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ApeOut
2021.12.27追記
2年ぶりに記事を読み返してみたらこのゲームがメチャクチャ面白いということをハッキリクッキリ書いてなかったので書いておきたくなって追記した。ApeOutはメチャクチャ面白いゲーム。
以下本文
ApeOut。Apeが人間を撒き散らしながらOutするゲーム。
ゲームを開始してガラスを割った瞬間タイトルインサート! 研究員をちょんと押せば一瞬でバラバラに! デカデカと製作者の名前! ドジャーンとなるシンバル! 同時に鳴り出すフリージャズパーカッション! 狼狽した警備員を発砲する前に破壊! レベルの開始時にカッコよく入ってくるサブタイトル! ゲーム開始からエンディングまで、ゲームの端々まで一貫したアートスタイルがサイコーである。
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ApeOutはいくらでもインターネット映えする文章が書けるゲームである。何らかの理由で人間に捕まった怒れるゴリラが、人間を血みどろのバラバラにしながら脱出するという内容であるから、数年前に流行ったバイオゴリラの流れを組めば割と簡単に耳目を集めることができるであろう。
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しかししばらくプレイすれば、このゴリラが単なる怒り狂うバイオゴリラではないことがわかる。生き延びて脱出を果たすためには重火器で武装する人間の群れを翻弄しなければならない。壁から壁を渡り、出会い頭にいち早く一撃を加え、盾にし、武器とし、置き去りにしなければならない。大体、BGMからしてコンテキストの塊であるフリージャズである。決して原始のリズムなどではない知性のリズムと共に、激情と冷静さを併せ持つ存在と化す。特殊なパースで描かれた見通しの悪い壁が人間とゴリラの平等な鉢合せを誘発し、次の一瞬、ゴリラの知性は人間の知性を凌駕する。
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特徴的なアートスタイルが目を引くが、このゲームを支えているのはしっかりと作られたメカニズム部分である。登場する敵は種類は少ないものの明確な能力の差別化がされていて、さらに組み合わせによって対処を複雑にする。爆弾を持つ人間を盾にするのは危険だし、火炎放射器に気を取られればショットガンの餌食になる。見通しの悪い部屋を抜けた瞬間に複数の敵と遭遇し、退くか押すか、掴むのか殴るのか、ゲームデザインがプレイヤーに一瞬の判断を迫ってくる。レベルとレベルはスムーズに繋がれ、没入を途切れさせない。
アートスタイルとメカニズムが寄り添い、鳴り続けるパーカッション、血だまりとシンバルの音、人間の視線をかいくぐり続けるうちに、ゴリラであることなどどうでもよくなり、力と知性を振るうオレンジ色のなにかとしてプレイヤーがゲームと一体化する。走る、ボタンを押す、ドジャーン、走る、ドジャーン。
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ゲームクリア後は追加ステージであるBREAK IN/OUTとarcadeモードが遊べるようになる。どちらもクリア後の余韻としてちょうど良いボリュームと難易度だった。