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疎遠と疎通と疏通

言語
勉強

新聞を読んでいた姑が「ちょっと教えてほしいのだけど」と言ってきた。
新聞の投書欄で「疎遠」という言葉を目にして思い出したの、と。
それは昔姑がその姑と同居していた時…
(紛らわしいので現在の姑は「おばあちゃん」と書くことにする)
おばあちゃんに友達からハガキが来て
その中に「疎通」という言葉があったのを見た姑が
「こんな言葉は無い」と友達をバカにして笑ったのだと。
ハガキだから読めちゃうのですな。
そして
新聞の「疎遠」という言葉を見てその時の事を思い出したのだと。
で、「疎通」って知ってる?と聞かれたので
あー、それは初めて見ましたねー、とは言ったものの
調べて見ますね、といつも通り調べたのでござる。
そしたらこれ
「意思の疎通」とかで普通に使ってる言葉じゃあーりませんか!
おいおいおいおいおい、自分、しっかりしろよ!!
とは言え
どうやら自分的には「疏通」で頭に入っていたのだ。
だってさあ「疏通」って流れが通じる意味でしょうよー。

改めて調べて見ると
いつもの新明解国語辞典第三版では

そつう[疎通]-する [意志・気持などが]相手によく理解され、通じること。
[「疏通」とも書く]

とあって、あー、「疏通」の方がマイナーだったワケ?と意外な感じ。

で、次にこれもいつもの携帯新漢和中辞典では

「疎」の項に「疎通」の熟語が無くて「疏」の項に「疏通」があった。
そして「疏通」の項には

〖疏通〗ソツウ →疎通 ㊀通す㊁途中で妨げられずに、よく通る㊂物事のすじみちが通る。礼、経解「――知遠、書経也」㊃不明な点や誤解などがない

とあって、一般的に使われているのは㊁の意味で
→疎通 となっているということは疎通も使える・使っているワケだ。

さらに漢字そのものの意味としては
一般的に
「疎」は「まばら」「密ではない」意味で・例えば「過疎地」。
「疏」は「切り開く」「通す」意味で・例えば「琵琶湖疏水」。
さてそこで辞書には他に気になる情報が載っていた!
「疏」の意味にはAとBの二種類があって
Aの方が先に挙げた「切り開く」「通す」意味で
Bの方が「あらい」「うとい」「まばら」…って
これ「疎」の方の意味では!?
で、ナンでこうなるのかと考えると・どうやら
「疎」にも「疏」にも書いてある

「疏」と「疎」の正字は同じ

それぞれの字の「正字」が同じことに理由があるのではないか?
「疏」も「疎」も正字は同じなのだ!
辞典では
「疎」の意味を、6画の「疏」は正字(意味によって使わない)とあるので
この「正字」をAの意味では主に「疏」という文字で
Bの意味では「疎」という文字にして使い分けることにしたのでは
と思ったのだが、どうだろか。

というワケで
おばあちゃんに以上のことを報告した。
念のためおばあちゃんにそのハガキでの疎通の使い方を確認すると
もう、詳しくは覚えていないけど
しばらく連絡を取っていなかったから久しぶりにハガキを出した
という内容だったのだと。
要するに近況報告方々情報の「疎通」を図ったワケだ。
それなら確かに
間違っていたのは姑さんの方でしたよ、と。
おばあちゃんは
ずうっと気になっていたけど
どうすれば分かるか分からなかったから、分かって良かったー ♪
と喜んでくれた。
めでたしめでたし。

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