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松戸囲碁サロンで対局してきました②

前回の続きから解説していきます。

前回はここまで解説しました。白はどこに目を向けるべきか。

白1と打って2子もろとも中央を助けて打ちたくなる方もいらっしゃるかと思います。黒は2と切って左側を強化してくるでしょう。
白3、5と平凡に打っていても取られることはないでしょうが、このように白石を増やしてしまうと白はもう中央を捨てて打つ選択肢がなくなってしまいます。
右方の黒一団もまだ完全とは言えないものの、黒2と先に左方の黒を厚くしてしまっているのが気がかりです。

実戦は白56のツギを打ちました。
黒57と代わって実利は損ですが、白58とカケて黒の出方を聞いてみました。
白58は非常に悩んだところで、AIはここでAにカカる手を最有力候補に挙げていましたが、実戦もないわけではないようです。
この辺りはヨンで打ったのではなくほとんど石の形から判断して着手しています(本当はちゃんとヨメないといけないのでしょうが)。

白の方針としては、少なくとも中央の5子or先ほど繋いだ3子のいずれかは捨てる心づもりで、黒の受け方次第で整形していこうといったところです。
また、捨てるにしても「できるだけ小さく取らせること」を意識して打っていましたが、実戦は……?

白は左辺方面に厚みを築いていく進行となりましたが、その過程で黒65、67と2手大場に回られてしまいました。
白70の圧迫に対して、黒は冷静に71と中央を備えました。

ここまでのワカレを振り返ると、黒は左上と左下の大場を打ちつつ中央の白を取り込むことに成功。対する白は、左辺方面に大きな厚みを形成したものの、それだけです。
中央の白は多少味残りとはいえそれなりに大きく取られており、この進行は白の失敗と判断できます。AIの評価値もそれまで白勝率85%以上を維持していましたが、この時点では約52%と大きく落としています。

実戦の白60では上図白1のハネが形の急所でした。
黒2には白3とさらにハネ、黒はダメヅマリのため4と戻る手が必要で、白も5とひと息つけます。

以降の進行は一例ですが、白はたくさん石を捨てているものの外からかなり制限した格好で、中央一帯の黒地はたいしたことありません。
また、黒14まで打ってくれれば、場合によっては外側の白数子(1、3、5の辺り)も全部捨てて差し支えありません。

左上の地を取りつつ白15と右下の大場に回れば、白が打ちやすい碁形でしょう。

実戦に戻ります。
白72は様子見です。黒73の受けには、のちにAやBの狙いがあります。
黒75以降の打ち方はややしつこく、単に黒75でCやDに打っているほうが簡明でした。
一応白を分断してはいますが、白84と好形にカケツいで、左辺の白はいっそう強化されました。

白86はこの形においてよくある利かしの手筋です。
左方の白は厚いとはいえ、まだ100%眼があるわけではなく放っておくと攻められる恐れがあるため、自らの補強の意味も込めて86と打ちました。

黒89では90のツギなら無難ですが、それなら白は十分利かしたとみて白Aに回り、黒B、白Cのような進行が考えられます。先手で左辺を補強して最後の空き隅に回れば、白も十分地合いで対抗できるでしょう。
実戦は89で反発してきたため、白90と差し込んで黒の応手を問いました。


白94まで左辺の白は固まりましたが、まだ多少味はあり、黒も先手を取れたのでそれなりでしょう。

貴重な先手を得た黒は95と下辺に向かいました。
この手は、囲碁の棋理の観点から考えてやや疑問と言えます。

「強い石に近づくな」という格言があるように、自らの強い場所を起点に地を増やしたり働きかけていくのは効率のよくない打ち方です。
反対に、「互いの弱い石の周辺に打つ」手は双方の死活に影響を及ぼすため価値が高く、石の効率も勝ります。

本図黒95が黒の強いエリア(中央一帯)から動いているのに対して、AやBは黒の強いエリアから遠ざかりつつ、弱い石(白5子)に迫っているため棋理に適った手と言えます。

※(初手~黒95まで 棋譜)
https://gokifu.net/t2.php?s=7831711290597501

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