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苦境の先に

 どれだけの時間、パソコンのモニターを見つめていたのだろうか。教授以外の顔は非表示で、声も聞こえない。狭い部屋の中で1人過ごす時間は退屈で、不安でならなかったことだけが鮮明に思い出される。

大学1年生
 高校野球が終わってからは全ての時間を受験勉強に費やし、やっとの思いで入学した北海道大学。当時の世間はコロナ禍にあり、特に学生は「不要不急の外出」という言葉の対象として、さまざまな制限を受けていた。授業はオンラインで行われ、サークルや部活の活動は休止されるのが当然であった。
 そんな中私に新しい友達などできるはずもなく、たまに地元の友達と集まって人と話すことが唯一の安心できる時間だった。しかしTwitterなどSNSを使いこなす人は充実した生活を送っているように見えて、それがさらに私を焦らせた。自分は決して「陽キャ」の枠には入れない人間なんだ、と自覚する期間となった。
 なんとか友達を作らねば、と意気込んでいた私は、対面授業が開講された短い期間に色々な人に話しかけ、なんとかできた気の合う友達に誘われてソフトボール部に入部した。バドミントンのサークルにも入り、バイトも始めて、2学期頃からは思い描く大学生活に少しだけ近づいていった気がする。

大学2年生
 ほとんどの授業が対面で行われるようになり、一気に人の輪が広がった。一緒に沖縄旅行に行くような大切な友達ができたり、地元の友達と富士山に登ったり、ディズニーランドに行ったり、二日酔いになって金沢駅で液キャベを飲んだり(その後全部吐いてしまった)、部活動では副キャプテンとしてチームを引っ張ったり、色々な新しい経験をした。夏休みには彼女もできたりした(陽キャ(?)な部分についていけずボコボコにされ、別れてしまったが笑)。
 2年生では様々な人間と関わり、沢山の新しい経験をすることができた。わたしはこの期間を通して、改めて自分がどういう人間なのかを理解し、どのような人間でありたいかが思い描けるようになった気がしている。コロナと完全に無縁になったわけではなかったが、私の生活は充実していたと胸を張って言える。  

大学3年生
 新型コロナウイルスは5類感染症へと移行し、日本全体の動向として脱コロナへと向かっている。部活動、ゼミ、就活など忙しいが、目標を持って毎日楽しく過ごせている。

これまでの大学生活を振り返って
 コロナ禍では当たり前だった日常が当たり前のことではなくなり、改めて今までどれほど恵まれていたかを実感することになった。様々な制限を受けていた時は辛かった記憶しかないが、振り返ってみるとこの期間を通して自分から動くことの大切さや、自分がどんな人間であるのかなど、新しい発見が数多くあったなと感じる。大事なのは置かれた状況ではなく、その中で自分は何をして、何を得られるかである。いつかその経験は私たちの力になってくれるはずだ。
 頑張れみんな、頑張れ俺。

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