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天使のはしご

昔々の雨上がりの夕、雲の切れ間から陽が射していた。

金色の光のカーテンが下へと広がって
まるで絵のような眺め。
太陽は雲の陰だけど
この光のカーテンを上にたどっていけば、そこにあるはず。
まるでライトの光が舞台に広がっているような
「天使のはしご」や「天使の階段」と呼ばれる現象だ。
正式な名称は「光芒」あるいは「薄明光線」
…ん?
ライトの光は光源から四方に広がる。
太陽の光も四方に広がる、けど
地球は太陽から十分に遠いので光は平行に地表に届くのじゃなかったっけ?

しかし、いくら見ても光は雲の間から下に行くほど広がっている。
間違いなく、広がってるよ。
どうする、おい?

それから三週間ほど
時々その眺めを思い出しながら考えていた。
雲の距離、奥行き…と立体的に考え続けて
ようやくわかったのが

光は確かに平行に地表に届いているが
遠くからこちらに向かって射しているので広がって見えるのだ。
例えば学校の長い廊下の幅は一定なのに
遠くに行くにしたがって狭くなっていくように見える。
ああ、やっと腑に落ちたのでござる。
斜めに見えても平行だよ ♪
廊下や建物は平行だと分かっているから分かっているんだよ ♪
それでも
あの眺めが美しいことに違いはない。

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