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産婦人科 もうひとつの顔 ー人工妊娠中絶

1.母体保護法と堕胎罪

産婦人科はbabyに会える幸せな場所。
なだけではない・・・。

日本という国では、親の希望で断たれる命もある。
日本という国は母体保護法により人工妊娠中絶が認められている国だ。
そして・・・
刑法第2編第29章の堕胎の罪に問われる堕胎罪も存在する。

人工妊娠中絶(以降、中絶と略す)をすることに対しては賛否両論ある事も知っている。
命の選択、親のエゴ、胎児の権利・・・
反対派の意見を挙げればキリがないのだろう。

産婦人科医も助産師も法律に則って中絶を希望する患者を前に『No!』とは言えない。

時には思いがけない妊娠や同意のない性交渉での妊娠、自身の未来を見据えて妊娠出産・育児は今の時期ではない、と中絶を選択する人。
または、胎児に疾患が見つかる、染色体異常が見つかる、などの我が子に病気が見つかった場合、産んで育てることは出来ないかご夫婦・ご家族に一度ならず何度も医師は確認する。
それでも中絶すると決めた患者・家族に対してその意思の決定をサポートする事となる。

2.医療者も傷つく

妊娠初期は手術で。
妊娠中期は薬により陣痛を起こさせ『分娩』という方法を取る。

産婦人科医も助産師も自分の気持ちは押し殺して業務として小さな生命を断つための介助を行います。
あまり知られてはいないかもしれませんが、介助する医師・助産師もこの手で摘んだ生命を前に少なからず気持ちが傷つくのです。         特に、介助した当日はしばらく抑うつ状態に陥ります。
「仕事だから」
と割り切れない感情がそこにはあるのです。

3.妊娠初期。自分で堕ろしたい

先日、LINEのグループチャットに妊娠中絶に関する投稿がありました。

「自分で(妊娠初期)堕ろすにはどうしたらいいですか?!」

答えは・・・

「自分で堕ろすことは不可能です。」

自己堕胎罪・・・妊娠中の女子が薬物を用い、又はその他の方法により、
堕胎したときは、1年以下の懲役に処せられる(刑法212条)。

4.妊娠の時期によって異なる中絶方法

妊娠中絶には時期によって方法が異なります。
妊娠11週6日までは子宮内容清掃術(除去術)という手術。

妊娠12週0日〜21週6日までは中期中絶という名の経膣分娩。
(お薬で陣痛を起こさせ、通常の分娩と同じように胎児を出産する方法
=人工死産)

妊娠22週0日以降は、いかなる理由があろうとも妊娠の中断は出来ません。

5.中絶を考えている女性の方々へ

LINEのオープンチャットにやって来た名無しさん、そして中絶を考えている女性の方々へ。

中絶を決めているなら出来るだけ早く病院へ行きましょう。
病院に行かずになんとか出来る事ではありません。

中絶後の大量出血、子宮内感染、術後の不妊など、手術すれば終わりという訳には行かないことも多いのです。

6.中期中絶の後の義務

中期中絶(妊娠12週0日〜21週6日)の場合は死産届の提出火葬をする義務があり、ご自身・ご家族で手続きを取っていただく事になります。
例外はありません。
中絶費用も分娩費用と同程度になると思ってください。

中絶する事を決めたのなら、12週までの妊娠初期の出来るだけ早い時期に病院へ行かれる事をお勧めします。

7.産婆さんからカップルの皆様へ

明日はバレンタインデー。
世の中のカップルが幸せでありますように。
そして、新しく誕生するかもしれないカップルの皆さん、
性交渉はするな!とは言いません。
が、その行為には責任と”生命の誕生“が伴うことも忘れないでください。

パパ・ママになるつもりがないのならば必ず避妊をしましょう。

「『避妊して』なんて恥ずかしくて言えません。」
という貴女。
最も大切な話が出来ない相手とお付き合いするのはおやめなさい。

「やらしてくれないなら浮気する。」
「やらしてくれないなら別れる。」
と彼に言われる貴女。
やらしても浮気されます。別れます。
彼は貴女ではなく、”性行為をさせてくれる女性”を探しているだけです。
避妊もしてくれるかどうか怪しいです。

貴女にふさわしい人は貴女を思いやってくれる、避妊についても真剣に考えてくれる相手です。

本日は最後までお読みいただきありがとうございます。


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