見出し画像

オーストラリアのボルダーオパール


これはまだ、私がボディワークで自宅サロンを営んでいた頃のお話。

クリスタルの学びを深めつつも先に私が仕事としていたのはボディケアで、メインの施術はオーストラリア在住の先生に習ったワークだった。
(まだ目に見えない世界を仕事にする自信も勇気もなかったのだ)

その先生からもう一つのワークを習うこととなり、二度目のケアンズ行きとなった時のこと。

オーストラリアはこの二回の研修で初めて訪れた土地だった。
しかし場所はケアンズ。ほぼ亜熱帯のモンスーン気候であり、あまりオーストラリアらしくは無かったかも知れない。
(しかも研修だったから、かの有名なグレートバリアリーフの珊瑚礁にも行っていない。)

研修は先生のご自宅を開放して行われた。
庭にプールやコテージのある洒落た欧風の邸宅で、どの部屋にもクリスタルやスピリチュアルグッズがたくさん並んでいる上に、オーストラリアらしい多彩な色彩があちらこちらから目に飛び込んで来る。
亜熱帯の森に続く庭からは日本では聞かない鳥の声がしていた。

そんな研修の終わりに、最後に一日だけフリーの時間を取ることが出来た。
一人だから行く場所もあまり選択肢はなかった中ではあったが、一晩だけビーチ沿いの素敵なホテルに泊まると、翌日観光地キュランダへ行ってみることにした。

ケアンズの隣町のビーチリゾート、パームコーブのお洒落なヴィラに一人(笑)
それはそれで素敵なリラックスした時間となって、翌朝キュランダを目指す。
キュランダは熱帯雨林の国立公園で世界遺産でもある。
渓谷を眺めながら山を登るキュランダ鉄道は、ちょっとハリー・ポッターの世界みたいなメルヘンチックなレトロな風情だった。

キュランダの町はちょっとセドナの様な風情で、スピリチュアルグッズのお店もけっこう目についた。
私はせっかく来たんだからオーストラリアの石が欲しいと思いつく。
オーストラリアの石と言ったら、やはりオパールか。

ジュエリーとしてのオパールショップがキュランダにはたくさん並んでいた。
がしかし、私が欲しかったのはジュエリーではないボルダーオパールだった。

ここクィーンズランド州はボルダーオパールで有名だ。
オパールは鉄鉱石の隙間に入り込んだミネラル分含む熱水が元になって形成されるため、母岩に入り組んで美しい模様を描き出しているものがボルダーオパール。
ほぼコモンオパールだから、プレシャスオパールよりもずっとお手頃だ。

というわけで私はボルダーオパールを探すことにしたのだが、どのショップを覗いてもジュエリーになっている品ばかりで、ボルダーオパールはショーケースのアクセサリーとして端っこに置かれているものばかり。

その陳列用の石が欲しいんだけど・・・ などとも言えず、白人の美しい店員さんには貧祖なアジア人の冷やかしだと思われただろう。

半分あきらめかけた頃、クリスタルショップが目に留まった。
ジュエリーではない、私の良く知る鉱物、クリスタルのお店だ。
やっと自分のテリトリーを見つけた様な気分になってお店に入る。

残念ながらそこにもオパールは無かった。

だがとても安価なクリスタルやセレナイト、他にも鉱物が手ごろな値段で並んでいたのと、店主のおばちゃんがエネルギーヒーラーであり、且つお嬢さんが日本でディズニーランドのキャストをやっているなんてお話を聞いてすっかり石の話やエネルギーの話、そして日本の話で盛り上がった。

そうして楽しい時間を過ごすと、セレナイトのワンドを買ってお店を出る。


途端に、出会ったのである。
私のオパールに。


クリスタルショップの前の広場には、地元の若いアーティストがそれぞれの個性豊かな露店を広げていた。

その一角に手作りのアクセサリーを並べているお姉さんがいて、私はそこに並んでいたチョーカーに目が釘付けになる。

パッと目に飛び込んで来たのはオパールのチョカー。
とても手ごろなサイズ感とお値段、そして母岩と青紫色のオパール部分が絶妙なバランスのボルダーオパールだった。


やっと出会えたーーーーー・・・!!!!


チョーカーの金具は要らないけれど取りあえずそのままお買い上げして、日本に帰ったらクリスタルの先輩にマクラメ編みのペンダントにしてもらおうと考えた。


石との出会いというものは不思議なもので、その石やその土地、大地の周波数と自分の波長が合わないと出会えないものが確かに存在する。

オーストラリアでのこの経験はまさにそれで、最初に見ていたジュエリーショップに並ぶツンと澄ました上品なジュエリーオパールと私は全く相容れず、お呼びでない感、はじき出される様な疎外感すら感じていた。

それがクリスタルショップで現地のおばちゃんヒーラーと打ち解けた途端、私の視界は別の広がりを見せ、その土地の意識へと繋がることでボルダーオパールとの出会いが出来たのだと思っている。

大地と、土地とその精霊に、愛と敬意を表すること。
それは、その土地の鉱脈へと繋がる第一歩だ。

互いの心が開いた時、目の前に顕れるクリスタルは
大地の精霊、スピリットからの贈り物だ。


かくして私のオパールは、コモンオパールなんだけど私にとっては唯一無二の ”プレシャスなオパール” となった。

日本へ戻って私のオパールは、チョカーの金具を外しマクラメ編みの紐に付け替えたペンダントとなった。

こんな素敵なボルダーオパールのペンダントに出会えたのは後にも先にもこの時だけで、今でも変わらず私に寄り添ってくれるプレシャスオパールである。

いつかは私も美しい宝石としてのオパールに目が行くかも知れない。
それでもこのボルダーオパールが私に与えてくれた経験とあの時の記憶はずっと、胸に留まってくれることだろう。


今日は、これにて。


橙香

https://aseedofsanctuary.com/ 




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?