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魔王をぶっ飛ばせ!

昔々、中学校の音楽の授業でシューベルトの「魔王」を聞いた。
高熱の子どもを父親が馬で医者の元に連れていこうとするが
熱に浮かされた子どもは魔王の幻に怯え続けて
やっと医者の元にたどり着いた時には子どもは息絶えていた
という暗―い物語だった。
さてそこで
中学生の自分がなんやらモヤモヤしていたのが
魔王が見えるよ、と怯えている子どもに
父親がそれはただの霧だとか木だとか
“ 説明 ” しているなーということ。
今親としてあらためて思ったのは
こういう時、その父親が子どもに言うべきことは
「お父さんがいるから大丈夫だぞ!」
ではないのか。

怖がっている人に
辛い人に
説明 “ ばかり ” していてはイケナイ。
以前、読んだのが
入院患者で「夜知らない人が部屋に入ってきてコワイ」
と訴えるおばあさんがいて
夜勤の看護師さんたちが
「そんな人はいませんよ」と “ 説明 ” しても
そのおばあさんは夜中に何度もナースコールを押して助けを求めていたのだと。
そこである看護師さんが
ナースコールで呼ばれたときに
「こら!なんですかアナタは!出ていきなさい!」と
その “ 不審者 ” を廊下へ押し出したというのだ。
そして
「さあ、もう二度と来ませんよ、大丈夫ですよ」と言うと
そのおばあさんはとても安心して騒がなくなったのだと。
妄想を起こす高齢者がみんなこれでうまくいくとは思わないが
怖がっている人には
説明より
安心じゃないのかなあ。
だから
こういう時には声を大にして言おうではないか。
「ゴルァ!!魔王!!ぶっとばされンぞ!!」


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