メタルマックス ゼノリボーンのこと

メタルマックスシリーズの最新作であるメタルマックス ゼノリボーンをプレイしました。

ゼノリボーンは、2018年に発売されたメタルマックス ゼノのリメイクであり、また2020年内に発売予定のメタルマックス ゼノリボーン2の下地となる作品、ということになっています。わずか2年前の作品をリメイクしたり、さらに続編が(延期が濃厚とはいえ)数ヶ月以内に発売予定となっているのはかなりメチャクチャに思えますが、やると言っているのだから仕方がありません。

ゼノリボーンはリメイクというよりも作り直しと言った方が適切なぐらい、とても野心的な作品です。伝統であった従来のコマンドRPGの要素の多くを廃し、よりオープンでリアルタイムな世界の構築を目指そうとしています。フィールドの探索とバトルはシームレスに繋がっていて、プレイヤーは射程に敵を捉えて先制射撃を加えることになります。戦車(クルマ)は全て速度や旋回性能などが違うため操作感が変わり、武器によって射程も変わるため、これまでメタルマックスシリーズでは記号として省かれてきた部分を体験できるようになっています。

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バトル中も(コマンド入力中以外は)自由に移動ができ、途中で距離を離したり建物に隠れて視線を切ることでバトルを離脱することもできます。残念ながら遮蔽物で敵の攻撃を遮ることはできないため、メカニズムの骨子はこれまでのコマンドバトルと大きくは変わりませんが、そこはとっつきやすさ、理解しやすさというメリットがあるかもしれません(開発工数の都合なども考えられますが)。一方で半リアルタイムで飛び交う砲弾の嵐は、新しいメタルマックスとしての可能性を感じさせる画を見せてくれます。さらに今回は徒歩移動のメンバーや犬も移動時には戦車に腰掛けて移動してくれます。素晴らしい。

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また、探索→改造→賞金首を撃破→改造→探索というゲームのコアループを回した末にある無体な砲撃戦というメタルマックスらしい成長のメカニズムは機能しているため、ゼノリボーンというゲームは、メタルマックスとして新しい面白さ(の核)をしっかりと持っていると言えます。

一方で、面白さの核以外の部分は、言ってしまえば作りかけと言っていい状態です。

戦車を降りて徒歩で移動する際の操作性は一見してわかる酷いものですし(改善予定は発表されています)(アップデートで改善されました)、先制射撃をするためにはメニューを開いて攻撃を選択し照準を合わせて砲撃をしなければなりません。照準モードでは戦車を移動できないため、もし射程が足りなければキャンセルして最初からやり直しです。整理されているとは言えないメニューは全般的に読み込みによる一瞬のラグが発生し、ベースではアイテムを使用することができません。そもそも、普通のメニューと戦闘用のメニューの両方にアイテムメニューが存在し、普通のメニューでアイテムが使えないのは何故なのでしょうか。また、乗車時にアイテムを使用すると、その度に降車モーション、アイテム使用モーション、乗車モーションが挟まります。ベースで回復できないサバイバルモードでは、装甲を回復するためにこのモーションを何十回とみることになります。白兵戦の味方AIは距離など関係なく敵に向かってダッシュしていきますし、徒歩で入るダンジョンではゆらゆらと揺れるライトが画面酔いを誘発し、後ろから付いてくる仲間も何故かライトを持っているので、ポMを操作していたりすると反射して目がチカチカします。賞金首が何もせずにフィールドに突っ立っているのはザラですし、これはネタバレですが、スタート地点付近で存在感を放っているはずのラスボスが何故か中盤の道のど真ん中に鎮座しています(ゼノではストーリー上の意味があったらしいのですが、ゼノリボーンではストーリーが省略されているため、ポMの「なぜここに……?」的なセリフだけで処理されます)。ちなみにこのラスボスは普通に倒すことができ、倒せばエンディングです。その時点の普通の戦力では倒せないかというとそんなこともありません。何故ならデカすぎて、足元付近で戦えば勝手にこちらを見失って戦闘状態が解除されるからです。賞金首の倒した時の演出も簡素ですし、ドロップアイテムが表示仕切る前にカットインが入るので、あとで自分でアイテム欄を確認しなければなりません。あ、そういえばボイスが異様に小さいのであまり聞こえません。操作ができなくなるバグやフリーズバグも多く見られます。ゼノから変更されたストーリーに関してはノーコメントです。何故ならメインのストーリーはほとんど無いに等しいからです。(これはゼノからですが)おそらくコストカットとして設定された世界観(人類は滅亡寸前でほとんど残っていないし、街もアイアンベース以外に存在しない)のため、これまでのメタルマックスシリーズのようなたくましいNPCたちのやりとりは見られません。

このように、ゼノリボーンは悪いところを挙げていくと一瞬で0点になり、マイナスへ突き抜けていくゲームです。しかし一方で、新しいメタルマックスとしての面白さは確実に提示されています。もしこの方向できっちりと作り込まれた作品が生み出されれば、生まれ変わったメタルマックスとして名実共にリボーンするのでは無いかと考えています。

そして残念なことにこの方向でリボーンするという願いは、分不相応なものではないかという疑念も首をもたげてきます。先に挙げた不満点の多くは開発リソースの不足によることが明らかです。そして、現状のシリーズの売り上げで、今後そのあたりが大幅に改善されるとは考えにくいでしょう。

酷い話をしていますね。

ここまで2000文字くらいドバッと書きましたが、私はだいぶゼノリボーンを楽しんでいて、マルチレグくんでガシャガシャ荒野を走り回っています。ゼノリボーン2も買うと思います。

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