雑記帳 その2 人とけものの距離
画像は,下仁田町ジオサイトのひすい輝石岩露頭近くにある茂垣の牧場あと.昔は,番犬がいて,通行車両があるとよく吠えてくれていたが,廃業して引っ越ししてしまったらしい.林道沿いで熊の爪とぎ跡や糞が多数あったのは,番犬がいなくなってしまったせいかもしれない.
日本がお金持ちのときは,こんな山奥でもゴルフ場開発がなされて,本来の日本の自然の姿が変わってしまっていた.山仕事をしていた人たちが,ゴルフ場の整備やキャディーさんに転職してしまった.結果,山仕事をする人たちがいなくなり,獣が増えて,ヤマビルやマダニの生息域が広がった.高齢化もあって,日本経済が衰退してゴルフ場が寂れても山仕事は復活しなかった.日本の衰退に合わせて,山が本来の自然に戻りつつあるということなのでは,とは思う.
牧場自体は,標高の高い山の自然と人間の営みをうまく釣り合わせた仕事で,結果的に山里を守る形になっていた.熊や鹿食害の被害が増えているのも,自然と人間のつり合いを保つ活動をしていた産業を,経済性という価値基準一辺倒で破壊してしまった結果と思われる.
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