ヨルガオの花 【短編小説】
写真部の合宿で河口湖を選んだのは正解だったと思っている。
みんなが泊まった宿の部屋で酒を飲みながら麻雀をジャラジャラ打ってて騒がしいので、外に出て河口湖大橋まで行くと、橋の柔らかいオレンジ色の照明の光が目に入る。まるで色の違う蛍の群れのようだ。私はオールドレンズを付けた小さなカメラを首から下げて一人でこの橋の方まで来ていた。
まるでこの世には私しかいないようだった。道路に車の一台も来ない。橋を独り占めしている。静かだった。あっ、と声を出しても無限の秋空に吸い込まれてい