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自分的手作り石けん

実用
勉強

以前、手作り石けんをやっている人と知り合ったことから
自分でも10年ほど石けんを作っていた時期があった。
食べきれないトリ皮や豚肉の脂などをそのたびに冷凍庫に貯めておいて
2ヶ月に1度くらいフライパンでゆっくり溶かし
それで石けんを作っていた。
普通、手作り石けんというとシアバターだとかオリーブオイルなどの油に
ハーブや精油を加えて作るようなものと思われるのだが
私のは開拓時代の自家用石けん、みたいな。(笑)

さて、石けんというものは
油脂に水や苛性ソーダ等を混ぜて反応させて作るのだが
500gの石けんを作るのに370gほどの油脂が必要となる。
つまり
固型石けんはその7割が食用油脂なのだ。

合成洗剤は第一次世界大戦時に食料事情が逼迫したことで開発された。
食用油脂で石けんを作るだけの余裕がなくなったので
食料ではない石油から「石けん」を作ったわけだ。

大抵の「自然派」の人たちは石けんが好きだが
原料は食用の油脂なので
「食べられる」安全な原料で出来ているから「どんどん使いましょう ♪」
と、使いすぎてはイケナイと思う。
自分で作ってみたことで、いろいろと実感できたのである。
さて
年寄と同居していると、色々な食材をもらうことがある。
例えば、イカのゲソとミミ。
イカの刺身は食べたいのだけど、ゲソとミミは硬くて食べられないのだと。
じゃあ、身の部分だけお刺身にして売っているのを買えばいいのでは?
いやいや、やっぱり身おろしして刺身にしたほうが味がいいのだと。
そりゃそうだ。
で、今まで(同居前)はどうしていたのかというと
捨てていたのだと。(ひー)
ゲソとミミをくれるたびに「こんなものばっかりで、済まないねえ」
と言われるが
本体よりゲソとミミの方が味があると思うぞ。
刺身でもいいし、これでカレーを作ると物凄く旨い♪
また例えば、ホタテ貝のヒモ。
やはり硬くて食べられないのだ。
だがしかし・ホタテはヒモに限るっ♪
貝柱より旨いのだもの。
またまた例えば、鮭やタラの頭。
こちらは食べるのが面倒な割に身が少ないからですって。
いやー、頭入りのナベはダシ出まくりで最高~なんですけどっ♪
塩焼でも一番おいしい場所なんですけどっ♪
そして鶏の皮。
脂が気になるから、はがして捨てていたのだと!
いただきますとも♪
皮はフライパンでじっくりとあぶって脂を取って石けん用によけておいて
石けん用に脂を取った皮は
カレーにするとトゥるっトゥるの旨いカレーになるのだ♪むふふふ

このように
人によって、需要は違うもので
食べ物に限らず無駄なく便利に何かを活用するには
種々様々な人の需要と供給の輪が必要だと思う。
私の石けん作りというのはこういう生活の中でやっていたのである。
さてその一方で
私が手作り石けんを作っているというと
「やってみたい ♪」という人が出る。
しかし私はそれに一定の条件を付けるようになった。
小さな子どもと一緒には作らない
ペットのいる家では作らない
である。
石けん作りには水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどの劇薬を使うので
例えば水酸化ナトリウムが一粒こぼれ落ちたのを
子どもやペットが触ったり口に入れたりするのは絶対に避けたいし
混ぜ合わせている最中はもちろん
型入れしたばかりの柔らかい石けんの元も強アルカリなので
やはり一滴でも不用意に触ったり口に入れたりするのは避けたいから。
そして大人でも
こちらが言う通りにやるとは限らず(それはお料理でも仕事でも)
「やっぱりこうしよう ♪」と勝手にやってしまう人がいてだな。
それで実際に作るときにはかなり神経質にならざるを得なかったのである。
ただ、劇薬を購入するには身分証明書と印鑑が必要なので
そうそう自分でテケトーにやらないだろうとは思っていたが
やっちゃうひとはやっちゃうのではないか、と
今更ながらちょと震えるのでござる。

そうだ、自分が勘違いで間違えたことがあった。
液体石けん(溶かして使う)を作ったとき
出来上がりがどうもおかしいと手順を確認したら
無水アルコールの分量が70gというのを
水と同じに考えて重量ではなく計量カップで70ml計っていたのだ!
ご存知の通りアルコールは水に比べてかなり軽くて
70gで、ほぼ100ml!
いやー、結果としてはこの失敗でしっかり覚えたけど
そもそもアルコールを、1gが1mlの水と同じに考えてはいけなかったのだ。
実際にはこれにさらに4℃で1気圧という条件が付くのだが
20℃だったら違うのかというと誤差は普段の生活では関係ないくらい。

普段の生活の中での「大まかさ」というのは
実は厳密な理屈の上に乗っているから
大まかさの許容範囲と、そもそも大まかにしてもいいのかということを
大まかにでも考えた方がいいと思う。

というワケで
手作り石けんというモノは科学実験のようなモノなので
お料理のノリでやってはイケナイのである。

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