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「世界的なデニム産地でものづくりを学ぶ旅」に参加してきました!

「世界的なデニム産地でものづくりを学ぶ旅」に参加してきました!

はじめまして、産地の学校2期生の中嶋です。

2022年3月に本格的に始動した「世界的なデニム産地でものづくりを学ぶ旅」のモニターツアーに参加してきました。
今回はツアー開始に先駆けて、2月に広島県福山市を中心に開催されたモニターツアーの様子をお伝えします。

「世界的なデニム産地でものづくりを学ぶ旅」とは?

世界的なデニム産地である福山の産業工程の見学と本格的なジーンズづくりを体験できるツアー。
広島県福山市を中心とする「備後エリア」は、江戸時代後期より備後絣が生まれ、デニムやワークウェアを中心に繊維に関連する企業や工場が多く集まる、日本でも類をみない一大繊維産地です。

特にデニムにおいては、染色・織り・縫製・洗い加工場・プレスなど分業で産地を支える体制が根付いており、全体が一つの工場のような機能を持つ特殊な地域。
このツアーでは、そんな地域にあるデニムの製造工程をたどりながら、見るだけでなく、実際に自分だけのデニムを一から縫って加工するまでの工程を体験できます。

単なる産地見学にとどまらない、ものづくりのコアな体験ができるツアー内容は必見です!
今回は上記ツアーの内容が凝縮されたモニター用のショートコースに参加してきました。

モニターツアー初日、「篠原テキスタイル」さんへ

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工場に着いた瞬間に目に入る、抜けた先のビーム置き場には圧巻です!

まずはじめに向かったのは、有名な老舗のデニム織布工場である「篠原テキスタイル」さん。様々なデニムを開発し、実際に生地を織られている工場です。

ツアーでは、座学から始まります。「備後エリアがなぜデニム産地に発展していったのか」という歴史から、デニムの原料の紹介、織物の構造・組織の話をしていただき、改めてデニムについての勉強ができます。

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上右図のように、デニムの組織は基本的に、経糸が3本の緯糸の上を通過し、1本の緯糸の下を通過するという「綾織」と呼ばれる織り方で織られています。拡大鏡で見てみると、分かりやすい!

今回ツアーで製作予定のバッグの生地を、2つの中から選びました。
一つ目の生地は、アフリカ最貧国と言われるブルキナファソの綿花が原料となっているものです。生地の耳部分が国旗カラーとなっています。この綿花を使用することで、ブルキナファソに還元される素敵な仕組みに。

二つ目の生地は、アメリカのコットンで織られたもので、こちらもトレーサビリティのある生地で魅力的。

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私はこのアメリカの生地の表情がキレイで好みだったため、こちらをチョイス!

生地決定後は、いよいよ工場見学です。篠原テキスタイルさんは、エアージェット織機・レピア織機・シャトル織機の3種類の織機を扱い、デニムを織っています。工場内へ入ると、織機を動かす音がすごい!

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遠くから織機を見るだけではなく、それぞれの織機にとても近いところで実際に説明をしてくださいます。まさにこんな機会は贅沢で貴重な体験!!もちろんですが、デニムの工場といっても、織機を動かしているだけではありません。様々な一つ一つの工程を経て作られていることを目にすることで、より一層愛着が湧くものですね。

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最終検品では、完成した生地を全て、傷がないか目視で確認をされています。長年の経験によりとてもスピーディーかつ隈なく確認されていて、達人技が光っていました。

デニムのことを学び、実際にデニムが織られている現場を見ることで、これから予定されている「デニムバッグ作り」がより一層楽しみになりました。

続いては「HITOTOITO」さんへ

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いよいよデニムバッグの縫製!今回のツアーでは「裁断・縫製・リベット付け・アイロン・加工」といったデニム製品の一通りの生産の流れを体験できます。
ミシンや裁縫が初心者の方でも、マンツーマンで教えていただけるので、どなたでも完成までスムーズに進めることができるので、安心です。

パターンは予め用意されているので、印を付けて裁断スタート。


そして、いよいよミシンへ。バッグの縫製をする前に、まずは試し縫い、ミシン縫いのテストをします。ミシンの使い方はもちろん、縫製のコツを教えてもらえるので、工業用のミシンを扱うのが初めての私でも簡単に縫うことができました。

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デニムに欠かせない「リベット」も取り付ける体験ができます。

リベットを付ける機会は初めてでした!こちらは足踏みタイプなので、想像の10倍以上の力がいりました(笑)
※工場では自動機を使用するので簡単に取り付けることが可能です。
縫製の縫い代は「ロックミシン」で始末をしますが、厚い縫い代はコツが必要!コツも丁寧に教えていただけるので、なんとかクリアできました。

進めていくと・・
このようなバッグができました!まさか半日でここまで自分で作り上げると思っていなかったので、ちょっぴり感動。。
バッグはこの時点で9割の完成です。残りは、デニムならではの「加工」です。バッグ紐は、たくさんの種類の中から選べます。加工見本もたくさんあるので、どんなふうに仕上げるか迷います。

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ここまでで初日は終了です。マンツーマンで一つ一つの工程を丁寧に教わることができるため、約2時間半でこの形まで制作できました。初日は、デニムについての学びからスタートし、デニム織布工場の見学、そして自分で実際に縫製してバッグを形にするところまでと盛り沢山の内容で、あっという間でした。


2日目はデニムに欠かせない加工体験を「四川」さんにて

初日に作ったデニムバッグを加工して最終仕上げをします。デニムの後加工は「四川」さんで行います。

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デニムは、生地の織りあがった状態で製品にすることはあまりない珍しい素材。後加工をして完成とするものがほとんどです。デニムの後加工は、「ワンウォッシュ・ストーンウォッシュ・擦り・破り・フェード・吹きつけ」など様々な種類があります。その工程の作業の様子をまずは見学しました。

デニムの風合いや仕上がりイメージに合わせて、洗い方や中に入れる石やボールの素材を変えていました。軽石を使用するイメージでしたが、ゴルフボールを使うのは驚き。

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乾燥機の大きさは圧巻です!普段私たちが家庭で利用している洗濯機の大きさとは比較できないほどのサイズ感です。
実際に私たちが体験できるのは、SV加工(シェービング)といわれる「擦り」の加工です。専務の藤井さんが丁寧に解説をしながら、実際のやり方を見せてくれます。長年履いたかのようなユーズド感を出すためのこだわりをお聞きしました。
ただいい感じになるように「擦り」を入れるのではなく、人がジーンズを履いた時に出るシワや擦りはどこか?ということを考えながら入れていくのが難しい!
いざ自分で加工をしてみると、意外と力加減の感覚が掴めない!ただ、自分でデニムを加工する体験は初めてかつ滅多にない機会なので、とにかく楽しくて嬉しいの一言です!

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私はバッグの裏面を全体的に擦り、板を用いてシワができたように見えるSV加工も行いました。洗いはワンウォッシュ加工を依頼したので、更にここから色落ちした表情になる予定です。裏表でSV加工の有無を分けたので、出来上がりが楽しみです。

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洗い加工をお願いしたバッグは、洗い(バイオウォッシュ)をかけ乾燥をしたのちに、後日自宅まで配送してくださいました。
そして、実際に届いたバッグは以下のような仕上がりになりました。デニムの縫製はもちろん、加工まで自分の手で行ったものなので、なんだかペットを迎えたような気持ちに。
加工をすることにより、見た目はもちろん風合いの違いが大きく、とても馴染みの良い柔らかな肌触りになりました。

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これまで、工場を見学する機会はありましたが、実際にプロの現場の方に教わりながら自分で体験をできるプログラムは初めてで、いつも工場の見学をしながら「体験してみたいな〜、職人技を目に自分だったらできないんだろうな(でもどのくらい難しいのかな?)」と思っていたので、まさに理想な体験をすることができました。

ものづくりや服に興味がなかった方でも楽しめる、またデニムの良さを知るきっかけとなる素敵なツアーだなと感じました。街やお店で見かけるデニムを見ては「これどんな加工しているんだろう?」と普段の生活でもデニムを気にするようになりました。私もまた改めてデニムジーンズ1本を作る企画にも参加したくなりました!

関係各所の皆さま、ありがとうございました!
ご一読いただいた皆さまも是非、足を運んでみてください!!


中嶋


■DENIM TOUR 詳細
https://hito-to-ito.com/denim-tour/

■HITOTOITO
https://hito-to-ito.com/

■篠原テキスタイル
https://www.shinotex.jp/

■四川
https://shikawa.com/



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