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chim↑pom のかっこよさは実行力

森美で開催中のchim↑pomの展示に行った。出だしからテンションが高い。食いつきの良いテーマが楽しい。

都市のゴミやオリンピック前の駆除剤によって強靭化したスーパーラットやカラスの生き様と
社会の中のchim↑pomの立ち位置をメタ的に照らし合わせる。
たとえ想像のできたとしても実行の回路に繋がらない!(想像すること自体が空中でジャンプするレベルで難易度高い)アイデアが詰まっていた。

展示の後半でトーンが落ち着き、テーマも重くなるので、全体を見返して今思えば展示の始めに生活の問題を提起することでうまく関心を集めていたと思う。

東北の涙を冷凍保存し物質的に永久にする。
広島の火を絶やさず残し、その火で絵を描し後世に繋いでいく。感情や概念を物質に変換するというマルセルデュシャンっぽい発想が好みだな〜と思ったら
最後のギャラリーで「ディズニーで汲んだ水」が販売されていた。最高。

3.11や原爆に対する向き合い、アートとしての昇華することで問題意識を際立たせ、風化させないように機能する。
ただ記録するのではない。一見説明不足に見えもする実行の大胆さと、現場に赴き対話を重ねて相互理解する過程の緻密さがあった。

理解不足を誤魔化さない。現代美術に盾にして対話から逃れない。対話する中で現実の理解を進めていく姿勢がとても良かった。

その芸術に対する真摯さと実際に岡本太郎に加筆してしまう危うさを秘めた実行力が、確実に私たちの現実と思考を壊し、新しいものに変えている。

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