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私はただ皆に美味しいコーヒーを飲んで欲しかっただけなのに。Coffee Inc 2の話。

Coffee Inc 2をプレイしました。Coffee Inc 2はコーヒー店を経営して利益をあげ、発展させていくシミュレーションゲームです。とても面白い。

このゲームは数千万を元手に出店場所を検討するところから始まります。出店候補地にはランニングコストである週間テナント料のほか、初期費用である保証金や店頭の歩行者の交通量がそれぞれ設定されています。プレイヤーはそれらの情報を元に、今ある元手でどこに出店するか、外装や内装、設備にどれだけ費用をかけるかを考えながら開店準備をすることになります。私はお客さんに美味しいコーヒーを飲んでもらうためにこの道を志したのです。

開店後は従業員をどれだけ雇うか、どのようなメニューを出して値段はいくらに設定するかなど、詳しく設定が行えます。さらには経理情報として店舗の損益計算書の詳細まで事細かにプレイヤーに提示されます。プレイヤーは黒字を維持できるように努力しながら、日々のトラブルにも対応しなければなりません。

ある店舗の損益計算書
豆のブレンドまで弄れる。

資金が貯まってくれば2号店を出すのも良いでしょう。しかし店舗ごとの設定はそれぞれその店舗をタッチしてチェック、更新しなければなりません。そこで従業員にプラスして店長を雇うことで店舗運営を任せることができます。雇用する店長にはそれぞれ能力値がありますから、どの項目を任せてどこを自分が管理するか考えましょう。

ほんと何にでもパラメーターが設定されてるなこのゲーム。

順調に黒字が大きくなってきたら店舗を増やし、更には別の都市や国に支店を出すのも良いでしょう。しかしそうなってくると各店舗を回ってチェックするのにも限界が出てきます。店長が辞めたら新しい店長を雇用するべきなのにその店舗を探すのも大変になってきます。そうなれば、私のコーヒーチェーンを管理するためのオフィスを借りましょう。もちろん費用は毎月かかるようになりますが、各店舗の情報を一覧でチェックできるようになりますし、福利厚生は重要です。

我が全知全能コーヒーが支配する街、シカゴ。

競合他社との競争には宣伝も大切です。都市毎に様々なメディアで宣伝しましょう。もちろん費用はかかります。オフィスに商品開発部のフロアを作ればプレイヤーのチェーン店のオリジナルメニューを開発することも可能です。もちろん更に費用はかかりますが!

店舗が更に増えていくとオフィスがあっても店舗の管理がいよいよ大変になっていきます。そんな時はCOOを雇いましょう。COOに店舗管理を任せれば、店長が辞めてもCOOが判断して新しい店長を入れてくれます。ところで新聞はチェックしているでしょうか?有望な会社の株を買うことで本業のコーヒーチェーン運営とは別の収入を得ることも可能です。

そうです。このゲームの素晴らしいところは、コーヒー店そのものの経営ではなく、その外側、会社運営という上のレイヤーの世界の存在にあります。

ゲーム開始当初は各店舗のメニューに気を配っていたプレイヤーは、会社の規模が大きくなっていくにつれてそんなところに意識を向けてはいられなくなります。店舗管理そのものはCOOに任せて、CMOやCPOを雇えば宣伝活動や新商品開発もお任せできます。そうして手の空いたプレイヤーが行うのは、株や不動産やベンチャーへの投資、会社経営に影響を与える法案に対するロビー活動です。有望株をうまく買っていけば、本業のコーヒーチェーン経営がどうでもよくなるような資金を得られてしまいます。ゲームを進めれば進めるほど元々のコーヒー店経営がどうでも良くなっていく!

私はコーヒー店を経営しているのではなかったか?

CFOを雇って上場を果たせばいよいよ莫大な金を用意する手段が整い、ゲーム中に見るのはライバル企業を買収するための時価総額や投資している有望なベンチャー企業の株価や不動産の値動きです。気付けばずっと投資部のポートフォリオばかりを見るようになっている自分に気付きます。コーヒーチェーンの経営は会社の別の誰かが良い感じにやってくれます。私はそんなことを気にする必要はありません。むしろそんな些細なことを気にしていては会社のみんなが困ってしまいます。

会社の貸借対照表(バランスシート)

ゲームをプレイしていてテンションの上がる象徴的なシーンの一つに、ゲームがスケールアップする瞬間があると思います。浮遊大陸を飛び出して大海原に飛び出した瞬間。塊魂で建物を巻き込めるようになった瞬間の高揚感。

Coffee Inc 2のプレイヤーは会社の規模が大きくなるにつれて扱うもの・金のスケールがアップし、見える景色(見なければいけない景色)が変わっていきます。管理職になったなら自分が手を動かすのは程々にして人に手を動かしてもらえっていうアレの大スケール版です。これが経営者目線というものか。気付けば金を産むために金を集め、増えていく数字を見てウヒョヒョとしています。そういえば私はどうしてこんなことをしているんだろう?私はただみんなに美味しいコーヒーを飲んでもらいたいだけだったはずなのに……。どうして……。どうして……。私は……。

終わり。

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