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【ADマスター】『シャチホコアガピ』【デュエプレ】

ごきげんよう。

《連珠の精霊アガピトス》。

かつてデュエプレ史に伝説を刻んだ強大な力を取り戻したものの、時代の潮流に飲み込まれ居場所を失ってしまった……そうお考えの人も多いだろう。

しかし筆者は、このカードが奇跡的な噛み合いを見せる、まさに《アガピトス》のためのデッキと言っても過言ではないようなデッキを見つけてしまった。

それが、『シャチホコアガピ』である。


ということで、今回は私の好きなデッキについて語るだけの、いわばオタク回である。

デッキの強さとしては「マスターに到達できる程度」で、その構築思想はカジュアル寄りであることをご了承いただきたい。

0.青抜きシャチホコのルーツ

本題に入る前に、『シャチホコアガピ』の前身である、アガピトスの復活前に使用していた『青抜きシャチホコガガアルカ』について説明しておこう。

コンセプト自体は単純で、「自壊クリーチャーで《天下統一シャチホコ・カイザー》の能力を発動させ、覚醒リンク獣でフィニッシュする」というもの。

この部分だけ抜き出せば、《天下統一》のデッキとしてよりメジャーである《湧水の光陣》を採用した緑抜き4cの型と大差ないが、このデッキはそちらとは異なるアプローチを取っている。

メインの進化元には《霊騎幻獣ウルコス》、自壊獣には《霞み妖精ジャスミン》を採用しており、自然文明の長所であるマナ加速を取り入れている。

これにより《天下統一》の4t着地を可能にしつつ、当時流行していた《サイバー・N・ワールド》に強くなる点、《ドンドン吸い込むナウ》を当てられた際の損失が比較的小さい点などを持ち味としていた。

サブフィニッシャーの《聖隷王ガガ・アルカディアス》は、当時の環境トップである《超次元リュウセイ・ホール》系や《ヘブンズ・ゲート》系のデッキへのメタとしてデッキを支えた。
多くの対面に有効なグッドスタッフとしても働き、デッキ名に残る程の活躍を見せていた。

そうした特徴の一方で、自壊獣が《ジャスミン》と《ディス・アダラ・ドラグーン》の2種しかいないという問題点があった。《地獄門デス・ゲート》で使い回せるとはいえ、これでは《天下統一》の能力を能動的に使うことは難しい。
メジャーな【湧水シャチホコ】には入る《特攻人形ジェニー》や《アクア・バースター》も無いため、妨害手段にも乏しい。

さらに色バランスの悪さも大きな課題であった。特に火が10枚しか入ってないため《天下統一》の4t着地は安定しない。

こういった問題点のためデッキパワーはさほど高くなく、「湧水シャチホコでよくね」という主張に対しては多くの場合左上の赤ボタンを押さざるを得なかった。

このような性質を持つのが『青抜きシャチホコガガアルカ』であり、それを23.5弾環境でリメイクし発展させたものが、今回のテーマである『シャチホコアガピ』なのだ。


(というのは記事の流れに配慮した方便で、実際は2022年末のレジェンダリーディビジョンですでに『シャチホコアガピ』を組んでおり、それから着想を得たのが『シャチホコガガアルカ』である。その辺りを詳しく話すのは面倒なので省略させていただく。)


1.デッキ概要

まずは筆者が使用していた『シャチホコアガピ』のデッキリストをご覧いただこう。

『青抜きシャチホコガガアルカ』からの主な変更点として、

  1. 《連珠の精霊アガピトス》の採用

  2. 《居合のアラゴナイト》《ガガ・ピカリャン》の採用

  3. 《聖隷王ガガ・アルカディアス》の不採用

  4. 《爆砕面 ジョニーウォーカー》の追加

  5. 超次元ゾーンの入れ替え

などが挙げられる。

1と2に関してはこのデッキの核となる《アガピトス》とその踏み倒し先である。《アラゴナイト》はマナ色のバランスの向上にも寄与している。

3は環境の変化と《アガピトス》《ピカリャン》の追加によって光単色の枚数が増加したことが主な理由であるが、そのグッドスタッフ性は健在であり現在でも十分採用候補になる。《アガピトス》からも進化可能。

4の《ジョニーウォーカー》は《アガピトス》の復活と同時に追加された、このデッキを成立させるもう一つのキーカードである。
カード紹介の項でも触れる。

5の超次元ゾーンは環境次第で選択の余地がある。《絶対絶命 ガロウズ・ゴクドラゴン》には《アガピトス》とのシナジーがあるが、《死海竜ガロウズ・デビルドラゴン》や《シャチホコ・GOLDEN・ドラゴン》にもそれぞれ得意分野がある。

このような変更点こそあるが、あくまで「自壊クリーチャーで《天下統一シャチホコ・カイザー》の能力を発動させ、覚醒リンク獣でフィニッシュする」というコンセプトはそのままに、それを《シャチホコ》とのシナジーがある《アガピトス》が強力にサポートする、という形である。


2.《アガピトス》の役割および《シャチホコ》とのシナジー

ここからはこのデッキの主役である《アガピトス》の活躍について説明しよう。

①《天下統一》の進化元を出す

これは最もわかりやすい。

手札に《天下統一》があるが進化元がない、という場合でも(ややレアケースではあるが)、《アガピトス》を進化元の代わりにできるということである。

《ピカリャン》でデッキを掘りながら《天下統一》を探しにいくことも可能。

また、進化元に加えて《アガピトス》自身が場に残ることにも意味があり、例えば《学校男》の生贄になれるなどの利点がある。


②リソース確保

当たり前のことなのだが、《アガピトス》から《ウルコス》か《ピカリャン》を出せばマナか手札が増える。

ここで重要なのは、1枚のカードが2体のクリーチャー+αに変換されているという点。

『シャチホコアガピ』は青抜き4cというカラーリングの都合上手札が細いので、こうして手札1枚から複数のアクションを取れるカードの存在はありがたい。

その上、《天下統一》自体のビッグアクションを取ろうとするのではなく細かいアド取りを重視する方向性とも合致している。(ただし裏を返せば決定力を補えるわけではないので、その点に限れば《ガガアルカ》等に劣る。)

もちろん単純に《ウルコス》の1加速はデッキコンセプトに合っているし、《ピカリャン》の1ドローも貴重ではあるのだが、《アガピトス》による踏み倒しはそれ以上の意味合いを持つと言えるだろう。


③3→5→6のマナカーブ

《ウルコス》→《天下統一》と動いた次のターン、自壊獣でサイキックを展開するのが最善ではあるが、《アガピトス》でリソースを伸ばすのもいわば「お茶を濁す」動きとして悪くない。

パワカとしてとりあえずアガピを投げる、という動きはどこか全盛期を想起させる。


④踏み倒し先を《激天下》と共有する

《アガピトス》の踏み倒し先はコスト3以下、《激天下》の踏み倒し先もコスト3以下。あとは言わずもがな。説明を放棄しているわけではない

(今回は採用していないのだが、《黙示護聖ファル・ピエロ》を出して即座に自壊獣を用意するのも面白そうではある。その場合、現在の構築では呪文回収を有意義に使うことができず、現状の3枚の探索対象には劣るので、大きく形を変える必要があるだろう。)


⑤敵獣タップ能力で自爆特攻の補助

並んだ2000軍団を自爆させるための的を作ることができ、《天下統一》効果の起動に寄与する。盤面次第では《アラゴナイト》を即座に自爆させることも可能。

最小パワーをタップするため上手く自爆できないこともあるが、盤面を取れるならそれはそれで悪くない。

自爆以外にも、《ゴクドラゴン》の殴り先を作って、盾を割らない安全性の高いフィニッシュにも貢献する。至れり尽くせり。


⑥ブロッカーである

こんなとき

ブロッカーって実質自壊獣では???

例として、チャンプブロックで《勝利のプリンプリン》を出せるので、相手の《二刀龍覇 グレンモルト「王」》は《銀河剣 プロトハート》+《無敵王剣 ギガハート》のいつものワンショットプランを取れなくなる。

パワーがそこそこ高いのでチャンプブロックにならないことも多いが、相手が止まってくれるならそれはそれで良い。

アガピ自体に打点以外の存在意義が生じるという点では①や③とも関係してくる。


3.カード紹介

ここまでで、いかに《シャチホコ》と《アガピトス》の相性が良いかをお分かりいただけただろう。

再掲。

さて、彼ら自身については散々語ってきたので、次は彼らの取り巻きに触れておこうと思う。

実際にデッキを使っていただける際の参考になれば幸いであるのだが、オタク語りするだけなので参考にならないかもしれない


《霞み妖精ジャスミン》
《爆砕面 ジョニーウォーカー》

初動兼自壊札。
《激天下》でひたすら使い回す過労死枠。隙あらば砕き、場と墓地を往復させてマナを増やす。
《ジョニーウォーカー》の2000火力は【ツヴァイランサー】などの小型を並べるデッキに対して重宝する。

《ジョニーウォーカー》の追加によりコンセプトの根幹を担うこの枠が8枚体制になったことで、デッキの強度が大幅に上昇した。


《学校男》

自壊札であり除去札。

《天下統一》の効果起動に使うには他にもう1体の犠牲を必要とするが、その分効力も大きい。サイキック2体出しと除去ができる上、《激天下》でも使い回せる。
《ジョニーウォーカー》にも言えることだが、《一撃奪取 アクロアイト》等へのメタとしても有用。

2枚のカードを要求することがある点、先攻2t目のシステムクリーチャーを咎められる点から、後攻で輝くカードだと言える。

「学校」というワードが思い出したくないことを思い出させてしまうのが難点か。


《霊騎幻獣ウルコス》

アガピ三種の神器の一柱にして、進化元界のレジェンド。

《天下統一》は《吸い込むナウ》を当てられると頭痛がするほど辛いのだが、コイツが進化元なら「まあウルコス出し直せばアドか……」と思えるので少しだけ気分が楽になる。過去の過労の経験から思いやりの心を知ったのだろうか、大変プレイヤーに優しいカードである。

3コストなので《激天下》からも出る。《ウルコス》《天下統一》と出したのが破壊された際、《激天下》から出し直すことである程度戦線を維持できる。


《居合のアラゴナイト》

アガピ三種の神器の一柱。

3色カードがマナ基盤として優秀などという話は、リュウセイホール時代を潜り抜けたプレイヤー達にとっては釈迦に説法、孔子に論語、モルト王に二刀流トレーニングというものであろう。

実は、SAは「出たターンに仕事をする」という点ではcipと同質であるため、その観点では進化元としての適性もある程度高いと言えなくもない。
もちろん盾も削らず殴り返しもせずに進化したら実質バニラなのだが。

他には詰めの打点として活用することも多い。フィニッシュを狙うターンに《勝利のガイアール・カイザー》を添えるのに近い、と言えばわかりやすいだろうか。


《ガガ・ピカリャン》

かのレモンに代わってアガピ三種の神器に認定された1枚。

2ターン目にマナ加速し、3ターン目に多色を埋めながらコイツを出すとスムーズに《天下統一》に繋がる。
もちろん《激天下》からも出て、長期戦でのリソース確保に貢献する。地味ながら継戦力を高めてくれる。

光のカードが増えすぎることを嫌って枚数は3枚にとどめた。

上記の三種の神器でドローとマナ加速と(事実上の)火力を選べるのだから、アガピはほぼ《リュウセイ・ホール》じゃあないか、寧ろそちらと違って3打点作れるのだからアガピの方が強いのではないかと、たまに錯覚する。

実際は総合的に《リュウセイ・ホール》の方が強く、それなのにそちらの登場から《アガピトス》が許されるまでに1年かかった。何なんだよマジで


《躍動するジオ・ホーン》

サブの進化元。
探索の対象は《学校男》《ピカリャン》《ディス・アダラ》《天下統一》の4種。狙ったカードが出る確率は基本75%で、この確率を下げないために1枚のみの採用。

《激天下》で出ないのでプレイ優先度は低いが、序盤で《天下統一》を引けていない場合に限りバリューが高まる。引けている場合でも単色を持ってこれるのは優秀。
手札が整っている場合は貴重な自然単色として然るべきタイミングでマナゾーンに埋まってもらう。


《ディス・アダラ・ドラグーン》

自壊札、防御トリガー。

【ツヴァイランサー】を1枚で沈黙させる可能性を秘めたスーパーカード。
その一方で腐りやすい対面も多いのだが、《天下統一》下での自壊札という最低限の役割を以って許されている。

基本的には不足しがちな火闇マナを補うためマナゾーンに埋まってもらうが、他の自壊札や進化元が全く引けていないときは、5マナ払ってバニラとしてプレイすることで非常に切ない気分を味わうことができる。


《超次元ホワイト・グリーンホール》

色が合う殿堂カードだからとりあえず入れた……と見せかけて、実はかなり噛み合っている。具体的には、

  • 何かとマナが伸びるのでマナ回収を活かしやすい

  • 自然に《プリン》2枚採用ができる

  • 《ゴクドラゴン》で盾を殴る際にトリガーを仕込んでおき逆転を防げる

  • 初動の色マナ

といったところ。少なくとも筆者は入れない理由を見つけられなかった。

短所は優等生すぎてボケる要素がないところ。


《竜極神》

主に使うのは《竜極神ゲキ》の面。
《激天下》と蘇生先を共有でき、《アガピトス》や《天下統一》の効果を起動できる。
戦況次第ではリンクしてサブフィニッシャーにもなり得る。

アガピと同期かつ運営にかけられた枷を外された仲間であり、そのコンビネーションは彼らの全盛期を彷彿とさせ、プレイしながら懐かしさにも浸れる。

余談だが筆者は8弾当時デュエプレ初心者で、どちらかというと両者に虐げられる側の貧民であったため、特段彼らに思い入れはない。

それにこのデッキの《竜極神》は殿堂解除されたのにも関わらず1枚採用だし、何なら優先度が低く当落線上にいるカードである。
それっぽい雰囲気こそ醸し出しているが、そのうち4枚目の《ディス・アダラ》に取って変わられてもおかしくない。神は過去の栄光にふんぞり返ることの愚かしさを教えてくださるのだ。


《地獄門デス・ゲート》

試合を通して墓地に軽量自壊獣があることがほぼ前提となるため、このカードのバリューは高い。

《天下統一》下であれば除去+自壊効果+サイキック出しの3アクションに化ける。
極端な例だが、トリガーで踏ませて《ジョニーウォーカー》を出して2000火力を放ち、さらに《勝利のプリンプリン》を出して、合計3体の攻撃を止めることもできる。もはやスパーク。

不可能を可能にするタイプのカードのくせに「色合わせの闇マナです」みたいな顔をしていて覇気が感じられない。もっと自信を持ってほしい。


《DNA・スパーク》
《チャケの応援》

防御トリガー。
前者は最も確実な防御手段で、(アガピの件でも語ったが)タップ効果がデッキに合っている。
後者は初動の色になるのが長所。
この枠はさして重要ではないのだが、結果的にはこの2枚が最も収まりがよいと感じた。


超次元ゾーンについて

コンセプトに直結する《激天下!シャチホコ・カイザー》を含む、《絶対絶命 ガロウズ・ゴクドラゴン》のパーツ3枚は確定として良いだろう。

防御手段として汎用的である《勝利のプリンプリン》1枚も確定レベル。残りの4枠には選択の余地あり。

《ゴクドラゴン》によるフィニッシュに不安がある場合は《ガロウズ・デビルドラゴン》に頼ることも一考の余地がある。特に【MRC】に強い憎悪を感じる人にオススメ。

一見ネタのように見えて《シャチホコ・GOLDEN・ドラゴン》もなかなか強力。【白単サザン】の横並びを一発で溶かせるのは主張点になりうる。

覚醒リンク獣以外では、マナが伸びるのを活かせる《タイタンのジオ・ザ・マン》、遂行速度や除去への抵抗力を高められる《激天下》の2枚目、ブロッカー兼アタッカーの《時空のガガ・シリウス》などが候補。現在の構築ではこれらを採用している。


4.参考映像

今回は新たな試みとして、対戦のリプレイ映像を用意した。

百聞は一見にしかず。ただ文章を読むよりも実際に動いている様子を見た方が、間違いなくこのデッキについての理解も深まるだろう。

なお、当方動画投稿に関しては素人である故、読み上げもカット編集もない低予算構成で、さらに録画ミスによりゲーム音声が入っていないのだが、どうかご容赦いただきたい。誰か代わりに他のデッキも動画化してくれないだろうか。DMお待ちしております

おわりに

いかがだっただろうか。

アガピで出せるね

あとがきに入る前に戦績の話をしておく。デッキレポートシリーズにはランクマでの戦績を載せているのだが、本記事では絶妙に書くタイミングを見つけられなかったのでここに記しておこう。

とは言っても今回は全ての戦績を記録していたわけではない。
途中のプラチナ4〜5辺りから9連勝→2連敗→7連勝し、オウギンガカップADマスターに到達したという記録だけが残っている。16勝2敗、勝率89%。んなわけ。

言うまでもなく都合の良い部分だけを抜き出しただけの数字なので信用には値しない。
ただ、その連勝が上振れによるものなのか、また実際にどれほどの強さを持ったデッキなのかは、ぜひ読者の皆様の手で判断していただきたい。

さて、今回は『シャチホコアガピ』というデッキの構造に着目し、なるべく多くの要素を拾えるように記述してきた。魅力が十分に伝わっていれば筆者冥利に尽きる。

一方でプレイング等については詳細な部分を記述しなかったが、その辺りにも奥深い部分があるので、ぜひ実際に使ってみて体感してほしい。タイトル詐欺では

(「今更シャチホコなんて持ってないよ!」という方には大変申し訳ない。マスター到達が12月31日のことだったので、直後に記事をリリースすればレジェンダリーディビジョンの期間中であったのだが、間に合わなかったのはひとえに筆者の落ち度である。)


《竜極神》や《アガピトス》の例に続いて、今後も殿堂や下方修正が解除されるケースは出てくるだろう。殿堂・ナーフされていた期間に登場したカードに相性の良いものが含まれていないか、注意して見ていきたいところだ。


それでは、ごきげんよう。

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