とずっと絆を深めていくのだ。


北澤平祐さんのカバーイラストがとても素敵だ。1枚の絵の中に、それぞれの年代の思い出のシーンが一緒に描かれている。読みながら何度もその様子を見返した。


1981年から2021年までの5部で構成されている。2011年は東日本大震災が起きるし、2021年は新型コロナウイルスの感染拡大で大変な状況だった、つい最近の出来事まで書かれている。


「自分はおそらく、これまで出会ったあらゆる人々の良心でできあがっている」
これは律の想いだ。
「りっちゃん、幸せですか?」
私は心の中で尋ねてみる。
もちろん、そうであってほしいと願って。


大好きな杉子さんと




#創作大賞2024

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